灯りを放つ自動販売機の前に2人で立つ
「・・ 小銭なかった」
そういうと財布からお札を取り出そうとする彼
その手元を手で制し
先にチャリン、と小銭を数枚入れていく
「どれにする?この間のお礼にごちそうしてあげます」
「ごちそう、って・・・」
手を鼻にあて、くすっと笑った顔が
自販機に映って私をドキッとさせる
あ~もう・・
この人ってどこまでかっこいいんだろう?
「じゃあ・・・」
伸ばした指がどれにしようか彷徨っている
そんな指にすら、見惚れてしまう私がいる
ゴトンッ
彼に選ばれた飲み物が、落ちてきた
それを取ろうと、屈んだ彼の頭を上から見下ろす
やばいわ
これって・・ かなりの特権なんじゃない?
背の高い彼の頭のつむじ、見たことある??
て、誰かに自慢したい気持ちが込みあげてくる
「・・・? 優雨は? 飲まないの?」
きょとんとした顔で見つめられ
どきゅんっと心臓が鳴る
「飲むに決まってます!
私はもう、どれを飲むかも決まってるの」
小銭を取り出して、躊躇なくボタンを押すと
ゴトンッとホットレモンのペットボトルが落ちてきた
私も屈んでそれを取り出す
ペットボトルの熱さが
ひんやりしていた指先を温めていく
「・・・ いただきます」
彼が、手にしたホット缶コーヒーをいったんこっちにかかげてから
手元に引き寄せ、プルタブをあける
まるでCMですか?
なんて見惚れていると、ズズッと音がして・・
「ふふっ」
意外と凡人の音、鳴らすのね?
なんて可笑しくなった
ペットボトルの蓋をくるくるっと回して
口をつけると
ふっと温かい湯気が込みあげてくる
「・・ おいしぃ~・・」
「座りますか?」
「え?」
どこに?って彼を振り返ると
あそこ!って、少し離れたところにあるベンチを指さして歩き出した
返事をする間もなく、ついていく
なんか・・
この距離がくすぐったい
「昔・・・ 告白した女の子に振られました」
ベンチに座るなり、彼が話し出した
なに?
「振られたの?」
驚いて彼の方をみると、目が合った
バッ///
恥ずかしくなってまた前を向くと、両手で握ったホットレモンを飲む
「・・・ 『ともだちが、貴方のことが好きだから』、と」
あ~・・・
「でも、それからしばらくして、どうして連絡をくれないんだ、と怒られました」
「え?その・・ 貴方を振った子から?」
「あなたの気持ちはその程度のものだったの?もう諦めちゃったの?って」
うそ・・・
すごいな、その子・・・
友達は??
「そんなの関係ないだろ、って言って欲しかったんだろうね
あなたがもっと強く言ってくれてたら、友達を説得しようって
いや、案外、あなたにはそう言っておいて、実はそのあと
友達を説得していたのかもしれない
なのに、貴方からは何も連絡がなかった
ええーーっ、ってことだったのかも・・・」
「わかるか、そんなの!そっちが振っておいて・・・
そのあとオレは、あなたのせいで友達ひとりなくした、って泣かれた」
うわっ・・・
「責任とってつきあってよ、って?」
「もう冷めてた」
・・・・・・。
「・・ 私もあるよ?似たようなこと。
友達の好きな人から、告られた。
私は好きじゃなかったから断ったんだけど・・
友達とはそれ以来、気まずくなった
女ってめんどうなのよ、難しいの。」
「・・ 『どうしてわかってくれないの?』『言わなくてもわかってよ』
はぁ?言わなきゃわからない!!」
思い出して怒ってる・・・
「でも、男の人だってそういうことあるでしょ?
『言わなくてもわかるだろ』って言われたことあるし
わかるか!ってーの!!」
「・・・・ へぇ~・・」
あ、しまった
今の言葉遣い、悪かった・・!!!
「ま、まぁ?とにかく?・・・ モテる王子も大変だったのね」
たくさんの女の子が自分のこと好きだから
そりゃあ、告った相手の友達も、自分のこと好きだったりするよね
友達の好きな人とつきあうなんて・・
私には出来なかったし
でも好きだったら、きっと友達よりー
「そっちこそ・・・」
「え?」
ドキッ
「今、何気に自慢しただろ?色々告られた、って」
「ええっ?そんな、色々告られたなんてー」
・・・ 言った?
手に中には、すっかり空になったペットボトルがもう温かさを失って
おさまっている
こんな寒い夜遅く、ベンチに2人で座って
お互いの昔話?なんかしちゃって・・・
「・・・ 信じられない」
「は?」
「えっ?あっ///」
声に出ちゃってた?
しまった!!!
「違う違うっ、信じられないって貴方のことじゃなくってー」
でもなんていうの?
貴方とこうしていることが信じられないなんて言ったらー
あ・・・
私の気持ちって、既にバレバレだった
え?
でも・・ だったら、どういうつもりなんだろう?
この人・・・
「・・ なに?」
私がじっと見つめてしまったから
彼が首を傾げてそう聞いてきた
うう~~・・
その傾け方
瞳の感じ
すべてが・・・・
かっこよくって凝視できなくって
そんな照れ隠しに喉を潤そうと思ったけど
既にペットボトルは空でー
「・・ なかった」
私の悪あがきに、隣でくすっと笑い声がした
「・・・ 寒くない?」
「え?」
ここで寒い、って答えてしまったら
彼は、じゃあ帰ろうって言うに決まってる
そうしたら、もうこの夢のような時間が終わってしまう
「全然っ!!!」
「・・・・・」
彼が驚いて若干ひいちゃうくらい、思いっきり寒さを否定してしまった
あっ!!
でもっ、彼は寒い!?
寒いに決まってるからそう聞いたんだっ!!
バッ!!
私は立ち上がると
「ごめんなさいっ、寒かったですよね?帰りましょう!!!」
そういって、彼の方を見下ろした
一瞬、くりくりっとしたパッチリお目目が大きく見開かれ
そのあと
「アッハッハッハ~~」
・・・・ 笑われた
今まで見たことないくらい豪快に・・・
あ、笑うと片方だけ、眉が大きく下がるんだ?
新たな発見・・!
「はい!・・・ 捨ててくるから、空き缶、ください」
私は座ってまだ笑っている彼の前に手を伸ばした
すると
スッー
伸びてきたのは、空き缶を持ってない方の手で
ぎゅっ
私の手を握ってそのまま立ち上がった彼
「一緒に捨てに行きましょう」
え?え?え?
「あ、あのっ・・」
「ん?・・ あー、寒い?」
そう言うと、私の手ごと自分のコートのポケットへ突っ込み
「・・・ これでどう?」
ふりむき、見下ろし気味に笑ってみせる
「・・・・・・・・・・」
あったかいけど
あったかいけど、何て言ったらいいのかわかんない
これはいったい・・?
どうして、こうもスマートに・・?
これが、全然何とも思ってない男の人だったら
バッと振り払ってぶっ叩いてるところだけど
憧れの人にやられちゃあ、もう~
メロメロですよ
「・・・ 送っていくよ。もう遅いから」
自販機のところで、ペットボトルと空き缶を捨てると
彼がそう言ってくれた
まだ、一緒にいられるの?
どうしよう
確かにもう遅い時間だ
でも、タクシーを拾えばいいこと
でも、もっと一緒にいたい
でも、これ以上一緒にいたら私、大きな勘違いをしそう
やばい
思いっきり欲が出てしまってる
だけどだけど
もう少し一緒にいたいんだもの
私の左手はまだ、彼のポケットに入ったばかりだし
その中で繋がれたばかりだし
ぎゅっ
繋がれた手に、力を込めてみる
「・・ん? どうかした?」
キターーーーッ!!
斜め上から見下ろされる感じ・・・!!!!
きゅん、ですっ!!
超ドきゅんっ、ですっ!!!
「・・ ごめん、今からキモいこと言ってしまうけど・・」
「・・え?」
「だって貴方・・・ かっこよすぎるんだもん・・」
もう心臓、もたないよ
つづく・・・
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短く、と言いながら
全然短くならない件
だらだら続いちゃってごめんなさい
もう、ここらへんで切るっ!!
・・って感じの11話でした、マル