一緒に戻ったユノの顔を見つけた途端、チャンミン君は駆け寄ってきた
「ヒョンッー」
その姿は・・・
私の中で、意外なほどだった
だって、恋人のゆりちゃんが置いてけぼりをくらったかのように
後ろで立ち尽くしているんだもの
まぁ、すぐに歩をすすめて、チャンミンくんの後ろについてきたけど
「オレの書斎なんて、わざわざ覗いてみるほどのものでもないぞ?」
「いいから、いいから!とにかく見せて?」
ユノの肩に手をかけるチャンミン君のその距離の近さにまた驚く
「私も見てみたいです」
・・え?
ゆりちゃんが一緒にいったらダメでしょ、せっかく2人にしてあげたいのに
ここは私がー
「あっ、ゆりちゃ・・」
「ゆり。君はここで、りかさんの相手をしてたらいいよ」
・・・・ びっくり。
私よりも先に、チャンミンくんがゆりちゃんに声をかけた
ううん、声をかけたというよりほぼ命令・・・
ゆりちゃん、驚いて口を半開きのまま、放心状態だ
あれは絶対ショックうけてるよね
「チャンミン君は社長さんだから、何か得たいものがあるんでしょうね
ゆりちゃん、こっちで一緒に話しましょう?
真崎!フルーツ、出してよ」
「・・・ 了解。」
私の申し出に、渋々といった真崎の返事だったけど
まぁきっと、彼はやってくれるはず
そこは私、信頼してるのよね
真崎だって、ご主人様のために2人のお邪魔はしないだろうから
こっちにつく、て。
ユノたちが書斎にきえると、ゆりちゃんがこっちに歩いてきた
「・・・ 何だか今日は、社長の新たな一面を見たような気がします・・」
「・・新たな一面?」
ぼそっと呟いたゆりちゃんのセリフをひろうと聞き返した
「ハイ。・・・ 意外と、・・ううん、かなりのお兄さんラブ!」
やっぱり?
あなたもそう感じた?私の気のせいじゃなく??
「ど、どういうところがっ?」
かなり喰いつき気味だったと思う
私の質問の仕方・・・
「お兄さんの話って、今まであまり聞いたことなかったから・・・
っていうか、そもそもまだ社長と親しくなって日が浅いから
わからなかっただけなのかもしれませんけど・・・」
私が途中、うんうん、と相槌をうつと ゆりちゃんは続ける
「さっき、りかさんとお兄さんがいらっしゃらないときも
兄さんはどうしてあの人がいいんだ?ってずっとぶつぶつ言ってましたもん
お兄さんの前では?りかさんのことを認めたように言っておきながら・・・
もうほんっとに!何だかまるでやきもちを妬いてるみたいで・・」
「・・・ やきもち・・・」
妬いてる?
妬いてるですって????
「私がお兄さんのことをかっこいいって言ったときも
もしかしたら、お兄さんにじゃなくって、私に妬いてたのかもしれません
そう思っちゃいましたよ、今日の社長を見てると!!」
あ・・
ゆりちゃん、テンション上がってきたのかしら?
ちょっと興奮気味?
「あ、あの・・ ゆりちゃん?」
「社長ってもしかしてっ、お兄さんのことを好きなのかもしれませんっ!!!」
・・・・・ え?
それ・・・・
「フルーツ、こんな感じで盛り合わせてみたけど?」
トンッと テーブルの上に真崎がフルーツの盛り合わせを置いた
「どうぞ、座って?」
そう言いながら、椅子を引いてゆりちゃんを座らせてくれる様子はとてもスマート
さすが・・!
私はそれを、ただ呆れるように見ているだけ
慌てて自分も椅子を引いて座った
興奮してずっと立ち話だった
「ご主人様もチャンミン様のことをお好きですよ?」
え?真崎?
あんた、何を言い出してっー
「ちょっ、まさ・・」
「だってお2人は、とても仲のよいご兄弟ですから・・
小さい頃から、お互いをとても大事にしていらっしゃいました」
あぁ・・・
そうか・・・
「真崎さん?・・でしたっけ? あなたはずっと・・?」
「ええ。私も小さい頃から、ご主人様に仕えさせていただいてます」
「いいなぁ~~~」
・・は?
「あっ//// すみませんっ 私ったら、何か変なこと言っちゃって・・」
ゆりちゃん、真っ赤になっている
「私も社長の小さい頃から、そばにいたかったな~って////」
「・・・ 好きなんだね?チャンミン君のこと」
そんな真っ赤になるくらい・・・
ユノに妬いちゃうくらい・・・
「これからおそばに居てさしあげたらいいのでは?」
「そうよそうよっ、これからずっといればー」
・・・あれ?
私・・ 何を言ってるんだ??
「そんなのっ、もちろんですっ!!社長さえよかったら私はずっとそばにいたいですっ!!
でも、それって・・・ そんなこと、可能なんでしょうかっ?」
「可能かどうかなんて、誰にもわかりませんよ。でも、貴女さえあきらめなければ
必ず道は開けるはずです」
「真崎さんっ!!」
・・・・・。 なに?これ・・・。 2人で手を握り合っちゃって・・・
真崎?
あんたは真崎教の教祖か?ん?
「ちょっと真崎、そんないい加減なー」
「何をしてるっ!?その手を放せっー」
ひぃっ!
突然、背後から大きな声が轟いたと思ったらー
とてもいい匂いがして、目の前に背の高いチャンミン君が現れた
動いた風が、彼の香りを運んできた
「社長っ?」
「真崎!おまえ、何をした!!」
当然、その頃には、2人は手を放していたんだけれど
チャンミンくんの形相に私はびっくり、恐れおののいている
だって、今にも真崎につかみかかりそうなんだもん
「社長っ?落ち着いてくださいっ!真崎さんはー」
「ゆり、おまえは下がっていろ。僕は真崎に聞いているんだ」
チャンミンくんってば、ゆりちゃんと真崎の間に入って
背中越しにゆりちゃんに声をかけている
何よ、これ・・ もう~~~
こんなの、全然、ラブラブじゃん・・・
「真崎はゆりちゃんの相談にのってあげていただけです。
それに感謝したゆりちゃんが、真崎の手を握っただけ。
真崎はなぁ~んにも、悪くありませんので。」
私は、真崎の前に立ち、チャンミン君の目を見ながらそう答えた
何よ、あなた・・
ユノのこと好きなんじゃないの?
私に妬くほど・・・ ユノのことを好きなんじゃないの!?
手を握ったくらいで、そんなに怒るほど
ゆりちゃんのことが好きなの?
さっきはそのゆりちゃんを置いてきぼりにして
ユノと書斎に行ったくせにっー
「・・・・ 僕は、あなたにも聞いていませんけど」
ほら
今だって、私のことなんか全然認めないって言ってるじゃない
そうよ
あなたは、私のことが嫌いでしょ?
自分の大好きなユノと結婚するっていう私なんて
認めたくないんでしょ?
チャンミン君の向こうに
こっちをじっと見ているユノの顔が見えた
「・・・ そんなに怒るほどのことではないと思ったので。
第三者の意見の方が冷静に聞こえるでしょ?」
あなたがあんまり怒るから
その姿にどれだけ彼が心を傷めているか
「真崎は・・ 悪くないから!」
ユノが、目を伏せたのが見えた・・・
・
・
・
・
・
2人が帰ったあとの部屋で
真崎と私は手分けをして片付けをしていた
使った食器の洗い物をしながら隣に並ぶ
「・・・ あれってわざと、でしょ」
「書斎のドアが開く音が聞こえたから」
「・・・・・・・」
「試してみたくなった。オレもちょっと・・ 疑ったから」
「・・・ だよね。」
結果は、見事にあなたの大好きなご主人様を傷つけることになったけどね
「最後のあれ、・・・・ご主人様に向かって言ってくれたんだろ?」
「ん?」
「・・・ 真崎は、悪くないから、ってやつ」
「・・・ 伝わってるといいんだけど」
2人が帰ると、疲れたと言ってユノは部屋に入ってしまった
「呼ばなきゃよかったよね・・・」
よかれと思ってしたのに
何だか全然うまくいかない・・・
「・・ そうだな」
「ええーーっ?そこは、そんなことないよ、って慰めてくれるところじゃないの?」
「なんでオレが?だいたい、お前が2人を呼ぶからー」
ガチャ
ユノの部屋のドアが開いて
思わず2人、動きを止める・・・
「ご主人様っ、今、お風呂をー」
真崎が先に動いた
ご主人様に向かって
でも、そんな近寄ってきた真崎に、ユノはー
「恭弥、今夜はありがとう。
気をつけて帰ってくれ。
悪かったな、遅くまで。」
帰れと言った・・?
私だけじゃなく、真崎も耳を疑っている
だって、てっきり今夜はもう真崎は泊まるもんだと思っていたから・・・
「あの、・・・ ご主人様?」
「聞こえなかったのか?」
「いえっ!・・・ はい、では・・ 失礼します!
おやすみなさいませっー」
深々とお辞儀をすると、真崎は出て行った
あっという間に・・・・
つづく・・・