「・・どうやら、今夜は来ないみたいだね」
カウンターに座り、氷だけになったグラスをその大きな手の中で上から掴んで
回すように振っている男に話しかける
「・・・ 誰が?」
www とぼけちゃって
今日、うちの店のドア、音がするたび
一瞬視線が飛んでくの
気づいてないとでも?
「・・・ さあ? 誰だろ」
おまえがとぼけるんだったら
そういうことにしておいてやろうか
「みんな、悪いね、そろそろ閉めるから・・ それ、飲んだらいい?」
テーブル席を回りながら
新しいオーダーをしないでずっと座っている女の子たちに声をかける
この子たちのお目当ては
オレが作るお酒ではない
客が入らないよりはいいんだけど
はっきり言って回転率が悪い
もう少し飲んでくれると、オレもありがたいんだがね
連日となると、お財布状況も厳しいんだろう・・・
彼女たちは、聞き分けよく
ごちそうさまでした~、と言って会計をすませると
みんな一様に、カウンターに座る奴に向かって視線を馳せ
帰っていく
あいつはそれを、知ってか知らでか
振り返ることはないんだけど・・・
いつからだか
たまに、見送るように視線を動かしているのを見るようになった
ある、ひとりの女性が帰っていく後ろ姿に
あーーーっ・・
オレはそれを彼女に教えてやりたい
だって彼女もまた
ほかの子たちほどあからさまではないが
時折アイツを見ているんだから・・・
まぁでも
そんなの、まわりがどうのこうのすることじゃない
「・・ どうする?店閉めるけど、どっか二人で飲みに行くか?」
オレは、テーブル席の椅子を片付けると
グラスを洗いながらカウンター越しに誘った
「おまえと?」
「ほかに誰かいる?」
わざと意地悪く言ってみる
「・・・ やめとく。明日、早いんだ」
「そうか。・・・ じゃあ、閉めるとするか。・・・ ちょっとトイレ」
「ん。」
・
・
・
・
・
「・・・・・・・・・」
これは・・・
いったい、何が起きたんだ?
トイレから戻ってみると
カウンターには、彼女の姿が・・・
「・・・ 飲みたいみたいだから・・・。
・・・・・ 何か作ってあげたら?」
「wwwwwww」
なんだよ、その顔・・・
その手・・!!
にやけるの、隠してるんだろ
「あの・・ すみません。 もう閉められるところだったんじゃ・・」
「いや!大丈夫。どうする?何がいい?いつものでいい?」
すごいね、彼女・・・
よく、こんな席、座ったね?
頑張っちゃった?
それとも・・・
「いつもの、って・・・ お客さんみんなの、そういうの覚えていらっしゃるんですか?」
「え?あ~ だいたいね・・^^;」
んなわけあるかっ
それからの2人を見てると
おかしいのなんのって
彼女はオレの方しか見て話さないし
あいつは、話に加わりたそうだけど
タイミングをつかめなくて
やっと入ってきたと思えば
うまく続かない
彼女の名前をオレが聞き出して、優しい雨って書くんだ?
っていうと
多分、漢字がわかんないんだろうな
小さい声で
ーー ヤサシイ・・ アメ・・
って確認するように呟いてた
あれ、絶対あとで検索するな
そうだな・・
オレが爆弾を投入してやろうか?
「あれ? 優雨ちゃんは違うの?いつもコイツのこと、見てたでしょ」
彼女は慌ててせき込んでたけど
オレは見逃さなかったね
おまえが反対側向いてひとつ、咳払いをしたこと
コホッ、てね
だから言ってやった
「・・・ なあ?」
気づいてたか?
「・・・・ ましたね」
おっ!!
おおーーーーっ!!!
勝負に出るのか・・・?
・
・
・
・
・
「・・・・ 帰っちゃったけど?」
「・・・・・・・・・・」
「・・なんちゃって、なんて誤魔化すからだろ」
「うるさい」
「まぁ、明日も来てくれるそうだから?」
オレは、彼女が置いていった2千円を手に、振って見せる
「明日は仕事。・・ 言っただろ?」
「朝早いってやつ?」
「何時までになるかわからないから」
「そっか。じゃあ、俺が相手をしてあげよう。優雨ちゃ~ん、ここどうぞ!ってね」
カウンター席を手で促す
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・ こわっ」
「それより、・・・・・気づいてた?」
ふんっ
「・・・・ ましたね」
真似てみる
「ムカつく」
「ハハハ!」
どうなるのか・・・?
しばらく、楽しめそうだ
つづく・・・
(素敵なチャンミン様の画像、お借りしました。ありがとうございます)
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おかげさまで、続きが読みたいというコメントをいただきまして
早速考えてみました
なんだかこういう、ほかの人 目線でのふたりっていうのも
萌えません?
まだいいの?

