やばいっ
遅くなった・・!!
 
コートが重いっ
小走りなせいで、寒い夜風が頬を突き刺す
 
大判ストールを鼻にかかるまで持ち上げた
 
頼むっ!!
 
まだ、居て・・・!!
 
っていうか、今夜も居て欲しい
 
 
 
 
 
 
 
「その件につきましては、今、担当者にかわりますので・・・
おい!桜井!・・・3番に電話」
 
 
「・・はいっ?」
 
 
私?
 
嫌な予感しかしなかった
 
上司に代わって電話に出ると
行政機関からの書類不備の問い合わせ
 
 
「えっと・・ それは・・・」
 
 
どうして私に電話をかわるわけ?
どう考えても、この案件は上司であるアンタが対応すべきでしょう!!!
 
淡々と電話の向こうから聞こえる事務的な声は
書類があるのか、ないのか
私に強く詰問してくる
 
 
「それは・・ こちらで準備できるものなのでしょうか?」
 
 
「はぁ~~?」
 
半ば呆れたような声
 
そうよね、そうよね、そうですよね!!
こっちが専門でしょ?って言いたくなりますよね!!
 
 
「・・・じゃあ、書類はないってことで、今回の軽減適用は、なしということでいいですね。」
 
「あっー 待ってくださいっ!!それって今からでも手続きをすれば・・」
 
「・・・もう、申請期限を過ぎていると思いますけど?」
 
 
そういうと、電話は切れた
 
「・・・・・・」
 
 
「おい、桜井!クライアントにはお前から重々説明しておけ!」
 
「は?私ですかっ?でもこの案件は課長が相談をうけていらっしゃいましたよね?」
 
「向こうには、担当者から連絡をさせると言っておいたから、よろしく!」
 
 
誰が担当者だよ!!
丸投げか!?
 
こういうクライアントに不利な結果を招いたのはアンタの勉強不足のせいだろう!!
 
相談を受けていたのは課長のくせに・・・
どうして私が担当者ってことになるわけ!!?
 
同僚から向けられる同情の視線
 
同情するなら、一緒に上司に苦情言ってくれ!
私に同調してくれ!!
 
 
「・・・ わかりました」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ふぅ~・・
 
思い出しても腹が立つ・・・
 
あのあと、クライアントには菓子折り持ってお詫びに行って
会社に戻ると既に課長は帰った後・・
 
 
そんなムカつくことのあった今夜は
 
 
どうしても癒されたかった
 
 
 
 
目的のお店が近づいてきて
 
その灯りを確認すると
 
ほっとして足をとめた
 
上がった息を落ち着かせる・・・
 
 
 
店まで続く螺旋階段の下には、数人の女の子たちが立っていた
 
スマホを見ながら楽しそうに話してる
 
 
 
・・・・・ よかった
 
まだ居る
 
っていうか・・・ いるんだ、今夜
 
 
 
そう
 
彼女たちがそこにいるっていうことが
 
あの店に彼がいるという証明
 
 
彼女たちはまるでアイドルの出待ちのように
彼を待っている
 
おそらく店内にもそういう子たちがいるだろう
 
 
彼はこのへんではちょっとしたアイドルよりも人気がある
彼が行きつけだと呟いたこの店には
連日彼目当ての女の子たちが押し寄せているほどだ
 
まぁ・・
私もそのうちのひとり・・なんだけど・・
あそこに並んでる若い女の子たちみたいには
あからさまに出せない・・・
 
見ているだけでいいの、私は
 
疲れた心と身体にイケメンが染みるのよ
 
特に今夜みたいなときにはね、余計に・・・
 
ふぅ~・・
 
遅くなったと思ったけど
まだ大丈夫だったんだ・・
 
 
 
私が彼女たちの横をすり抜け
螺旋階段を上がっていくと
 
 
何人かの視線を感じた
 
 
 
 
 
 
 
カランカランカラン♪
 
 
 
ドアをあけると、独特の音が来客を告げる
 
 
「・・・?」
 
 
いつもはすぐ聞こえてくる、マスターの『いらっしゃいませ~』っていう声が聞こえてこない
 
 
店内に足を踏み入れて
 
思わず立ち止まる
 
 
テーブル席には、すでに椅子がひっくり返して載せられ
明らかに片づけをされた跡がー
 
 
「あっ、すみませんっ!もう、終わりでした・・・・よ・・・・ね・・・」
 
 
 
息が・・・
 
止まるかと思った
 
 
 
視界に入ったカウンターに座っているのが
 
 
彼・・ ひとりだけで・・・
 
 
 
 
カウンターの向こうにいるはずのマスターの姿は見えなくて
 
 
 
そう・・・
 
店内には彼の姿だけで・・・
 
 
 
 
 
「せっかく来たんだから・・・ 飲んでいけば?」
 
 
 
 
椅子から長い脚をたらし
 
くるっと半身だけこっちに向けて
 
そう声をかけてくれたのは
 
 
 
まさに彼で・・・
 
 
 
 
「え・・?でも・・・」
 
 
 
 
 
カウンターしか空いてないってことは
 
もしかして・・
 
いや、もしかしなくても
 
彼の隣・・・で?
 
 
 
っていうか、初めて話しかけられたんですけどぉーーーーー!!
 
 
という心の叫びは絶対伝わらないようにしなきゃ!!!
 
 
 
 
 
 
 
「あー・・ マスターなら、・・・ トイレ行ってる・・」
 
 
 
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・・・・・・!!!
 
またっ
 
話しかけられた・・・!!
 
 
 
っていうか、私が戸惑っているのは
マスターの姿が見えないからだと思ったわけですかっ!!?
 
 
 
も、もちろんそれもありますが・・・
 
 
 
でもでもでもっ・・!!!
 
 
 
 
このチャンスっ
 
逃したら一生後悔するっ!!!
 
 
 
 
 
「・・・ じゃあ・・ ちょっとだけ・・・ いいですかね?」
 
 
 
 
 
私は彼の隣をひとつ飛ばした椅子をひき
 
脱いだコートをかけると
 
さらにその隣の椅子に座った・・・
 
 
 
 
 
 
 
つづく・・・
 
(素敵なチャンミンの画像、お借りしました。ありがとうございます)
 
 
 
 *:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
 
 
 
チャンミン様
 
おたんじょうび、おめでとうございます
 
 
色々考えてたら
 
最初に浮かんだお話とは
 
まったく違うお話になっちゃいましたが
 
 
こんなチャンミンさまとのお話はいかがでしょう?