「・・・ 社長って呼んでるんですね?チャンミンくんのこと・・」
私は、ユノへのせめてものお詫びに、という気持ちをこめ
ゆりちゃんをキッチンの方へと誘った
デザートを出すのをちょっと手伝ってほしい、と・・
真崎は露骨に嫌そうな顔をしていたけど
少しだけでも、2人にしてあげたいじゃない?
「だって私、社長の会社で働いてますから・・・
どうしても社長って呼んでしまうんです
名前で呼べって言われてるんですけど・・」
ほほをほころばせ、ゆりちゃんはそう答えてくれた
幸せそうな照れ具合
「だいたい、今でも信じられなくて・・
あの社長とつきあってるなんて
私にとっての社長は、ずっと妄想の対象でしかなかったからー」
「妄想?」
聞き逃せなかった
私の中で何かが反応して・・・ ピコンッて
「あ・・//// お恥ずかしいんですけど・・・
私、いつも社長で妄想してたんです・・その・・
ありえないんですけど、ラブストーリーっていうか・・
あっ、もちろんっ、自分とじゃないんですよ?
社長の秘書の方がそれはもう美人で・・
ずっとお似合いだと思っていて・・
だってあんなにかっこいいんですものっ!!
私となんてとんでもないですっ
社内でももう、アイドルで、社長が通られるってだけで
そこに女子社員が押し寄せてきてー」
「ストップ、ストーーップ!!」
ゆりちゃんのとめどない社長愛が押し寄せてきて
思わず仰け反ってしまった
「わ、わかったから・・えと・・ とても好きなのね?」
「ボッ(♡ >ω< ♡) ハイッ・・」
・・・ 可愛い・・・ 可愛すぎる・・・
なんなの?この生き物・・・
「でも、お兄さんも・・ かっこいいですよね?」
「え・・?」
「たいへん・・ じゃないですか?あんな素敵な方とご結婚だなんて・・」
「・・・・・・・」
あんな素敵な方とご結婚・・・ するのかしら?ほんとに・・?
「でも、ゆりちゃんもチャンミンくんと?・・・とかじゃないの?」
私が聞くと、さっきまで高揚していた彼女の顔が途端に曇り
首を横にふりふりふり・・・
「私なんて・・ とんでもない話です!
社長とおつきあいしていることなんて、会社でも内緒なんです
知ってる人は、社長の秘書の方たちだけで・・・」
「内緒・・・ なんだ・・?」
そうなんだ・・・
「もう少し前は、おばあさまが結婚しろってうるさかったらしくて
私のことも会わせてくださるような話も出たんですけど・・・
何だか突然、まだ結婚しなくてもいいっておっしゃったようで・・・」
げっ!!!!
それってきっと・・・・
ユノが結婚するって決まったからじゃ・・・!?
そう思って真崎の方を見ると
顔に正解、と書かれている
「そう・・・ なんだ・・」
ユノが結婚するから
おばあさま・・・
可愛い孫に結婚してほしくなくなったのね?
じゃあ、この可愛いゆりちゃんと、弟くんの結婚を妨げてるのは・・・
私・・!?
「でもそれでよかったんです!私なんかが社長と結婚だなんて恐れ多くて!」
「おそれ・・おおい・・?」
それを言ったら、私なんてー
ふたたび、真崎の方をみると
ーー ふふん、どうだ?今頃わかったか
とでも言いたそうな顔だ
「だから、りかさんってすごいですね!
TOHOホールディングスの代表さんと結婚なんですもんねっ?」
「・・・・・・・・・・」
いまさらながらに
彼とのことが、どれだけ身の程知らずなことか
思い知らされた感が押し寄せてきた
暗い雲が・・・
思いっきり私を覆ってきて・・・
「・・・ おしゃべりはそのくらいにして。これ、お皿に盛りつけていただけませんか?」
澄ました顔で、真崎がゆりちゃんを促した
「あ、すみませんっ!!」
可愛い彼女は、スイーツをお皿に盛りつけていく・・
私はと言うと・・・
呆然と立ち尽くしたまま
なんかダメだ
今日は本当にダメだ・・
お店でも、急に懇意にしているメーカーさんから
取引をやめたいって言われた
それも1社だけでなく、うちで取り扱っているメインの3社だ
大打撃になる
慌てて連絡するも、担当者は席を外してるって言われて・・・
どうしてこんな、今日なの?
私、何かしたのかな?
それともたまたま・・?
神様は、その人にたえられない試練は与えないっていうけどー
ガクンッー
「おいっ!!」
ハッー
「ちょっとこっちへー」
気づいたら、真崎に腕を引かれていた
・
・
・
・
・
「・・・ 彼が懐いているなんて、珍しいですね」
「うん?」
「真崎ですよ。彼、ヒョン以外の人と親しそうに話してるとこなんて
見たことなかったものですから・・・。
彼女とは普通に話してる」
「そうか?」
「そうですよ。僕でさえ、真崎にはよく睨まれてたというのに・・・」
「ハハハ・・ そういえば、そうだな。どういうわけか、あの2人、気が合うみたいだ」
「正直・・ ヒョンの結婚には驚きでしたが・・
彼が認めているってことなら・・・
本当なんでしょうね」
「・・・・ 恭弥が認めているから、本当、か・・・
なるほど・・・」
オレの結婚は・・・
おまえにとって、驚きだったが
認められるのか・・・
結婚を決めたオレの気持ちなど
きっと・・・
想像もしないんだろうな・・・
「・・ なぁ、チャンミン・・・」
「はい・・? なんです?」
そうやって・・・
何も考えず、無邪気に返事をかえしてくれる
「・・・ おまえの彼女、可愛いな。
よく似合ってる・・」
「なんです?急に・・」
「------ っ!?」
今、キッチンに立っていたアイツが、ガクンッて倒れそうになったのを
恭弥が支えるのが見えた
ガタッー
「・・ヒョン?」
つづく・・・・
(素敵な画像、お借りしました。ありがとうございます)

