「・・・・・・・・・・」
絶句・・ とは、このことか
玄関を入ったところで、待っているようにと真崎に言われ
立ち尽くす私
やっぱり、豪邸だった
「・・ 天井、たかっ・・」
あの絵って、畳一畳より大きくない?いくらぐらいするんだろう・・?
近づいてくる足音が聞こえ、顔を向けると
「会長はまだお帰りになってないそうだ・・」
奥に行って戻ってきた真崎だった
「・・ そう・・ なんだ・・・」
勢い込んで来てみたものの、まさかのご不在・・・
それは想定外だった
すると、真崎が戻ってきたのとは別の方から足音が聞こえてきて
「・・・・ あなたが、ユノの?」
現れたのは、ものすごい迫力満載の老婦人だった
「大奥様・・・」
大奥様?
ってことは、なに?
この人がー
ユノのことを・・・ 気持ち悪いって言ったおばあさま?
「初めまして、原田りかと申します」
ゆっくりお辞儀をする
「・・・・・・・」
何も言わず、視線だけが上下に・・・
品定めするように移動していく
「・・・ (なんでこんな子が・・)」
聞こえてます・・・
いや、これはおそらく聞こえるように言ったのだろう
小さく・・ それでいて滑舌よく・・
まるで聞きなさいと言わんばかりに吐き出されたその声は
しっかりと私の耳に届いた
「真崎!・・・ ユノは?」
「まだ、お仕事で・・」
「そう。・・で?ユノと2人で挨拶に来たのでなければ?
貴女はいったい何をしに、ここへいらしたのかしら?」
どうしよう
この人は、ユノの気持ちを知っている・・・
私が結婚したくないとお願いしにきたことを知ったら・・・
「・・・・・・・・・」
「あの・・ 大奥様・・・」
真崎・・?
何て言うの?
「わしが呼んだんだ!」
後ろから突然声が轟いた
「会長っ!? お帰りにっ?」
「あなたっ!?」
・・・・ 会長?
くるりっー
振り返った私の目に映ったその人はー
「・・・ 久しぶりだの。・・って、そうでもないか?」
「お・・・ じいちゃんっ?」
ものすごい威厳を放つオーラで立っていたのは
私がいつもノンちゃんのところで会う、おじいちゃんだった
・
・
・
・
・
「それで?・・・今日はいったいどうしたんだ?
いきなりアレと話してるもんだからびっくりしたじゃないか!」
いやいや、びっくりしたのは、こっちの方でー
客間でゆっくり・・と言われたのを断り、おじいちゃんの書斎へ通されると
しばらく2人っきりにしてくれというおじいちゃんの指示で
真崎もおばあさまも置いてきぼりをくらった
「イケメンだったろう?わしの孫はー」
「イケメンなんてレベルじゃないですっ!!凄すぎますってば!!
っていうか、おじいちゃん?どうして私なんですっ?
全部知ってて、それでおじいちゃんがお父さんに言ったんですかっ?」
「そうだ?」
「ぜんっぜん、意味がわからないんですけどっ!!?
おじいちゃん、知ってますよね?私がー」
「あぁ、知ってるよ?グランチェスター伯爵^^」
「wwwwwww。」
「生身の男は嫌なのか?まだ・・・ ダメなのか?」
「・・っ !?」
おじいちゃん・・・
何を知って・・?
「・・ どうして私なんですか?あんなすごい人、嫁になりたいって人は山ほどいるでしょうに!」
「そうだなぁ~」
「だったらどうして?普通、そっちにしますよねっ?ほら、お金持ちのお嬢様とか!
お仕事上、利権が絡むような相手のお嬢様とか・・・
ってもんじゃないんですか?
私なんて、なんのメリットもないですよ?」
「そうかな?・・あの子の気持ちを受け入れて・・・ 楽にしてくれただろう?」
「・・・え?」
「利権の絡むどこぞのお嬢さんなんぞに知られて、あることないこと言いふらされたらどうする?
それを理由にー」
「負けませんよ!あの人・・ そんなことじゃ負けませんって!
おじいちゃんが信じてあげないでどうするんです?
あんなに、何よりも仕事優先で頑張って生きてる人なのに・・・」
「ほぉ~う・・ やつは、負けないと?」
「負けませんよ!」
・・・・ 多分
「・・・ 負けないためにあの子に必要なもの
わしは、それを与えたつもりだが?」
負けないためにあの子に必要なもの・・?
「さて・・ そろそろ来る頃だと思うのだが・・?」
「え?そろそろ来る頃って・・」
まさか・・?
いやいや、そんなはずないし!
「帰って子作りにでも励んでくれ。わしは早くひ孫の顔が見たい。
今なら式にも全く問題ない」
「子作りっておじいちゃん?彼の気持ち、知ってるんですよねっ?
それに、式って私は、このお話、お断りしようとー」
バンッー
「じいさんっ!!どういうことですっ?」
ユノッ!?
うそ・・・
ほんとにきた・・・
漫画みたい・・・
「ユノヤァ~・・ じじいの心臓に悪いことはやめてくれ・・ 寿命が縮んだ・・ハァハァ・・」
「おじいちゃんっ?大丈夫っ?」
胸をおさえるおじいちゃんに駆け寄る
「・・・・ それはどうも、申し訳ありませんでした」
「ちょっと、ユノ!!そういう言い方はどうかな~?」
「ぁん?・・・ そもそもお前がどうしてこんなところに・・・ 恭弥のヤツ・・」
「ユノヤ!」
「はい」
あ、おじいちゃん、すっくと立ち上がってユノの方を見つめると
ユノも姿勢を正して向き直る
「真崎を使っていいのは、仕事においてのみ!・・・そう言ったはずだったがのう~?」
「・・・・・・」
え?
それって・・・
もしかして、今日の・・?
「いいじゃない、おじいちゃん。ユノは仕事が何より優先なんだし、真崎はユノの信用を落とさないように努めたわけだから、これも仕事の一環のようなもので」
「そうか?じゃあ、今日のところはおまえさんに免じて、大目に見てやることにしよう。
さ、とっとと帰って子作りに専念しなさい」
「・・・・・・・」
「おじいちゃんっ!!!!」
私は驚きで固まっているユノの腕を掴んでー
「ほらっ、ユノ!帰るわよっー」
開いたドアから部屋を出る
もうーーっ
子作りとかっ!ユノに言うなんてどうかしてるっ!!
「せっかくだから、そのまま 2人で ばあさんに挨拶していきなさい」
ビクッ
背中に・・・
届いたおじいちゃんのセリフ・・・
ユノの足が止まった
「・・・ そうだな。せっかくだしな」
「・・・ だいじょうぶ?」
「なにが?問題ないだろう」
「そう?だったらいいけど・・・」
「・・・ おまえがいるんだから」
・・・え?
私が掴んでいた手を
ユノが掴みなおしてきた
「・・そ・・ そうね・・」
やだな・・・
なんか・・・
照れるじゃないか!!
つづく・・・