「それにしても、りか おまえ・・ 帰ってきてもよかったのか?」
「うるさい、黙ってご飯食べなさい!」
ーー 今日は実家に泊まります
そうメールだけ送って、職場からそのまま家に帰ってきた
久しぶりに食べる実家でのご飯は格別にうまいのぅ~・・
って、私まだ嫁に行ったわけじゃないし!!!
「ねぇお父さん・・・ 1千万、返してこの話、なかったことにしよう」
「え・・・」
そうよ、そうよ
何もこんな理不尽な話に乗っかる義理なんてないじゃない
所詮は飲んだ席での口約束・・・
いくら、口約束だって契約には違いないとか言われたってさ
「まだ使ってないでしょ?1千万なんだも・・」
お味噌汁をすすりながら、顔をあげ、お父さんの顔を見ると心なしか表情がこわばっている
「・・え?まさかお父さん・・・?」
「だってほら、古くなった厨房のものを新しくしたり、内装もちょっと変えてみたりだな?」
使っちゃったの?
「でもでも、全部じゃないでしょっ?まだ半分・・ 5百万くらいあればー」
私の貯金や友達から借りたりしてー
「それが、銀行からの借入を繰り上げ返済ってやつで返したらまた新しく貸してくれて・・」
「新しく・・ 貸してくれて、って・・・・」
ちょっとちょっと、お父さん・・・?
「残ってるのは、新たな銀行の借入だな^^」
「笑顔で言うことかよぉーーーーー!!!」
「まぁまぁまぁ・・・ いったいどうしたんだ?おまえも、グランチェスター伯爵に似てるとか言って喜んでたじゃないか!なんだ?喧嘩でもしたのか?ほぉ~ 喧嘩するほど仲がいいって?」
こ・・・ このっ・・・
ううぅ~~ こんなにも自分の父親に腹が立ったのは初めてかもしれない・・・
いやいや、考えてみたらこの間からこの人のやること、半端ないんですけど・・!!
「似てませーんー!喧嘩なんかしませーんー!!そもそも、私はまだ嫁に行ったわけじゃないんだからねっ!?」
「え?でも・・ 日取りも決まってるし、時間の問題なんじゃないのか?」
「帰ってくる、って言ったよね?私・・」
あー、でも・・・
応援するって言った彼の好きな人は・・・・
たとえ両想いだったとしても・・・
となると、私はー
「ノンちゃんのとこ、飲みに行ってくるっ!!!」
「え?それだったらオレもー」
「お父さんは、家飲みっ!!外で飲んだらろくなことがないっ!!!」
ビシッと指さしてそう言い放つと、父はシュンッとなり
「・・・・ 久しぶりに りかと飲みたかったのになぁ~・・・」
なんて可愛いことを言ってみせる
だがしかし、ここで甘い顔をしてはいけない!!
なんてったって、1千万で娘を売った親だ!!
「うるっさい!・・・いいねっ?今夜は飲まずに明日の仕込でもしてなさい!!!」
今度こそおとなしくなった父を残し、私は、近所にあるノンちゃんのお店に歩いて向かった
「あら、りかちゃん!お久しぶりじゃないのぉ~~」
「ほんとほんっと、おやじさんはよく来るけどね~」
ノンちゃんことママの望さんがやってる 『居酒屋ノンちゃん』 は、いつも大盛況で
カウンターしかないお店は開店から閉店まで常にほぼ満席状態
ご近所さんをはじめ、常連さんたちで溢れている
「聞いたわよ~?りかちゃん、結婚するんだって?」
「おやっさん、寂しがってたぞ~?」
はぁ~~~~?
「ぜんっぜん、寂しがってないし!!ノンちゃんっ、梅酒、ロックで!!」
私は久々の来店で主役扱いをうけると、真ん中に空けられた椅子に座った
「っていうか、結婚なんてしないんだからね?」
「あら~ 遂にりかちゃんも、グランチェスター伯爵を捨てて生身の男に走ったか~って
皆で言ってたのよぉ~~?」
「私のグランチェスター伯爵を酒の肴になんてしないで!!」
きゃーー、グランチェスター伯爵ぅー、ごめんなさぁ~~い!!
カランカランカラン~
ドアが開いて来客を告げる
「もう、いっぱいかね~?」
「おじいちゃんっ!!!」
入ってきた人を確認して、びっくり!!
ここで親しくなった人で、私はおじいちゃんって呼んでいる
「久しぶりじゃーーーん!!ここ、ここ!こっちおいでよ!・・・いいよね?ノンちゃん」
ウィンクしているノンちゃんを確認すると
隣に椅子を持ってきて、おじいちゃんにおいでおいで、をする
「どうしてたの~?もうー!ここんとこ、全然来なかったから、もしかして病気にでもなってんじゃないかと思っちゃったよ・・・ 元気だった?」
「すまんすまん、ちょっと忙しくてのぅ~・・ おまえさんは元気だったのかな?」
おじいちゃんは、ゆっくり片足をあげながら、椅子に座ると、焼酎を注文した
「うん?私はいいのいいの。それよりおじいちゃん、忙しかったって・・・大丈夫?働き過ぎなんじゃない?」
私は、おじいちゃんの肩に手を伸ばすと、モミモミモミ・・・
「そんなことはない。最近、孫がいい顔をするようになってのぅ~。嬉しくなってつい、張り切って働きすぎてしまった^^」
「あ~ おじいちゃん、お孫さんが跡を継いでくれてるんだっけ?」
「そうそう、これがデキる孫でのぅ~。」
「へぇ~。いいねー、そんな出来る孫がいてくれて・・。」
「だろうだろう?可愛い孫には幸せになってほしくってのぅ~・・」
「その言い方ってもしかして、幸せになれそうにないの?そのお孫さん・・」
「そうだと思ってたんだが、これが最近、いい顔をするようになって!!」
「あー、そういういい顔!・・・ふぅ~ん、いいな~」
「紹介してやろうかい?おまえさんの大好きなグランチェスター伯爵似のイケメンだぞ?」
ドキッ
グランチェスター伯爵似のイケメンですって!?
「なにそれっ、おじいちゃんっー」
「あら、おじいちゃん、ダメよ~。りかちゃん、結婚するんだから!」
それまで他のお客さんの相手をしていたノンちゃんが
突然話に割って入ってきた
「ちょっとノンちゃん!だから、結婚はしないって言ったでしょ?」
あーあ、最近何度このセリフ吐いてる?私・・・
「・・・・ しない・・のかね?」
「っていうか、そもそも結婚するような関係じゃないの。でもまぁ・・ 紹介はいいや。」
そんな余裕なんてないもん
結婚なんて誰ともする気ないって・・・
だから別に誰とでも、ってとこもあったんだけど・・・・
「やっぱり結婚って・・・ キモチが大事よね・・・」
グラスを傾け、口をつけると、小さくなった氷が薄まった梅酒と一緒に一気に入ってきた
「そりゃ、確かに大事じゃのぅ~ 気持ちがないと、幸せにはできん!」
「おじいちゃんっ?」
「くぅ~・・ キィーーッ・・ ノンちゃんっ!ワシもおかわりっ!!」
ドンッ
カウンターに空いたグラスを置くおじいちゃん
「な・・ 何かあったの?おじいちゃん・・・ さっきまでご機嫌だったのに・・・」
「おまえさんが幸せじゃなかったら、ワシもつまらんっ!!」
「・・・ おじいちゃん・・・」
ぐわしっー
なんだかわかんないけど、思わずおじいちゃんと熱いハグ
「ちょっとちょっと、おじいちゃんも りかちゃんも・・・何熱くなってんのよぉ~」
「よしよし、おーい、みんな!今夜はわしの奢りじゃ!!楽しく飲もうじゃないか!!」
「キャーーッ おじいちゃんっ ありがとぉー!!」
「うぉーー!じーさんっ 太っ腹!!」
「ゴチになりまーーーすっ!」
お酒に呑まれるのって、好きじゃないんだけど
今夜みたいな楽しい酒になら
呑まれてみてもいいんじゃない?
って、酔っぱらう言い訳を考えながら
私はグラスをあけていった・・・・
つづく・・・
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ほらほら、とりとめもなく長くなっちゃうでしょ?(笑)
このまま、もう1話、場面かえていきましょう!
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