「・・・それで? 今日はどうしたの?お暇なんですか?なんとかの代表っていうのは・・?」




突然、店に現れたアイツに驚いてる



するとアイツは、私の質問に半ば呆れた表情を浮かべつつ




「近くまで来たから、帰るならひろってやろうと思っただけだ。しかし、来てみてよかったよ。

オレがとめなかったらおまえ、何を言いだすつもりだった?」



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「失礼ね!!私だってちゃんと、わかってるわよ」




弟さんの恋人にあれ以上余計なこと、言うつもりなんてなかったわよ?





「どうだか?・・それになんだ?今度一緒にウチにおいで、ってー」




うるっさいなぁ~・・・






「りか!」



「あ、響(ひびき)!」




西店店長の青山響が東店に着いたようで、遠くから私を呼んだ




「せっかくひろっていただけるところでしたけど?私、このあと店長会議があって遅くなるの。」




響に返事をしてから、アイツの方へと向き直り、帰りが遅くなる旨を伝える




「・・ そうか。わかった。」




別に何かを期待したわけじゃないけど、至極当然に、アイツはそれだけ言うと

あっさり背を向け、歩き出した







「・・・・ ダレ?」




遠ざかるアイツとは反対に、近寄ってきた響に聞かれると



「りかさんの彼氏なんですよ~」



私より先にスタッフの美玖ちゃんが答えた



もう違うと言い直すのも疲れてきたよ・・・






「え?おまえ、アレ、やめたの?なんだっけ・・ グランー・・ぐっ!!」




響は私の腐女子っぷりを知ってる極希少な人間だ




私は、響に肘鉄をくらわすと





「やめてないわよっ!余計なこと、言わないでよね?スタッフには内緒なんだからー」



耳元で小声で話しかけた


いや、話しかけるというより、怒鳴った・・・でも小声で、って感じ?



「・・・ってぇ~・・・」



お腹をおさえる響に、ごめん、だいじょうぶ?という声をかけるのも忘れずに・・・







「私たち、りかさんはつきあうならきっと、青山店長となんだろうな~って言ってたのに~」


「ねー?」




私たちを囲むようにして、スタッフの子たちがそう言いだす




「響と?」「りかと?」




ほぼ同時に私たちが驚いたもんだから




「ほら!息もぴったり!」


「ねー?」




余計に盛り上がるスタッフの子たち






「いや~、ナイナイナイ・・・」




私が手をふり、否定していると




スタッフの子たちが、急に驚きの表情を浮かべ



「そ、そうですよね~・・」

「ハハ、失礼しました・・・」



と言って、ささっと持ち場に戻って行く




「え?なになに?どうしっー」



後を追いかけようとしたそのとき



「おい・・」




ビクッ!!





背後から、低い声が私を呼んだ・・・・



もしかして この声・・・




くるっー




やっぱり・・・!!!




「まだ居たの?」


「・・・ 終わったら連絡しろ。」


「え?」


「迎えにきてやる」





・・・・ はい?





「そんなの頼んでな・・・」






ギロリッ





ビクッ!!




彼のひと睨みで、ぞぞぞっと背筋が凍りついた



なるほどね


さっきのスタッフの子たちの反応もこれか・・・





「・・・わかったわよ」



「わかりました、だ」



「は!?」




にらみかえそうとした私に、にやりと笑うと、彼は今度こそ踵を返して歩いて行った




くそぉ~~~


なんなのよ、アイツ!!


私は、あんたの執事じゃないっつうの!!



はぁ~・・・


・・・・ あんなに可愛かったくせに・・・!!!









「・・・ すごいな、おまえの彼氏・・・」




突然、隣でぼそっと言われ、ハッと我に返る




「だから響ぃ~・・ 彼氏じゃないんだってば・・・」


「そうなの?独占欲、強そ~って思ったけど・・?」


「あー、それは・・・・」




私のこと、自分の執事だとでも思ってんのよ


あの、ご主人様は!!!




「・・・否定しないけどね」



「でもちょっとびっくりだな・・・ あんなに男に興味ないって言ってたのに・・・」



「だぁかぁらぁ~!! 違うって言ってるでしょ?私は今でもグラッ・・・あ~・・かわってないから!」




危ない、危ない


店内でグランチェスター伯爵の名前、出してしまいそうだったわ


さっき響に肘鉄くらわせたくせに・・・




「まぁそういうことにしといてやろっか?っていうか、今月どうした?売上、頑張ってんじゃん」



「あーー、それよそれ、奥行こう!!」




店長会議よ、店長会議



今月は西店をギャフンと言わせてやるんだから・・・



















「おまえ、連絡しなくていいのか?あの彼氏、迎えに来るとか言ってなかった?」




店長会議を終え、そのまま夕食へと突入


響が車で来てるから、アルコール抜きで話し込んでいると


時計を見て、そう切り出された




「あー、いいのいいの。遅くなるって言ったわけだし?夕食は向こうも外だろうし・・

響、送ってくれるんでしょ?車なんだから」



「それはいいけど・・・ 怒られるんじゃないだろうな?」



「え?なに?響、びびってんの?」



「結構迫力あったぞ?」



「大丈夫よ。それに送ってもらって帰るほうが、迎えに行かずに済んでいいに決まってるじゃない」



「いやいや、そうじゃなくって。他の男に送ってもらって帰るってのはダメだろ」



「他の男って・・ 響に送ってもらうのがダメってこと?」



「あぁ」



「なんで?」



「だから、自分の彼女が他の男に送ってもらって帰ったら怒るだろーが、普通・・!」



「あ~。それは普通は、ってことでしょ?私、彼女じゃないもの。何回言わすのよ?」



「・・・・・ それ、マジだったのか?」



「マジマジ!言ったでしょ?私、生身の男に興味ないのは変わってないんだってば・・」



「じゃあ、なんなんだ?どういうこと?」



「ちょっとね・・ 面倒なことに巻き込まれたって感じかなぁ~・・でも大丈夫。何とか切り抜けてー」





いや、待てよ?



さっきの弟さんの彼女の話からするとアイツのことを好きな可能性もあるんじゃない?


って思ったりもしたけど、それがもし・・単なる兄弟のソレだってことだとしたら・・・


弟くんはいわゆるノンケで、あの彼女とラブラブだったら・・・


いやいや、普通に考えてそっちが当たり前なんだよね?


だとすると・・・・






「どうした?」



「・・・ 響・・・」



「ん?」






TOHOホールディングスの代表夫人・・・?



結婚式の日取りは決まってるって・・・・





これはもしかして・・・



楽観視はできないのかも・・・





いや、待て



とりあえず、会ってみないと・・・



弟さんの気持ちを確認して・・・



うん、それからだ






「帰るから送ってくれる?」



「・・・ 本当に大丈夫なんだろうな?」



「だぁいじょうぶ、大丈夫!!」





響にはマンションの下まで送ってもらうだけだし


そもそも、私が誰に送ってもらおうが、そんなことはあいつには痛くもかゆくもないんだし







♪♪♪~~~~




「あ、電話・・・」




店を出たところで、私の携帯が鳴ると




「じゃあオレ、車回してくるな?」




そう言って、響が駐車場の方へと歩いて行く


私は、バッグから携帯を取り出すと、電話に出た




「・・はい」



「おまえ、今、どこに誰といる?」




聞こえてきたのはアイツの声




ふぅ~・・・



大きく溜息をつくと





「どこだっていいでしょ?食事を済ませてこれから車で送ってもらうとこだから。もうすぐ帰ります」



「じゃあまだ店にいるんだな?いいか?そのまま待ってろ。」



「は?そのまま待ってろ、ってどこにいるのかわかるの?どこにいる?って聞いたくせにー」



「連れの男にはそのまま帰ってもらえ。いいな?絶対に車に乗らずに待ってろよ!?」



「は?意味わかんないんですけどっー」



「-- ブチッ」



「ちょ、ちょっとっ!?ええーーっ?切った??」





なになに?



どこに誰といる?って聞いたくせに?



連れの男には帰ってもらえ?


絶対に車に乗らずに待ってろ?



どういうことなのよ、いったい全体・・・・




私は、切れた電話を手に持ったまま


呆然と立ち尽くす・・・





そんな私の前に、響が運転する車が走ってきて停まった





ゆっくり助手席側の窓がおりてきて




「お待たせ。どうぞ?」




運転席から身体をずらして、響が顔を見せる





「・・・ ごめん・・ なんか・・ 迎えに来るって・・・」





携帯を手に、ぼそぼそと言う私に、響は驚いて





「え?もしかして、あの彼?」





と聞いてくる


そりゃそうだ


さっき、大丈夫だ、って言ったばかりなんだもの・・・




「・・うん、ごめん」




私にも意味がわからない・・・



でも何だか、響の車には絶対に乗ってはいけないような威圧感がー




「わかった。じゃあ、オレ、帰るな?」



「うん・・・。気をつけて」




ゆっくり窓ガラスを上げながら、車は走って行った





なになになに?



わけがわからないんですけどっ・・・




もしかして、どこかで誰かが見張ってた・・とかっ?




だって私、店の名前、言ってないわよっ?






きょろきょろきょろっ




まわりを見渡しても、誰の影も見えない・・・







やがて、車のエンジン音が聞こえてきて、見慣れた車がすごい勢いで駐車場へと入ってくると



キキキィーーーーッとブレーキ音を鳴らし、私の前で停まった





ほんとに来た・・・!!







助手席の窓ガラスがおりてくる





「・・・ 乗れ」





言われて私は、ゆっくり歩を進めると、助手席のドアをあけ、乗り込む





「・・・ どうしてここがわかったの?」




シートベルトを締めながら質問をすると


もう、車は走り出していた





「おまえには自覚が足りない」





「・・・え?」





「・・・ 『素敵な婚約者さんですね』 と写真付きでメールが届いた」



「え?写真って・・・」




「さっきの店で、お前と・・・ お前の店で会った男だろ?アイツが食事をしている写真だ」




「ええっ!?」





さっきの・・・ 私と響が食事をしているところ?がー 撮られてたの?


しかもそれを、コイツに送ってきた人がいる・・?





ゾッ・・・




「そ・・ そんな、ご丁寧に・・ 芸能人じゃあるまいし・・・」





笑い飛ばそうとするけど、顔がひきつって・・・





「いいか?今後、二度と男と2人で会うのは禁止だ。」




「は?響とは仕事の打ち合わせの延長で食事してただけだし、そんな疑われるようなことはー」




「写真ではそんなことはわからない。」





確かに・・・



写真ではそんなの、わからない・・・





「もしかして、それで何か脅されたりするの?」




「あれくらいでは何ともない。だが、今後はわからない。おまえには自覚がないからな!」




「だってそんな・・・ 写真撮られるとか全然考えたこともなかったし・・

そういうのは、ちゃんと言っておいてくれないとっ!!私が悪いわけっ?」




「帰りは迎えにいく、って言っただろう?なんで連絡してこなかった?」




「そんなの・・ 別に、送ってもらえるならそっちが楽だと思って・・・

わざわざ迎えにきてもらうのも悪いし・・・・」




そんな意図があったなんて、全然わかんないわよ



凡人には想像もつかないことでしょ?





「・・・まぁ、オレもそろそろやばいか、とは思ったが、まさか、もうチェックされてるとは思わなかったから・・・

ちゃんと言わなくて悪かった」




・・・・え?



謝って・・くれた・・?





「・・そういうことなら、わかった・・ 今後は気をつけるようにする・・。」




素直にそう言ってくれればいいのよ、うんうん


そうすれば私もねー





車がマンションの駐車場へと入っていく




スーッとエンジン音が停まると、私はドアに手をかけた






「はぁ~・・ 先が思いやられるな・・・」





・・・・ なんですって?



背中に聞こえた声に、再び怒りがこみ上げる






私はドアをあけて、車からおりると






「そんなに嫌ならこんな結婚話、とっとと解消してくれたらいいでしょっ!!!」





言い放って、バーンッと勢いよくドアを閉めた








「ハァ~? 解消ってふざけるなっ!!そんなことはできないって言っただろーがっ

じーさんの言うことは絶対だとっー」






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ちょっと待てっー





「しーりーまーせーーーんっ・・・」




タタタッー





前を走っていたアイツが、突然立ち止まった




どうした・・?



エレベーターの前に何かあるのか?




追いついたオレが角を曲がるとそこにはー






人目もはばからず、キスをしているカップルが・・・・







ぷっ



何を突っ立っているのかと思えば、そんなことか






オレは、アイツの横を通り抜けると






「失礼ー」






そのカップルの後ろのエレベーターの開ボタンを押した




一瞬、キスをしている男の目が開いてこっちを見たが、また閉じて続けるようだ






「何をしてる?乗らないのか?」





まだ離れたままのアイツに向かって、オレが声をかけると






「・・・乗るわよ!」





ようやくこっちへやってきた



ハハッ



目が泳いでるっ・・



顔も赤い



いまどき、JKでもそんな顔しないぞ?






2人乗り込むと、アイツの後ろから手を伸ばして 閉ボタンを押した




そんなオレの手にビクッと反応してるのが可笑しくて







「・・・ どうした? してほしいのか?」







エレベーターの扉が閉まるのと同時にそう聞いていた













つづく・・・・






(画像、お借りしました。ありがとうございます)










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あんにょ~ん



久しぶりだと思ったら、切りどころを逃し、だらだら長くなってしまいました



ごめんなさい・・・(/ω\)



先日の2人一緒にいるサジンは、破壊力半端なくって



トンペンには最高な贈り物でしたね




2人が一緒にいるだけで、きゅんってラブラブ