「おまえは、この部屋をつかえ」



そう言って通されたのは、じゅうぶんすぎるほど広い部屋で


中には、ソファベッドとドレッサー、クローゼットがぽんぽんぽん、と置かれていた



「自分の好きなように配置しろ。他に必要なものがあったら、恭弥に言え。」


「それって、新しいものを買っていいってこと?」


「もちろん。」



じゃあ、家はあのままでいいんだ・・・?


中身だけ持ってくればー



・・・って、既に引っ越す気になって考え始めている自分が怖い



「でも、ベッドがソファベッドってのは、ちょっとケチってる?」



ふかふかなのはわかったが、とりあえず何か言い返したくて

そう、ケチをつけてみた



でも彼は

思いっきり見下ろしてきて



「・・・・ こっち」



ぐいっと腕をつかまれ、部屋を出ると、また別の部屋の前にー




ガチャ




ドアを開けるとそこには、異常なまでに存在感を放つキングサイズのダブルベッドが


デーーーン!!と置かれていた




「・・・・・・・・・」




言葉につまる・・・




「あれを置いてやったのは、オレの親切心だ。」




バタン



ドアを閉めて、リビングへと戻ろうとする彼の腕を


今度は私が掴んだ




「ねぇっ あのっ!・・・あなただったら、結婚相手のひとりやふたり

いくらでもいるでしょ?どうして私なんかと?」




何度考えても不思議でならない


納得がいかない!




「・・・ 言っただろう?あのじいさんの決めたことは絶対だ」



「だからって・・・ つきあってる女性はいないの?」



「いたらこんなことには、なってないだろう?」




・・・・ それもそうでした


そういえば、結婚する気のない孫に、って盛り上がった話だったんだ




「でもどうして?あなたみたいな人がもったいない・・・

好きな人もいないの?」



「・・・・・・・・・・・・」




・・え?


その顔は・・・


もしかして、いる?




「いるんだったら、その人と結婚しないとっ!!

もう~!!なぁ~んだ!よかったぁ~~」




ホッとしたよ


あ~、やっぱりこんなバカな話ってないわよねっ?




「・・・ 何度も言わせるな。あのじいさんの決めたことはー」


「そんなのっ!いくらでも撤回すればいいのよっ!

だって結婚よ?好きな人とするのが当然じゃないの!!

その方がいいに決まってるし!!」


「その方がいいに決まってる?ナニを根拠に・・」


「あなたの気持ちの問題よ!!

好きな人がいるんだったら、その人と結婚したいでしょ?

それが自然だもの!貴方の幸せだって、その先にあるに決まってるもの!!」


「・・・・・・・・・」




なに?


唇噛みしめて・・・



「もしかして、おじいさんに反対されてるのっ?

だったら私、応援するからっ!!一緒におじいさんを説得してあげー」


「だまれっー」



調子に乗ってた


一喝されて、身体がビクンッてなった




「ただいま帰りました、ご主人様。 りか様にお着替えを・・・」




いいタイミングで、執事の真崎さんが現れた




「あとはまかせるー」




そういうと、彼は通り過ぎて行った



その後ろ姿を見送りながら


もしかして彼は・・・


背徳な恋愛をしているのだろうか?


なんて考えが、悶々と頭の中を占めていった・・・・














「・・・え?結婚式?」



真崎さんの話に耳を疑う私



「そうです。、日取りも場所も既に決まっているので。

あなたには、それまでに色々な作法を身に着けてもらうことにー」



「す、すみませんっ!ちょっと・・ 父に電話をしてもいいですか?」



「・・・ どうぞ」




私は、持ってきていたバッグから携帯を取り出すと


父の番号をクリック・・・


真崎さんをじーっと見つめていると、失礼します、と席を外してくれた




「あ、もしもし?お父さん?」



バタン



真崎さんがドアの向こうへ消えるのを確認



「ちょっとぉおおおお!!どういうこと?一千万って・・・

お父さんっ!私を売ったのっ!!?」



憤りをおさえられない私はつい、声が大きくなる


携帯相手に喧嘩を売ってる気分



「すまない、りか!それは・・・融資をしてくださる、ってことで・・・

銀行からの借り入れが成功したらお返しするつもりだ」



「一千万もっ?今まで、そんなに借りれたことなかったじゃない!!

今日だって断られたばかりだったくせにー」



「・・・・ 申し訳ない」



「申し訳ない、じゃないわよっ!!どうなってるのよっ

ほんとに不思議でならないわ?

どうして私があんな金持ちイケメンと結婚しないといけないのっ?」



「イケメンだったろう?よかっただろ!!」



「何がよかっただろ、よ!!ふざけるな、って言ってるの!!

口約束も契約だとか言って・・・お金まで受け取っちゃって・・

どうするのよぉーー!一人娘の結婚、何だと思ってるのっ!?」



「・・・・ すまない、りか・・・」



「信じられないわよ・・・ こんな突然、ふってわいたような結婚って・・・

それにっ!!あの人、好きな人がいるみたいなのよ?それって可哀想じゃない?

おじいさん、ひどすぎるわ・・・」



「ええっ?それはおかしい・・・。会長の話だと、跡継ぎなのに結婚する気が全くないから

誰とでもいいから結婚して子供を作ってもらわないと、ってー」



「子供っ!?」



「そうだ!だから、子供ができなかったら、お前はお払い箱だ!

そうだそうだ、それがあった!帰れる可能性があるぞ?」




突然、さっき見たキングサイズのダブルベッドが脳裏を過った



ボッ(//・_・//)メラメラ




「お父さん・・・ 何気にすっごいこと口にしてると思いませんか?」



「え?いや、だって・・・」



「それに、好きな人がいる人が別の女とそんな気にはー」



「なるなる!心と下半身は別物なんだ、男ってやつは~」



「・・・・ お父さん?」



「あ・・・」



「もういいっ!!」



ブチッ




信じられないわっ


娘にあんなこと言うっ!?



そうねそうね、どうせ娘を金で売った輩だもんね、お父さんは・・・!!





コンコン



「そろそろ、いいですか?」




・・・・ すっかり忘れてた!真崎さんっ!!




「はいっ」



ガチャ



私の返事が聞こえるや否や、ドアが開いた


あ~もう・・・

結婚式の日取りが決まってるとか

問い詰めること、できなかったし・・!!




「あのっ、私、仕事は・・・ 仕事は今までどおりしてもいいんですよね?」




おとなしく花嫁修業みたいなこととかできないしっ!!



思いつめたようにそう尋ねると

真崎さんは、にこっと笑って



「もちろんです。今までどおり・・・ どうぞ^^」



「ここには、私たちの他には誰もいませんよね?

お手伝いさんみたいな人たちがやってきて

食事や洗濯、お掃除なんてやってくれるとかはー」



「ありません。ご主人様と、あなた。そして私だけなので。」



「私だけ、って・・・ 真崎さんはここに一緒に?」



「ええ。私はユノ様の執事なので^^」




ユノ様の執事・・・・


あ、いけないっ


また私、変なことをー/////




「真崎さんは・・・ 食事に洗濯、お掃除までひとりでこなしちゃうとかなの?」



「まさか!」



「え?」



「そう言ったことは全部、奥様になる、あんたがやるんだよ」




・・・・え?


気のせいかな?


真崎さん、言葉遣いが・・・・



あ、でも、うちの店に来たときもこんな感じだった??




「真崎さん・・?」



「いいか?オレは絶対認めないからな?どうしてあんたなんかがご主人様とっ・・・」




キャーーーーーッ


こ、これってまさかっ!!!?



まさかまさかっ


真崎さんって、ご主人様のことを!!?




「・・・ なんだ?あんた・・・・」




私、きっと、目をキラキラさせて、真崎さんのことを見つめていたと思う


だってこんな、夢みたいな世界がリアルに拝めるなんてっー




「真崎さんっ!!」




私は、真崎さんの両手をとって握りしめる



「は?」



「わかります、わかります、ご主人様・・ 素敵ですもんね~」



「なっ!?」



「認めてくれなくて結構です!いや、寧ろ認めないで!!

私が出て行けるように協力してください!!」



そして、いる間はリアルに私を楽しませて!!


あ~ん・・・


そういうことだったのねーーーー!!


あの人の好きな人は執事の真崎さんっ


ご主人様と執事のイケナイ遊び!!


見せて見せてっ


私に見せてっ!!




「・・・・ 協力するって、どうやって?」



「それはおいおい、考えましょう!」 にこっ



「でも会長に逆らうなんてことは、絶対に無理ー」



「この世の中、絶対、ということなどないのですよ?」



「・・・・・・・・・・」





やばい・・・


ヨダレが出そう・・・







つづく・・・










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どうでしょうか?どうでしょうか?



楽しめそうですか?



・・・私は楽しんでますけど(笑)