「・・・ どうする?切るか?」
検査の結果、急性虫垂炎だと医師に告げられ
薬で散らす方法もあるが、私の場合、腹膜炎も併発していて
この際、手術してしまった方がいい、とのこと
一緒に話を聞いてくれた社長からの問いかけに
ついつい気になる仕事のこと
「でも・・・ 手術となると最低でも一週間は・・」
大丈夫なんですか?
「大丈夫だ、それくらい」
「さっき、私に何かあると困るっておっしゃってませんでした?」
「だから、無理をさせて何かあると困る、って言ってるじゃないか
切ってしまえ!」
「・・・・・・・・・・」
「いいな?切れよ?・・・オレは仕事に戻る
代わりの者を呼んでおいたから」
「・・・ 代わりの者?」
「お前の付き添いには、最適なヤツだ。じゃ」
「社長ーーっ」
そう言って、私が感謝の余韻に浸る時間すら与えてくれず
社長は仕切りのカーテンをあけ、救急外来のドアの向こうへと消えてしまった
私の付き添いに最適なやつって、どういうこと?
何て考えていると
カーテンが開いて
「純っ!?」
純が現れて、私のベッド脇の椅子を引き寄せて座り込んだ
「どうして、純が・・?」
「社長さ、ぜぇ~~んぶ、知ってたぞ」
・・・・え?
「ぜんぶ、って・・・」
なにを・・?
「お前のお父さんが誰かってことも、叔父さんのところでうまくいかなくて
飛び出したっきり疎遠になってるってことも・・」
「・・・・・・・」
だって前、私の採用面接には立ち会えなかったから、って・・・
笑って私に志望動機、聞いてたじゃないですか・・・
「さすがに、社長を誘惑しようとして秘書になった、とは思ってないんだろうけどな?
ハハッ・・」
「ハハッ、じゃないわよ!うっ、イタッ・・」
「大丈夫かっ!?これから手術するんだろ?」
「うう~っ・・」
「どうしたっ?痛いのかっ?看護師さん、呼ぼうかっ!?」
私は慌てる純の腕を掴んで、必死に首を横に振る
「・・じゅ~ん・・・ しゃちょおがぁ~・・やさしいのぉおおおぉ~~」
「は!?」
ぽろぽろぽろぽろ・・・ 涙が溢れてくる
「おまえに何かあったら困るって・・・優しいのぉ~~~」
「・・・・ よかったな」
「・・・・私って・・・ 男見る目、あるよね・・・・」
「そうだな」
「じゅ~~ん・・・、いたいよぉ~~~・・・やっぱ、誰か呼んでぇ~~」
「おまえな、嬉しがるか、痛がるか、どっちかにしろよ!待ってろ?
・・・ すみませーん・・・」
ーー お前の付き添いには、最適なヤツだ。
社長・・・・
社長って、ほんとに何でもご存じなんですね・・・・
・
・
・
・
・
「・・・・ ふぅ~・・・・」
今まで、水戸に甘えすぎていたな・・・
少し反省しないと・・・
「・・・社長?少し、ご休憩をとられてはいかがでしょうか?
病院から戻ってこられて以来、昼食もとらずにー」
「大宮、すまない。お前には迷惑をかけるな」
「構いませんよ?先代の時には元々秘書兼運転手でしたから」
「あの時は、もうひとり、秘書の艶子さんもいてくれただろう?」
「本当に大丈夫です。社用車の運転手だけでは、暇で困ってましたから^^」
「大宮・・・。」
「あ~でも・・社長がお出かけの際の同行者としての役はできませんよ?
私には華がございませんから、華が!
そういうときは、ただの運転手に戻らせていただきます」
「ぷっ!大宮・・ おまえ、いつからそんな面白いことが言えるように?」
「昔からでございますが?」
「・・・ ほぉ~う・・それは、気がつかなかった・・
そうか、しょうがないな。だったら水戸が戻るまで出かけるときは一人で・・」
「いらっしゃるじゃありませんか!!」
「ん?」
「語学も堪能な、最適なお方が!!!」
大宮のキラキラ光る瞳
ランランと輝く・・それは、汗か?アブラ・・?テカテカというべきか?
が、何を言いたいのか、教えてくれている
「・・・・・ それはない」
「どうしてですかっ?」
「アイツにそんなことはさせられない」
先日のカフェでの一件もある
これ以上、目立つことは避けなければ・・・
「・・・ そうですかね~?喜んでなさるんじゃないかと思いますがね~」
「・・・ 喜んで?」
「『社長のピンチを私が救うんですねっ!?』 ・・・・とか言われそうじゃないです?」
「・・・・・・・・」
確かに・・・・
「・・・・・・・ 大宮」
「はい」
「もしかして、オレよりもアイツのことをよく知ってるんじゃ?」
「かもしれませんね?」
「おまえっ、まさかっー!?」
「ブッ!!・・・ 坊ちゃま・・・ くくくっ」
「な、なんだ?何が可笑しい?」
「・・・なんでもございません・・ぷぷぷっ」
「wwwwwww」
・・・ 大失態だ・・・!!!
・
・
・
・
・
「・・ックシュンッ!!」
「どうした~?朝倉、風邪か?」
「いえ、大丈夫ですっ」
「そんなこと言ってぇ~ 昨夜、腹出して寝たんじゃないのか~?」
昨夜・・・・
腹出して寝た・・・・?
ボッ(//・_・//)![]()
腹というか・・・ いろんなとこ出して・・・(*v.v)。
じゃなくって・・・!!!
やばいっ
やだやだやだっ
思い出してしまった・・・!!
昨夜の・・・(///∇//) あれやこれや、あれやこれや・・・・
「キャーッ(/ω\)」
「・・・・ 朝倉、大丈夫か?」
・・・・ ハッ (*_*)
「す、すみませんっ、店長っ!!ぜんっぜん大丈夫ですっ!!!」
私はベタだけど、片腕をあげて、なぜか力コブを作る所作をしてしまった
「・・・・・・」
口をあんぐりあけた、間抜けな店長の視線とぶつかる
「朝倉、男ができてなんかキャラ、かわったな?」
ドクンッ
「え・・?キャラ変わった、って・・・」
私なんかが・・・ 気持ち悪い、とかって・・?
呆れられる?
嫌がられる?
私、くびになるっ?
「なんかいいよ、明るくて。」
「はい?」
自分の想像を裏切る店長の笑顔に
心の中の霧が晴れていく
「・・・そう・・ですか?」
「うん、いいよ、こっちのほうが^^」
こっちのほうが・・・
いい?
きもい、じゃなくって?
「ほんとですかぁ~~~~?」
「な、なんだよっ びっくりするじゃないか!!」
「だって・・ 店長が・・・」
抱きつきたいくらいだ
店長に・・・!!
「ま、とにかく!仕事、頑張って!
今日は松本もいないし・・・忙しいから!」
「ハイッ!!私、ガンバリマスっ!!」
店長に敬礼すると、ホールに戻る
あ・・・
そういえば松本君・・・
今日はあのまま、帰ってこないって・・・
社長からも連絡ないし・・・
会社には戻られたみたいだけど
連絡・・・
くれないのかな・・・
今朝の電話のこと、話したいのに・・・
でもでも・・・・
やっぱり社長は水戸様と・・・?
いやいやいや
私におばあさまと会うか?
って
覚悟決めた、って・・・
私・・・
信じていいんですよね?
信じたいのに・・・
今朝のお2人の衝撃的なお姿が
脳裏にちらついて、ちらついて・・・
今の私・・・
疑心暗鬼です
つづく・・・・
