「あ、大宮さぁ~~~ん」
私は社用車をモフモフのモップで磨いている大宮さんを見つけると駆け寄った
「お疲れ様です!大宮さん!!
ちょうどよかった、これ!さっき、自販機で当たったんです!
よかったらどうぞ」
「ありがとうございます^^」
とても紳士的に私の差し出したペットボトルを受け取ると
大宮さんは、プシュッと音をさせてキャップを開けた
「あの・・・ もしかしてこれから、どこかへお出かけなんですか?」
「はい、グローバル社へ」
「えっ?」
グローバル社って・・・
あの時のー
「あのっ・・ 私、よかったんでしょうか?」
「何がですか?」
「あの時・・、ミン社長の結婚披露パーティに社長に同伴で参加したこと・・・
何か私、あの時は、社長がミッションだなんて言うから
ほんの軽い気持ちで行ったんですけど、今思うとー」
「今は・・ 重い気持ちですか?」
「やだな~ 大宮さん、重い気持ちだとかって日本語、遣いますか?」
「遣わないですね、ハハハ」
ハハハ、って大宮さん・・・
優しいなぁ~
「社長が決められたことですから、大丈夫です」
「え?でも、もし何かあったらー」
「それも社長の責任です。いいんですよ、何かあったら社長にすべて責任をとらせれば」
ええーーーっ
「だ、だめですよ、そんなのっ!!
何かあったりしたらそれはもうー
全部私のせいなんですからっ!!
きっと、もっと綺麗な人・・っていうか
ちゃんとした人を連れて行かれたらよかったのにー」
「そうですか?」
「そうです!!・・っていうかあーもうっ
私があの時、もっと慎重に考えたら
あんなすごい席に同伴するもんじゃないって
わかってもよさそうだったのにー」
「・・・ 慎重に考えられなかったんですね?」
「えっ?はっ!?大宮さんっ!?」
慎重に考えられなかった、ってなんかっ
それってまるで私が社長にうつつをぬかして/////
・・・って、そうなんですけど
「朝倉さん、きっと、しゃ・・」
「朝倉ぁああああーーーーっ!! おまえっ いつまで休憩してんだぁーーー!!!」
「うわっ やばっ!!・・・じゃあ大宮さん、私、行きますねっ
お仕事、頑張ってください!」
「・・ありがとうございます。朝倉さんも^^」
「あ、さっき・・ 何か言いかけました?」
私は行きかけて、振り返った
松本くんの声がかぶっちゃって
大宮さんの声がかき消されたような気がするんだけど・・・
「いえ。早く戻ってください^^」
「じゃあ・・」
私がペコリとお辞儀をすると
大宮さんは会釈を返して 車の運転席側へと回って行った
「あれ?・・・さっきの・・ 社長の運転手のー
何?朝倉、仲いいの?」
「え?あ、ううん、たまたま自販機で当たっちゃって・・
2本も飲めないな~って思ってたら姿が見えて・・」
ドキッ
そうよね、私なんかが社長の運転手さんと仲良くしてるなんて
普通、ありえないもんね
まったく接点ないんだし
「なに?おまえ、そういうのは、オレにくれればいいだろ?」
「だって松本君、炭酸、飲まないでしょ?」
「げっ・・ 炭酸だったのかよ・・」
あぶない、あぶない・・・
気をつけなくっちゃ・・・
・
・
・
・
・
「社長!では私、場所を確認してまいりますので」
「ん」
車を降り、本社のロビーまでくると
水戸が受付へと歩いて行った
「シム社長!」
突然声をかけられ、振り向くとそこには1人の若い男性が立っている
名前は・・・
覚えがない
「僕の彼女、・・・解放してくださいました?」
「・・・? 何のことだ?」
「びっくりしましたよ、まさかシム社長が僕の彼女を連れていらっしゃるなんて・・・
よく見つけましたね?普段の彼女ならー・・ 想像もつかなかったんじゃないです?」
こいつ・・・
まさか、アイツのことを言ってるのか?
「・・・ ダレだ?」
「あ~これは、失礼しました。先日のパーティではご挨拶ができなくて・・・」
そういうと、徐にジャケットの内ポケットから名刺を取り出し
目の前に差し出してきた
あのパーティにも来ていたのか
「はじめまして。望月竜馬と申します」
「・・・・ 何のことを言ってるんだかー」
「先日、そちらのカフェにお邪魔させていただきました。」
ーー っ!!!
カフェに来た、って・・・
それじゃあ、こいつがー?
「なかなかの盛況ぶりですね^^」
「それはどうも。スタッフがよくやってくれているので」
「彼女、使えるでしょ?英語にフランス語・・・ 語学が堪能なんでー」
・・・ 間違いない
「・・・ 友達・・ だとか?」
「へぇ~・・ 驚いたな。僕のこと聞いてるんです?
あの日・・ あの場限りじゃないんだ?」
コイツっー!!
「社長っー! ミン社長はこちらの本館ではなく、あちらの新館の方にいらっしゃるそうです。」
水戸が走り寄ってきた
「・・・・ あの・・ お知り合い、ですか?」
コイツを見て、秘書として訝しむ表情を浮かべる
「初めまして!ミン社長の直属の部に所属させていただいております、
望月竜馬と申します」
堂々と、水戸にまで名刺を渡す
社長直属の部にね~・・
「これは・・ 初めまして、私はー」
「水戸真理亜さん。・・・ 有名ですよ?」
「はい?」
「シム社長の美人秘書!・・ってね^^」
「そ、そんなっ////」
・・・・ 気に入らん
「水戸。行くぞ。」
「えっ?」
「ミン社長は新館におられるんだろう?」
オレは奴を無視して歩き出した
「えっ?でも、社長っ?
あ、では、望月さん、失礼いたします!」
水戸は丁寧にあいさつをしてから、オレの後に駆け寄ってきた
ふんっ
なんだ?
僕の彼女を解放してくれましたか?だと?
僕のこと聞いてるんだ?
あの日、あの場限りじゃないんだ?だと?
アイツ・・・
どこまで話してるんだっ!?
・
・
・
・
・
「やあ、シム社長!先日はどうもありがとう~」
満面の笑みでミン社長は迎えてくれた
どうも・・・
お幸せそうで、何より・・・
「いえいえ、こちらこそ。先日はおめでとうございました^^
ということで早速、今日はー」
「まぁまぁ、そんな急がなくても・・ 僕はね~ 君はてっきりこちらの美人秘書さんと来るものだと思ってたんだよ。」
「えっ?まぁ////」
「でもまさか、あんな美人で聡明な彼女がいるなんてねー
いや~ 僕の結婚披露だったのにすっかり主役を奪われて・・・」
「もういいでしょ、その話はー」
「あ~そういえば、今日、母のところに、君のおばあさまがいらしてね?
パーティでの写真はないか、って・・・・
気に入ったのを何枚か持って帰られたようだよ」
「え・・・・」
おばあさまが・・・?
パーティでの写真を・・・
何枚か・・・ 持って帰った・・・だと!?
ちょっと待て・・
写真って・・・?
つづく・・・