「お疲れ様っしたぁ~~」
「・・・・・」
就業終わり、ロッカーを出たところで松本くんとバッタリ出くわした
「・・・ お疲れ様でした」
「これはこれは、イケメン彼氏のいるリア充朝倉!」
「なにそれっ?」
「ほんっと、おまえにはびっくりだよ
私、こう見えて彼氏いるんですぅ~ってやつだよな」
「こう見えて、って何ですか!こう見えて、って!!・・・ってわかりますけど」
確かに・・・
私なんかにいるって普通思わないですよね
「・・朝倉ぁ~ ちょっとつきあってよ」
「え?今から、ですか?」
「うん」
「えと・・ どれくらい・・?」
今日は社長とー
「何?あ~ もしかしてデート?」
「え?えぇ、まぁ・・」
デートって言っていいのかどうか・・・
「いいよな~ リア充さんは」
「だからそれ、やめてくださいって。
・・・松本くん、もしかしてこの間言ってた
ミイラの彼女さんとはうまくいってないんですか?」
「何だよ、ミイラの彼女って」
「だって、ミイラとりがミイラになったとかって」
「あー・・ へんなとこ覚えてんのな、おまえって」
・・・目、伏せた・・
うまくいってないんだ?それで今日お皿を?
「私、ちょっとならつきあいますよ?」
「いいわけ~?彼氏、怒らない?」
「遅くなるって言ってましたから」
彼氏じゃないけど
「よしっ じゃー、付き合え!!」
ぐいっ
肩を組まれて社員用通用口を出た
・
・
・
・
・
「でー、ある日突然、オレのいる中学校に転校してきたんだ
両親が亡くなって、親戚のうちに引き取られたんだと。
それがさー もう、めっちゃ美人でさ~
もう、クラスの男子はおろか、学校中の男子が恋に落ちたね」
・・・・ そんなわけあるかいっ!
「松本君も・・ですか?」
「ったりめーじゃん。
オレん家、その子の親戚の家と近かったんだよね」
「へぇ~・・じゃあ、登下校とか一緒にしたりして?」
「・・・・・・・・・」
無言でジロって睨まれた
「あ~ 片思いだったんだ?」
「まぁ、一緒に遊んではいたかな・・遅くまで。
あいつはあんまり家に帰りたがらなかったからな・・・」
「・・・・・・・・・・」
「なんだよ、その目はー」
「中学生・・ ですよね?」
「高校までは一緒でさすがに大学は・・ってああー!
おめー、今、何か変なことっ///」
「いや~だって・・松本君でしょ?」
色々多感なお年頃じゃないですか~/////
「・・・・ おまえがオレのことをどう思ってんのか知らねーけど
そういうの、いっさいシてねーから」
「ええっ!!?」
「何だよ?」
「まさか・・・ それで当時からずっと好きってやつ?」
「悪いかよ、はいはい、どうせキモイとか言うんだろ?」
「そんなことないですっ!!!そりゃあ一見チャラそうな松本くんの外見からは
想像もつかない純愛でかなり意外ではありますが」
「・・・ なんかフクザツ・・」
「その方は、松本君の気持ち、知っておられるんですよね?」
「・・多分な。カンのいいやつだから」
「え~?知ってて・・もしかして、都合のいい男・・ってやつですかっ?」
す、すごい・・・
松本君って、カフェのスタッフ内でも実は結構人気があるの、知ってる
「・・ まぁ、あいつは恋愛どころじゃなかったし・・・
そういうことになるかね~・・」
ぐっ!!
私は松本君の手をとり
「頑張ってください!!なんかそういうの、嫌いじゃないです!!
私、応援してますっ!!」
「えっ?あ、いや・・ さんきゅ」
「あ、でもどうしてそんな話、私に?」
してくれたんだろう・・・?
「あー・・ なんか、無性に誰かに聞いてほしくなった、っていうか・・
実はもうさ、諦めようかと思ってんだよね」
「ええーーーーっ?」
さっき、応援・・します、って言ったばかりなのにー
「諦めるって、なんでっ!?どうしてっ!!」
「・・・恋愛に無縁だったあいつがさ~・・
好きなやつが出来たみたいでね」
「え?そういえばさっきも思ったんですけど
どうして恋愛に無縁だったんですか?
めっちゃ綺麗な人だったんですよね?
モテてたんですよね?
っていうか、好きな人が出来たみたいって
それって松本くんじゃないってことですか?
そしてそれを黙って応援するって言うんですか!?」
どうして松本くん、そこまでいい人なんですかっ??
そんなのっ 苦しすぎるじゃないですか!
彼女さんも、どうして松本君の気持ちを知っていながら
そんなっー
「・・・まぁ?できれば諦めてほしいって思ってるけどね」
「難しい相手・・なんですか?その人の好きな人・・・」
「そうだね」
「だったら!松本君にもチャンスがー」
「そういうわけにも、いかないでしょ」
「どうしてっ?」
♪♪♪~~~
「・・・・ 携帯、鳴ってっぞ?彼氏からなんじゃねーの?」
「えっ?あっ・・ 失礼しますっ!」
慌ててスマホを確認する
・・・社長からメールだ!!!
ーー 終わった。今、どこ?
えっ?もう、会えるんですかっ?
「・・・ めっちゃ嬉しそー。・・すごいね、好きなんだねー。」
目の前の松本君が、そう言って微笑んだ
「えっ?そ、そんなっ///」
顔に出てますっ!?
「いいよ、行って行って!!」
ほらほら、とばかりに手を振られる
「え、でもー」
「オレはもうちょっと飲んでくから。ってか、元々そのつもりだったし」
「あ・・ じゃあ。お金、これで足ります?」
「あ~、いいっていいって、オレが強引に誘ったんだし」
「いえ、じゃあこれでお願いします!ってことですみません、失礼します!!」
ガタガタッー
席を立つと、椅子をなおす
「リア充朝倉、また明日^^」
「もう~っ・・ また明日っ!!」
ーー すみません、竪町の居酒屋で飲んでました
ーー はぁ?
ーー あ、私は食べただけで、お酒は飲んでません!
ーー わかったから、どこ?どのへん、いるの?
ーー 今、通りに出てバス停まで走ってます
ーー 車だから。バス、乗らないで
ええっ?
車っ?
もしかして、また部屋着っ?
それとも、オープンカー借りてきたとかっ?
♪♪♪~~~
電話だ!!
「はいっ!」
「・・・ すごいな。走りながら電話に出れるんだ?」
「えっ?・・・ハァハァハァ・・」
いきなり耳元に聞こえてきたその声に無駄にときめいてしまう・・・
「見つけた」
「えっ?どこですか?」
きょろきょろきょろ・・・
ファンッー
クラクションが鳴った方を向く
「・・・ そっち?・・ハァハァ・・」
黒塗りの車、後部座席の窓がおりてる・・・
気づいたら電話はもちろん、切れていて
私は近くの横断歩道が青になるのを待った
息を整えながら・・・
会社の車、かぁ~・・・
・・ってことは、大宮さんが運転してるのか
青になった途端、走って横断歩道を渡ると
ハザードランプを点滅させてる車まで駆け寄る
「こんばんは!」
後部座席のドアをあけようと立っている大宮さんにあいさつをした
大宮さんは、にこっと笑うと
「お待たせしました^^」
そう言ってドアを開けてくれた
ガチャ
え?///
お待たせしました、って・・
「失礼します・・」
私はかがんで、導かれるままに後部座席へと座る
車の芳香剤と、社長の香りと・・
うわっ!!!
私、走ってきたけどっ・・
汗臭いんじゃっー
ぎゃあああああ
やだやだやだっー
やばいっ!!!
出来るだけ社長から離れてドア寄りに座る
せめてもの・・・ 悪あがき
くすっと
社長が鼻で笑われたような気がした
ううぅ~・・・
走った自分を呪う・・・
「どちらにまいりましょうか?」
運転席から振り返らずに大宮さんの声が飛んできた
「え?あっ・・」
どーしよぉーー
ノープランだったっ!!
いくらでも考える時間あったのに・・・
オーマイガー!!!
「・・あの・・ 私の家でも・・・・いいですか?」
もう遅いし、社長・・ 私と一緒のところなんて見られたら困るだろうし
・・・って、不謹慎な下心が全くないとは言い切れませんが(*v.v)。
でもでも、大宮さんも一緒だし・・
だとしても拒否られるかな?
そしたらどこにしよう?
どこかぐるっとドライブでもしてー
いや、それって無駄にガソリン使わせることに?
ってなるとー
「じゃあ そこで」
・・・・ え?
「わかりました。」
・・・ え?
決まった?ウチに?
「え?大宮さんも?」
私の発言に、ミラー越しに運転席で固まっている大宮さんが見えた
「・・・ バカか、おまえは」
隣から聞こえてきた声に振り向くと
社長は窓際に肘をついて、外を見ておられた
でも・・・
窓ガラスに映った顔がー
怒ってるわけじゃないんだな、って一目で見て取れた
つづく・・・