会場に入るなり、一組のカップルが私たちの前にたちはだかった

 

ドキッ

 

・・っていうか、ビクッ


 

瞬間、社長の腕にかけている手に力が入る


 

女性は私を下から上まで撫でまわすように見つめてから

社長に向かって笑みを浮かべると高いトーンでこう言い放った


 

「まぁ・・ シム社長にこんな素敵な方がいらっしゃったなんてぇ・・・」



 

ポッ(//・_・//)

 

す、素敵だなんてっー



 

貴女の方がずっと綺麗で可愛いくってー



 

「・・・(社交辞令だ、バカ!)」 ボソッ

 

斜め上、味方から矢が刺さった


 

・・・ アハハハ、そうですよね~


 

にっこり・・



 

「オー! マシェリ~♪」


 

ドキッ


 

隣の男性が声をあげた


 

「あら失礼^^ 私のツレ、フランス人なの!

ごめんなさいね?」


 

「アンシャンテ^^

コマン タレ ヴ?」


 

「ビアン~ メルスィ エトワ?」


 

「パ マル」


 

「ケレ ヴォトル ニュメロ ドゥ テレフォン?」



 

ぐいっー


 

調子に乗ってしゃべっていたら

いきなり、社長に腕をひっぱられ

入れ替わるように社長が私の前へー


 

フランス人の彼、社長の横から顔を出し


 

「アラ プロシェンヌ!」


 

私に向かって?


 

「ア ビヤント」


 

でも返事は社長がしちゃった・・・


 

そう言って頭を下げると、手を引っ張られ、別のテーブルへと歩いて行く


 

「すごいですね、社長・・・ 何か国語、話せるんですか?」

 

「それはお前の方だろ、どうしたんだ?フランス語・・」

 

「私、大学のときに第二外国語はフランス語、とってたんです

何て言うか、フランス語の響きって、妄想力掻きたてられますよね

妙に・・・//////」

 

「・・・・ おまえのソレは、最強の武器だな」




 

「シム社長!・・あちらで鮫島社長がお呼びです」



 

そう呼ばれて、社長が振り返る


 

「・・・ どうぞ。行ってきてください。私なら大丈夫です^^」


 

ほんとは大丈夫じゃないけど


 

「そうか?・・じゃあ・・あっ 誰かに聞かれても余計なことは言うなよ?

うちの会社に勤めているとか、特に名前は絶対名乗るな!」


 

「シークレ~~ット」


 

人差し指を唇にあて、そう返事をすると

 

はぁ?

 

という呆れ顔をして、くるっと背を向け、行ってしまった


 

くすっ


 

わかってますよ

 

今日の私の役目は、社長の隣には女性がいる

っていうアピールなんですもんね

それが誰か、なんていうのは全く必要ないんですよね


 

ただの・・・

 

飾り・・・




 

中央にズラ~~~っと陳列されている美味しそうな料理の数々をみつめ

お皿をとって、そばによる


 

せっかくなんだから、こういうときは、食べるしかない!!


 

どれからいく?




 

「・・・・ 朝倉さん?」



 

ビクッ



 

突然、背後から名前を呼ばれ

 

身体に電流が走ったかのような驚きが・・・


 

どうなのどうなの?

 

これは振り返るべきなの?

 

でもでも、ダレ?



 

「・・・ 朝倉さん・・だよね?」



 

私が固まっている隙に隣に立たれ、覗き込まれた



 

「・・え・・ 望月くんっ!?」




 

 

 

 

 




 

「いや~ これは驚いたな~

チャンミン君、あんな素敵な恋人がいるなんて・・・

そりゃあ、うちの娘なんて相手にしてもらえないはずだな」


 

「そんな鮫島社長・・ その節は申し訳ありませんでした」



 

ここで鮫島社長に会えたのはラッキーだった

 

これであの縁談ははっきりと白紙になる


 

「おばあさまはご存じなのかい?」


 

「ええ・・ ついこの間・・・

なかなか言い出せなくて、鮫島社長にも

ご迷惑をおかけしてしまうことになりました・・」


 

「いやいや、私はいいんだがね?

あの子は、本当に君が好きだって言ってたから・・・

これはショックを受けるだろうな~」


 

・・・・・ (・・。)ゞ



 

「それにしても、綺麗なお嬢さんだね

なんでも?語学も堪能だとか・・・

さぞかしモテるんじゃ・・・

まぁ、君なら心配することはないだろうが・・」



 

フッー

 

すごいな、アイツの効果は・・・・

 

まさかこれほどとは思わなかった

 

さっきのフランス語のパフォーマンスも

あの女性、すごく悔しそうな顔してたしな・・


どこのお嬢様か知らないがー

 

ツレのフランス人も恋人と言ってたが

違うんじゃないか?

 

アイツに電話番号を聞いてきたくらいだからな


 

・・・・・ん?

 


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誰か・・・ アイツの隣に・・・・・?







 


 


 


 


 




 

「あ~よかった、振り向いてくれないから

違う人かと思ったよ」


 

「ごめんなさい・・・ でもよくー」


 

わかったわよね?

この私だって・・・


 

「まさかとは思ったけどさ、さっきのフランス語の発音聞いてー

あ、あと卒業式で一度見てるから。君のその変貌・・」

 

「あー・・」

 

「オレのことも覚えていてくれて嬉しかったよ

名前なんて知られてないかと思ってた」

 

「そんなっ!!覚えてますよ!!」


 

イケメンさんは、特に!!

 

そもそも、フランス語の素敵な響きに気付いたのは

フランス語の講義での貴方の発音のおかげ・・

 

なんてことは言えない


 

「オレ、グローバル社に入社したんだ

実はこう見えて社長に結構可愛がられててさ」


 

「か、可愛がられてるっ!?」


 

そ・・ それはっ 具体的にどんなふうにっ?

 

もしかしてこの結婚式はその社長さまの・・・

カモフラージュとかっ!!?

 

私の中の妄想煩悩が走り出す






 

・・・・・ アイツ・・・


 

なんか、ヤバいモード・・・ 入ってないか・・・?



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あの一緒にいる男・・・・ ダレだ?







 

「・・・ 朝倉さん?」

 

「あっ!! ちょっとごめん、望月くん・・ 私の名前は呼ばないでくれるかな?」

 

「え?どういうこと?」

 

「ちょっと・・ わけありで私の名前は内緒ってことでー」

 

「へぇ~・・・ わけありってー・・ シム社長サイドで?」



 

うっ!!

しまった!!

 

この人、グローバル社だって言ってた!

しかもっ

社長に可愛がられてるってことは近い?

社長と親しいってこと?

 

ま・・ まずくない?

それってー


 

「ごめん、望月くん・・ ほんとに」

 

「いいよ。じゃあ黙っていてあげても」

 

「ほんとっ?助かるー」

 

「そのかわり、今度つきあって?」

 

「へ?」


 

・・・ 今度、つきあって?


 

「これ、オレの名刺。いい?3日以内に電話してこなかったら

バラすからね^^」

 

「・・・・・・」

 

「じゃ、おたくの社長がこっち来るから行くよ」

 

「ええっ?」


 

おたくの社長がこっち来る、ってー

 

私は慌てて振り返る



 

「・・・・・ さっきのは、誰だ?」


 

ヒィーーーーーーーーッ叫び


 

綺麗な人って、怒った顔は凡人よりも数段怖いって、知ってました?

 

私、今、それを痛感しております!!!!



 

「さ・・ さあ? 誰でしょうか?」


 

「・・・・ 知らないやつなのか?」


 

「当たり前じゃないですかっ!!私の知り合いがこんなところにいるとでも?」


 

「・・・・・・・・・」



 

ムリムリムリっ

 

これ以上は追及しないでくださいっ

 

名前を知ってる人がいるなんてことバレたら

 

なんてことを想像しただけでー

 

私、耐えられませんっ(/ω\)



 

「・・・ それもそうだな。」



 

ホッ


 

うんうんうん!!!


 

「じゃ、ミン社長のところにお祝いを言いに行くぞ」

 

「はいっ!!」

 

「・・・・ おそろしくいい返事だな・・」



 

だって・・・

 

追及を逃れられた解放感で・・・ほわぁ~ん・・



 

「・・・ ほら」


 

「はい?」


 

言われて、必要以上に主張されている社長の腕を見つめる


 

「あっ、ハイ!」


 

ぎゅっ

 

ちょこんとではなく、今度はしっかり目にその腕に自分の腕を絡める


 

「えっ?///」


 

社長のちょっとびっくり!という『えっ?』が返ってきて

私の方がびっくり・・


 

「え?・・あ、ちょっと馴れ馴れしすぎました?

やっぱり最初のちょこんってくらいがー」

 

慌てて、絡ませた腕をひっこめる


 

「あ、いや、そうじゃない・・///

いいから、さっきので。」

 

「そうですか?」

 

「あぁ・・」

 

「じゃあ~」


 

ふたたび、ぎゅっ!


 

「っ!/////」

 

「・・?」


 

あれ?

社長・・・

もしかして、何か照れてる・・・?

 

わけないか♪



 

 


 


 


 


 




 

「このたびは・・・ ご結婚、おめでとうございます^^ ミン社長」


 

そう挨拶をした社長のとなりで にっこり微笑むだけ^^



 

「これはこれは・・・ チャンミン!!

さっきから聞いてると君たちの話題で持ちきりだよ?

今日の主役は僕たちのはずなのに」


 

「何をおっしゃいますか!」


 

「・・・ そちらの彼女は?

僕に紹介してくれないの?」



 

ビクッ



 

「ミン社長に紹介するほどの者ではー」

 

「どうして?自慢の恋人なんでしょ?

彼女からもお祝いの言葉が欲しいな~」


 

ドキッ


 

「それとも・・・・、ただの飾りなの?」

「ミン社長ー」


 

困ってる? 社長・・・


 

私、お祝いの言葉、言ったほうがいい?

 

社長の連れだという・・・ 何か気の利いた・・・


 

私は社長の腕を離すと 一歩、さらに離れ



 

「Happy Wedding to a great couple!!

I wish your love grow forever ・・・」



 

深くお辞儀をした






 


 


 


 


 





 



 

ドサッー



 

「ふぅ~・・・」



 

大宮の待つ車に乗るなり、後部座席でネクタイを緩める



 

「あの・・・ お疲れ様でした・・私、大丈夫でしたか?」



 

隣で、まだ恐縮そうに膝に両手をついたまま

アイツがそう尋ねてきた



 

「・・あぁ。 上出来だ。」


 

「ほんとですかぁ~~~? よかったぁ~~~」



 

・・・ ほんとだ

 

上出来なんてもんじゃない




 

「なにか、ご褒美をやらないとな・・・」




 

「ええええっ!? い、今っ なんとっ!?」




 

ビクッ!!


 

こ、こんなに喰いついてくるとはっー


 

「だ・・ だから、何かお礼でも、とー・・」





 

「ご褒美って、何て素敵な響きなんでしょうか・・・」





 

「・・・・ 聞こえてるなら、聞き返すな」





 

「私っ 社長と遊園地デートがしてみたいですっ!!!」



 

「はぁっ!?」




 

「今からだとまだ、夜のパスポートで入園できるのでは・・・」

 

「ほんとですかっ?」

 

「はい、では、向かわせていただきます」



 

「大宮っ!?」


 

お、おいっーー










 

つづく・・・