上の写真では、黄色のパーカーを着たサングラスの女性がプラカードを掲げています。
ツールドフランス開幕戦の一幕ですが、この後写真の女性が原因で大きな悲劇が起こりました。
写真でもわかるとおり女性はコース内ぎりぎりの所にいて、持っているプラカードがコース内にあるため選手の進路を妨害しています。
密集した集団のため端の選手は進路を替えることができずプラカードを避けることはできません。
この後、先頭集団左端を高速走行するトニーマルティン選手がプラカードに接触して転倒、後続の選手も次々に巻き込まれていきました。
数秒後にはコース上に転倒した選手が埋め尽くされ、後続の選手は行く手を阻まれて大混乱となってしまいました。
転倒した選手のなかには自力で起き上がることも出来ない大きなダメージを受けた選手もいます。
一人の軽はずみな行動がツールの開幕戦を混乱させ、台無しにしてしまった瞬間です。
2004年アテネオリンピックの男子マラソンでも36km付近で先頭を走行するブラジルのバンデルレイ・デリマ選手に沿道から乱入した男に抱きつかれるという前代未聞の事件が起きました。
野外競技ではこのようなことは常に起こることが予想され、観客のモラルに委ねているのが現状と言えます。
集団落車の後、女性は現場を離れますが、地元警察は刑事事件として捜査を開始、主催者側も法的措置を取るとしています。
しかし、安全対策を講じて選手を守るべき立場にある主催者側は、あまりに無策だったと言わざるを得ません。
コースに侵入しないようロープをはるぐらいのことはできたはずだし、レースを監視するためのボランティアを募れば多くの人が応募してくると思います。
観戦客にレースを妨害する行為に注意を呼び掛けて協力してもらうなど、対策はいろいろとあったはずです。
主催者側は、コースに近づかないよう指示を出したとしていますが、指示だけでは安全対策を実施していないのと同じで、守らせなければ意味がありません。
日常生活でも同様のケースを見かけることは少なくありません。
全国展開している銭湯でも大声で話しをしないよう張り紙がありますが、数名のグループが長時間湯舟を占領して大声で会話しているのを頻繁に見かけています。
店員が注意している光景を未だ目にしたことはありません。
張り紙だけでは何も対策を実施していないのと同じことです。
この女性の行為に問題があったのは事実として、厳しい処置を講じるのはやむを得ないことですが、レースを妨害する目的ではなくプラカードをテレビに映したかっただけと思われます。
確信犯とは言えない女性ひとりに責任を負わせるのは、問題があるのではないかと思います。
この女性はテレビに映ることに夢中で状況を把握できる精神状態ではなかったと思いますが、ロープがはってあるだけでも自制する効果が大きいのではないでしょうか。
ツールに出場してくる選手はプロのトップ選手で高額所得者ばかり、しかも数十人が落車して怪我を負っています。
法的措置をとると言っても一般人が責任を負えるレベルではないことは明白でしょう。
写真をみるかぎり安全対策らしいものが何も見当たらず、観客の自主性にまかせているだけのように思えます。
今年のツールは観戦規制も緩和され大勢の観客が沿道で観戦している状況、しかも参加選手が30名以上も大幅増加となっており、例年以上に安全対策の強化に取り組む必要があったはずです。
184名の参加選手が狭いコースに密集して走行している状況で一人の選手が転倒すれば大規模転倒に発展するのは必然、集団落車を避ける対策がそもそも欠けているように思います。
女性観戦者は警察に逮捕され身柄を拘束中で、自分の行動を恥ている様子で、あまりの反響の大きさに驚きと懸念の心境を話していると言う。
主催者側は、女性に対する訴えを取り下げたとされる。
選手たちからも安全対策に対する抗議行動が起こり、第4ステージ開始直後に一斉にストップ、しばらくしてからゆっくりと走り出したという。
ここまで沿道での観戦が許されてきたが、規制を強化すべきとの意見も出ており、主催者側は何らかの対策を講じなければならないだろう。
安全対策は選手を守るためだけでなく、観戦客を守るためにも必要な措置、労力を惜しまず出来ることは実施してもらいたい。
