SFコメディ時空警察

 

下記の読み上げがこちらから朗読として聞いてみてください。

 

☆あらすじ

時は西暦2150年。未来世界でタイムマシンが発明され、タイムトラベルが観光のメインとなった。だが同時にタイムマシンを悪用した歴史の書き換えや、歴史人物のなりすましによる被害がでてきた。たとえば、歴史上の謎やミステリーとされるものが時空犯罪の最たるもので、日本政府はこうした「時空犯罪」の摘発を本格化させた。このストーリーは歴史に介在するための特殊技術や道具を駆使して、時空犯罪者を追いかける小規模予算SFコメディである。

 

☆ストーリーのおもしろさ

紀元前6000年のエジプト文明、インカ帝国、インダス文明など文明の発生と消滅は未来人のいたずらである。直近の記憶に新しい歴史事件は時空犯罪者の仕業であるとするのがこの物語の解釈と面白味である。だから、歴史に興味がない人にもバブル崩壊やリーマンショックが、未来の時空犯罪者の仕業という解釈で楽しめる。

2150年から見て、関ヶ原合戦の真相、本能寺の変の新解釈、ケネディ暗殺の真実などをもっともらしく語られる。

 

☆登場人物

・姫野美琴:この物語のヒロイン。時空警察官として警視庁に勤務。専門は日本史。推理力があって犯人ではない人の秘密とその動機をいいあてる。元高校教師。

 

・宮内圭吾:あだ名は仏、聖人。姫野刑事とコンビを組む時空警察官。専門は西洋近代史。犯人を増やし続ける姫野をやさしくツッコむ。

 

・市村伊右衛門:姫野美琴の父親で時空犯罪対策課、通称時空警察の責任者。

 

・鮎川秀樹:鑑識及び科学捜査のエキスパート。あまり出番はないが、大好きな姫野の推理にヒントを与えてくれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その一幕末維新編 前編 偽西郷を追え!

ドラえもんの世界がそこにあるのである。チューブを走る自動走行車、ホバリングして歩行している高齢者、装いはNASA宇宙ステーションがベースで、宇宙戦艦大和の五代くんに近く、back to the futuret的なバブルルックスではない。フランス人を代表に欧州は貴族ぽいし、日本はさむらい、芸者のお国柄を出している。まあ、大した変化はない。特に人間は。

ガラスばりの透明なビルが立ち並び、高速エレベーターで100回建ての警視庁を登る。縦社会で縦割りだからそういう建物になる。

 

警察病院が警視庁内部にあり、手の甲を見せてマスク姿の医師がオペを行っている。

女医の執刀医沢口靖子が、麻酔医と助手、看護師と二語会話を展開している。

「押忍、メス、キス。・・・・・」

「ブス、カス、ボス。・・・・・ボス、ガス、クズ。」

 

聖人「相変わらず愉快なところですね。」

殺人課は1-5まであり、ワンフロア。古畑任三郎課と、太陽にほえろ課、家政婦は見た課、松本清張ミステリー課は、すべて視聴者層が違うため、すみわけている。生活未成年課も10課あってワンフロア。小学生課、中学生課、高校生課、大学生課、主婦課、主夫課に分かれている。ブッダと呼ばれる聖人のような子供が子供課の課長で、10歳にして公務員試験1種に合格した秀才である。中学生課は、別名10代しゃべり場とよばれ、あまりお金のない子供が公園やコンビニでたむろするのであれば、ということで無料開放されている。主婦課はほぼ、万引き専門でスーパーマーケットや百貨店の警備上がりの叩き上げが仕切っている。

聖人「しかし、たくさん部署がありますね。」

 

所変わって、警視庁時空警察部第一課 シェイクスピアの役者のような芝居をしている部長。名前を市村正親という。年齢不明の男である。荘厳な音楽を音楽隊が奏でて、美人の部下を相手役に市村は最高の演技に酔いしている。太閤秀吉最後の名場面である。

 

部長「露と落ち 露と消えにし 我が身かな、浪速のことも 夢のまた夢。ガク。秀頼のことを、くれぐれも。くれぐれも」

二人「・・・・・」

部長をよいしょするお付の二人が拍手をすると、大物舞台役者のように、むくりと起きて手を振り、頭を四方に下げる。

聖人「姫野先生、なんですかこれは」

姫野「・・・趣味の芝居。今日は、秀吉の最後。」

聖人「いつも、このようなことを?」

姫野「慣れてね。次はたぶん」

市村「みな、ありがとう。さがれ。水野君、明日は熱海殺人事件にしよう。おほん、時空警察部長の市川である。姫野美琴の父親である。」

姫野「知っているわ!待たせないで。」

市村「うむ。よろしい。そのツッコミこそ、わが娘美琴らしい。」

姫野「80階までなんて時間かかりすぎ。この未来で3分もかかるなんて」

 

出動時間を短縮しようと1分の上下移動を提案したが、ほれあのとおり、げろをはいている。

総務部と科捜研が実験をしているようだ。

 

聖人「事件の経緯を説明して下さい。」

市村「歴史家が最近話題にする「明治維新の歴史かきかえ」だ。

姫野「はあ。また秘密結社系の陰謀ですか。坂本龍馬が英国のスパイとか、伊藤博文は英国の手下だったとか。だいたいねえ。当人になって考えれば済む話でしょ。欧米列強に対抗するときに、多少の関係性はあるのは当然で・・・

市村「美琴。」

姫野「ちょっと、急に下の名前で呼ばないでくれる?血繋がってないんだから。」

市村「さっきも読んだけどな。」

聖人「気がつかなかった・」

姫野「うそ。」

市村「これが日本史の教科書だ。やられたよ。」

聖人「えええええ?姫野さん。これ。」

なんと、西郷隆盛が、西田敏行に。伊藤博文が、伊東四朗になっている。

いや、かれらは故人だ。ドラマなどで演じた俳優さんに似た時空犯罪者がなりすましているのだ。

聖人「信じられない。」

市村「ならば、これだ。国家図書館の資料だよ。」

聖人「薩長土肥ではなく、関関同立が幕府を倒して明治維新を実現。憲法発布の原本、議会記録、大阪証人への借金契約書まで、改ざんしている。バカバカしいにも程がある。」

市村「そのバカバカしいレベルの低い時空犯罪が、明治の事実と、本物とその子孫の存在を消してしまっているのだ。

聖人「許せんな。。。」

市村「これが今日の国会議事堂 議会の映像だ。」

 

トンネルパイプ内を、自動操縦の車がカプセル型の対放射性爆弾のシェルター内部にある議事堂へと次々と乗り付けていく。国会議員たちが、みな

市村「彼が、時空犯罪者の子孫。。。議事堂を乗っ取り。。。政財界から要職を占めている」

聖人「みんな同じ顔、おええ。気持ち悪い。」

 

姫野「詳細理解した。じゃ、明治いや、慶応2年に飛びます。ただ金に興味はない。その代わりわたし

聖人「その代わりわたし、何ですか?」

姫野「ボケますよ。」

聖人「ツッコミますから、わたしが。」

姫野「直感でどんどん容疑者増やしますよ?」

聖人「大丈夫ですよ。キッチリ伏線回収します。」

 

タイムトラベラーの犯罪を速やかに解決する歴史専門家集団「時空警察出動!」

 

市村「じゃあ、任務の前に宣誓を。」

姫野「基本三原則を守り忠実に任務を果たします。

1 歴史を変えてはいけないので、特殊交渉術を使うこと。

2 時空犯罪者は速やかに、捕捉し。修復作業を行うこと。

3 記憶消去ビーム、タイムマシーン、その他 痕跡を残してはいけない。

以下に反しないことを宣言します。」