「246ピンと言うのが僕のハイスコアなんですよ」
GooでK分さんと隣り合わせたとき、そんな話になった。
普段、黙って人の会話を聞きながら飲んでいる私が、ボウリングになると雄弁に語り出すので、時々話を振ってくれる。
配慮して頂いているな、と思っていたけれど、この日の話はちょっと切ない、K分さんのボウリングに纏わる思い出だった。
246ピン。
この記録は、実は未完成。10フレで9本スペアを取り、3投目で倒したピンが更に加算されるところで、無情にも終わっている。9本倒せば寝太蔵の255ピンに並び、ストライクなら超える。そんな領域だ。
ハウスボール、ハウスシューズでこの記録を叩き出したK分さんは、当時小学生。第一次ボウリングブーム真っ盛りで、中山律子プロを中心に女子プロボウラーが活躍し、人気絶頂だった頃だ。
6年生の正月。友達同士でボウリング場に繰り出した少年Kは、絶好調。
TVのボウリング番組で投げ方や回転のかけ方、コース取りやアジャスティングの知識を得ていた少年Kは、冒頭のフォースを皮切りに、着実にピンを倒していく。
どのラインにボールを乗せたらどこにボールが運ばれるのか、視えていたそうだ。恐るべし、K。
10フレ1投目で1本を残し、2投目でスペアを取りノーミスゲームが確定。スコアブックには246という数字が、メモ程度にうっすらと書き込まれたことだろう。(当時はまだコンピュータ化されておらず、スコアは手書きが主流)
「君、ボウリング上手だね~」
後ろから大人に声をかけられた少年Kは、
「お、プロボウラーにスカウトされたのか?!」
と心弾ませて振返った。
「だけど、小学生だけでボウリング場に来ちゃダメじゃないか」
大人は補導員だった。その場で少年たちは補導され、保護者が呼び出された。3投目を投げさせる、といった温情は一切かけられることなく。
少年Kの母は、堂々としていた。
「ボウリングに行っているのは知ってましたよ。子供だけだったとは知りませんでしたけど」
すみませんね~と頭を下げて場を収め、少年たちを連れて帰った。
その日、K分さんはかつてないほどこっ酷く叱られたそうだ。
未完成のスコア、得意の絶頂からの転落。そして生涯記憶に残る落雷


以来、K分さんはボウリング場に近寄らなくなった。
投げる機会が訪れることはあっても、どんなに調子が良くても、スコアは更新されることなく今に至る。
「あの、補導員の顔が忘れられないんだよ」
ちょっぴり苦い思い出を、最近好みになったマッカランのソーダ割で胃の腑へ流し込むK分さんだった。
GooでK分さんと隣り合わせたとき、そんな話になった。
普段、黙って人の会話を聞きながら飲んでいる私が、ボウリングになると雄弁に語り出すので、時々話を振ってくれる。
配慮して頂いているな、と思っていたけれど、この日の話はちょっと切ない、K分さんのボウリングに纏わる思い出だった。
246ピン。
この記録は、実は未完成。10フレで9本スペアを取り、3投目で倒したピンが更に加算されるところで、無情にも終わっている。9本倒せば寝太蔵の255ピンに並び、ストライクなら超える。そんな領域だ。
ハウスボール、ハウスシューズでこの記録を叩き出したK分さんは、当時小学生。第一次ボウリングブーム真っ盛りで、中山律子プロを中心に女子プロボウラーが活躍し、人気絶頂だった頃だ。
6年生の正月。友達同士でボウリング場に繰り出した少年Kは、絶好調。
TVのボウリング番組で投げ方や回転のかけ方、コース取りやアジャスティングの知識を得ていた少年Kは、冒頭のフォースを皮切りに、着実にピンを倒していく。
どのラインにボールを乗せたらどこにボールが運ばれるのか、視えていたそうだ。恐るべし、K。
10フレ1投目で1本を残し、2投目でスペアを取りノーミスゲームが確定。スコアブックには246という数字が、メモ程度にうっすらと書き込まれたことだろう。(当時はまだコンピュータ化されておらず、スコアは手書きが主流)
「君、ボウリング上手だね~」
後ろから大人に声をかけられた少年Kは、
「お、プロボウラーにスカウトされたのか?!」
と心弾ませて振返った。
「だけど、小学生だけでボウリング場に来ちゃダメじゃないか」
大人は補導員だった。その場で少年たちは補導され、保護者が呼び出された。3投目を投げさせる、といった温情は一切かけられることなく。
少年Kの母は、堂々としていた。
「ボウリングに行っているのは知ってましたよ。子供だけだったとは知りませんでしたけど」
すみませんね~と頭を下げて場を収め、少年たちを連れて帰った。
その日、K分さんはかつてないほどこっ酷く叱られたそうだ。
未完成のスコア、得意の絶頂からの転落。そして生涯記憶に残る落雷



以来、K分さんはボウリング場に近寄らなくなった。
投げる機会が訪れることはあっても、どんなに調子が良くても、スコアは更新されることなく今に至る。
「あの、補導員の顔が忘れられないんだよ」
ちょっぴり苦い思い出を、最近好みになったマッカランのソーダ割で胃の腑へ流し込むK分さんだった。