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お魚
海の魚はかわいそう。
お米は人につくられる、
牛は牧場(まきば)で飼われてる、
鯉もお池で麩をもらう。
けれども海のお魚は
なんにも世話にならないし
いたずら一つしないのに
こうして私に食べられる。
ほんとに魚はかわいそう。
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さくらの木
もしも、母さんが叱らなきゃ、
咲いたさくらのあの枝へ、
ちょいとのぼってみたいのよ。
一番目の枝までのぼったら、
町がかすみのなかにみえ、
おとぎのくにのようでしょう。
三番目の枝に腰かけて、
お花のなかにつつまれりゃ、
私がお花の姫さまで、
ふしぎな灰でもふりまいて、
咲かせたような、気がしましょう。
もしも誰かがみつけなきゃ、
ちょいとのぼってみたいのよ。
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転校生
よそから来た子は
かわいい子、
どうすりゃ、おつれに
なれよかな。
おひるやすみに
みていたら、
その子は桜に
もたれてた。
よそから来た子は
よそ言葉、
どんな言葉で
はなそかな。
かえりの路で
ふと見たら、
その子はお連れが
できていた。
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私と小鳥と鈴と
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように
たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
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露
誰にもいわずにおきましょう。
朝のお庭のすみっこで、
花がほろりと泣いたこと。
もしも噂がひろがって
蜂のお耳へはいったら、
わるいことでもしたように、
蜜をかえしに行くでしょう。
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積った雪
上の雪
さむかろな。
つめたい月がさしていて。
下の雪
重かろな。
何百人ものせていて。
中の雪
さみしかろな。
空も地面(じべた)もみえないで。