第２５話

レジスタンスメンバーは家のリフォームを装う作業を始めた
あるメンバーは敷地の周囲にある柵をペンキで修繕したり
外壁塗装が剥がれている所を修繕する作業を始めた
そこへ東側国の武装した偵察隊が軍用犬を連れてやって来た
「お前たち、ここで何をしている？身分ＩＤを見せろ」
レジスタンスのリーダーは事前に用意した偽身分証と
家屋権利者との偽のリフォーム契約書を提示した
軍用犬は敷地内に置かれた塗料やシンナーの匂いがキツイため
西側国救出チームの匂いを発見する事は出来なかった
偵察隊は怪しげな書式の契約書のため追及すると
その契約書は以前酒場で知り合った時の話題で
リフォームする代償は仲間とＢＢＱしたり仲間の祝い事で
パーティーを開催したりする際にここを利用出来るための
契約書だと説明した
偵察隊は偽の契約書に記載されている連絡先に電話すると
当然ではあるがその連絡先の権利者は反政府側の諜報員だった
偵察隊は説明された偽装工作の話につじつまが合うため
リフォーム中の建物から立ち去って行った
レジスタンスのリーダーは偵察隊が遠くに立ち去るのを見届けると
地下室に避難させた西側国救出チームに安全を報告した
救出チームリーダーの軍曹はレジスタンスメンバーの偽装活動を
命掛けで協力してくれている姿勢に感謝した
そして、一時的に中断した救出作戦の打ち合わせも再開された
スナイパーは中東東側国のテロリスト集団で警護する
私兵団の検問を逃れるため人間が殆ど入り込まない地理を
レジスタンスから聞き出してサラが監禁されている別荘の周囲を
偵察するために単独で出掛けた
救出作戦中にレジスタンスのメンバーから提案が出た
「一軒の別荘だけを停電させると怪しまれるためここの地区全体を
停電させてはどうかな？支障があるのなら却下でも構わない」
チームリーダーの軍曹は小隊以下の１個分隊レベルの編成のため
そこまでの作戦は想定外だったため、その手が使えるなら
有難いと言いその提案を受け入れる事にした
レジスタンスのリーダーは先進国の西側国は電線が埋設化されていると
停電をさせるためには手の込んだ偽装工作が必要だが
中東東側国の様な国家レベルではまだまだ電柱化のため
バレずに簡単に停電させる事は出来ると説明した
救出作戦の内容は最終確認まで進み何度も確認を実施した
そして、その時が来た
サラが監禁されている別荘がある付近の幹線道路で事故が発生した
大量の鋼材を積んだ大型トラックが車両トラブルで道路を塞ぐように
横転してそこへ機械油を積んだ大型タンクローリーが巻き込まれ
その直ぐ後方を走行していた大型物流トラックも同様に巻き込まれた
大量の鋼材は横転した勢いで道路やその付近にあった
商業施設や電柱などに被害を与えた
物損事故の影響で周囲の商業施設や住居の明かりが一斉に消えた
その時、サラは世話役の女と一緒に夕食後のデザートを頂いていたが
「ワー!！どうしたの？」と驚いた
世話役の女性は停電の様子を聞いて来るからと
ポケットからハンディーライトを取り出して点灯させサラに渡した
世話役の女性が部屋を出る際に「不用意に部屋を出ないでね」
それはテロリストメンバーが侵入者と勘違いして撃つ可能性の警告だった
偽装交通事故を発生させたレジスタンスメンバーから無線が入った
「花火はキレイだね」の暗号だった
レジスタンスリーダーの無線機に入った暗号の音声は軍曹も理解した
「ヨシ、作戦開始だ」

つづく

創作文「サラ」 第２５話

創作文「サラ」　第２５話