「電話なってるんじゃない」
デパートの中で洋服を見ていた時です
娘が気がついて教えてくれました
「そちらでうちの主人がピアノを習っておりましたでしょうか?」
かけていらしたのは
お話ししたことのない、Sさんの奥様でした。
はい、Sさんはうちの教室で習っていらっしゃいます。
私はなんだか訳のわからない胸騒ぎを覚えました。
すると…
そうだったのですね…
どこで習っているのかわからなくて、片っ端からピアノ教室に電話をかけました。
実は先週突然主人が亡くなりました。
え…
Sさんとは明日いつも通りオンラインレッスンするお約束をしていました
Sさんはまだ50代です
二週間前も元気そうでした
あまりにも若すぎます
そんなことが…
とても信じられません!
私は混乱してなんと言ったらいいのか言葉もみつかりませんでした
ついこの間 娘と先生の発表会を観に行ったようでした。
その2日後に蜘蛛膜下出血で倒れていました…
先生に是非お会いして
主人がどんな曲を習っていたのか
お話を聞かせて欲しいです。
ああ シャイで真面目なSさん
ご家族にも上手くなるまでは
ご自分の演奏を聴かせることもなかったのでしょう。
まだ習って一年半
まだまだこれからだったのに
これからもっともっと上達して
そしたら
奥様にもお嬢様にも
かっこいい姿を見せてあげられたのに。。
YOSHIKIさんの曲を弾けるようになりたいと言ってご入会されたのは
昨年の春でした。
レッスンはいつも質問がいっぱいで
納得してからご自分のペースでコツコツ努力されていました。
大人のピアノテキストもいつのまにか3冊目まで進み
いつか「戦場のメリークリスマス」が弾けるようになりたいと
夢もどんどん広がっていきました。
最近では緊張もほぐれてきたのか
オンラインのカメラ越しに
笑顔が多く見られるようになって
レッスンを楽しんでくれているんだなと
嬉しく思っていました。
ではまた来週
いつものようにそう言って終わらせて
もう二度とできないレッスンもあるんだと
だからこそ
命のあるこの一瞬に心を込めて
最高のレッスンをして差し上げないといけないのだと
身をもって知りました。
最後のレッスン
それがいつになるかは
誰にもわからない
Sさん
ピアノ、楽しかったですか?
Sさんの弾く「戦場のメリークリスマス」
聴きたかったです
Sさん
もうレッスン時間にフェイスタイムが鳴ることはない
でも私その時間になったら
まだ
大人のピアノ教本を用意してタブレットを立てかけてしまうかもしれない…
奥様とSさんの思い出話をいっぱいして
いっぱい泣いたら
そしたらまた心を込めて
どの生徒さんにも
これが最後のレッスンだとしても悔いのないように努めていきます
さようなら
さようならSさん
松浦ピアノ教室に通ってくださって
ありがとうございました
