うどんが食べられないのには理由があります。
子どものころは好き嫌いが多いほうでしたが、
ほとんど食わず嫌いでした。
食べて美味しいとわかると、好き嫌いも少なくなったのですが
うどんだけは駄目です。
小学4年生のある日のこと。
「うどんは食べないで」と声が聞こえました。
ほかの人には聞こえません。
以前から時々、声は聞こえていました。
これは啓示だと思い、素直に受け入れました。
小学校の給食では、うどんが2週間に1回くらい出るので
うどんの日は給食が始まる前に具合が悪いと言って
保健室へ行って休むか、早退していました。
何回か繰り返すと先生にバレちゃうんですよね。
それで先生から、うどんを食べるように指示されました。
啓示を受けたから食べられないとは言えません。
箸でつついて、にらめっこしていると
隣の席の渋谷君が、どうしたの?と声をかけてきました。
うどんがどうしても食べられないと言うと
それじゃ僕が食べるからと、代わりに食べてくれました。
翌日、学校で大変なことが起きました。
ほかのクラスから赤痢がでたんです。
原因はうどんでした。
全校児童は赤痢の検査を受けました。
私のためにうどんを食べてくれた渋谷君も無事でした。
それが一番気がかりだったので、ほっとしました。
渋谷君に謝りました。
僕は大丈夫だから、これからもうどんを食べるからねと
優しい渋谷君にはずっと感謝しています。
啓示に従ったので難を逃れることもできましたが、
それ以降も、うどんは食べられないんです。
うどん屋さん本当にごめんなさい。