片手ずつ手錠をかけた時、どっちが暴力団なのか取材のカメラマンが戸惑うことなど、しばしばあるそうですよ。映画の演技は、あくまでそれらしくお見せする技術.テクニックに過ぎないんです。そして、その演技なり画面がご覧になる皆さんに、あくまでリアルに迫真的に迫るのは、それを作る監督の今度は演出の技術になるんです。ですから私は撮影の時、演じている原悦子と監督とは別の立場から、自分の演技を見守り監視する原悦子の二人になるよう努めています。監督は映画全体を把握し、どんな流れの映画になるか頭の中にはできています。でも私は一演技者です。自分の出る場面に全力を注がなければならないんです。それらしく、それらしく努力するわけです。