物まね名人は前の日の悩みなど、いっぺんに飛んでしまいました。「こんなに上機嫌なら本物の蛙を上手に鳴かせれば、夢のような褒美が貰えるぞ」そして、いよいよ蛙の鳴き声の開演です。「さてフランスに名だたる皆さま、これより私めの芸をご披露させていただきます。まずは」と、それはそれは上手に、本物の蛙の鳴き声に合わせて口を動かしました。しかし、演じれば演じるほど、貴族をはじめ部族の者たちは興をそがれていったんです。でも物まね名人は、それには気付かず、ついにはポケットに隠し入れていた蛙を、ぎゅうと握りしめて「蛙の断末魔の鳴き声でござーい」と、握り殺してしまいました。本物の蛙は、かわいそうに「ぎゃあー!」と叫んで死んでしまいました。