天国からのご挨拶。あのよぅ! | 労人社のブログ

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戦中日記(続労人社だより)230310号

「天国からのご挨拶。あのよぅ!」

🐜春分の日に友人が死んだ。学び舎は異なれども古くからの友だち、いわば畏友である。かつて東大生が心からの敬意を込めて、日大生に教えを乞うたことが一度だけある。大学闘争の際に、警察、右翼の襲撃を防ぐバリケード作りを教授された時だ。いまの東大卒の学者、官僚どもには碌な奴がいない。そもそも、奴らには民衆に対する尊敬の念がない。永田町、霞ヶ関の汚職者の人間性の劣化はそもそも刻苦精励して、入学した時点から始まっている。死んだ友人は東大生に(人間)という者を教授した当事者の一人である。

🐛むかしの流行り歌。🎶春に背いて散る花びらを/背にうけゆこうひとり旅/流れる雲のそのまた果てに/何が待つのかこの俺を🎵おもいださすな夜空の星よ/深いひとみの面影を/道なき道を踏みしめ今日も/たどる心よ強くあれ♬ヒットすることなく静かに社会から消え去った歌謡曲だ。

🐞その日の新聞紙は、ほぼ全紙がWBC優勝のニュースで飾られた。TVも同様で、中露会談も岸田-ゼレンの密会も、FRBの利上げも特融も、4月の地方選に向けてのばら撒き予算や、大阪IR疑惑、トランプの足掻きも、英の劣化ウラン弾の提供も報じられない。WBCを話題に花見酒を飲めば、この国の明日は安泰のように見える。友人が元気であれば、茶番サミット粉砕!とでも叫んでバリケードを構えただろう。世界がギシギシ悲鳴をあげており、東大生、日大生でなくとも世の中を変えたくなる。でも、春に背いて死んだ。

🪲コロナ対策が(自助自死)へ転換して、葬式の仕方も変わりそうだ。コロナ禍の1昨年亡くなった姉の葬儀も家族葬でごく近親者だけで、その後の偲ぶ会も開かれずにいる。老人のコロナによる相対死者数は少しも減っていない。医療費を払うべく資産のない老人は、コロナ感染すれば黙って、大人しく、文句を言わずに死んでいくしかない。成田の集団自決のすすめは、当然、東大卒の小金持ちは除外しているのだろう。

🐝しょうがない!姉に頼んであの世から挨拶でもさせるか!『わたくし、一昨年くれに膵臓がんで死亡しました。82年間、私にお付き合いしていただき皆さま方には感謝の思いしかありません。入院加療しており、折からのコロナ禍で、ついには医療崩壊が起きて、すい臓を蝕み始めていたがん細胞の発見が遅れてしまいました。急速に閉塞感が深まるこの国で、多くの老人たちがわたしと同じような死に方をしているでしょう。いまの時代を象徴する死と言えましょう。

🪳わたしは東京市小石川区で生まれました。出版、印刷会社が多く、近くに啄木の終焉の碑もあり、似合わないけど文化の香りのする地で育ちました。この世代の若者たちは一様に、戦後民主主義の風に吹かれて、貧しいけど読書に親しみ、平和と科学文化を愛する清新の気風に溢れていました。いわば、ニホンの青春の世代でした。現在の若い人と比べて隔世の感を禁じ得ません。

🦟人生がすべて華であった学生時代は遊び、恋をし、失恋して少しはみずからw勉強しました。いまは啄木の(時代閉塞の時代)が見てきたような、誰にも生きづらい世の中になりました。官僚になるために勉強するのは東大生だけではなく、仕事を得るために学校に通っているけど、いくら勉強しても良い仕事はなく、結婚もできません。変な時代になったものです。

🦗卒業後は、真面目に一つ仕事をして勤めあげました。みんなそうでした。歌をうたい、旅をして、周りの人たちの温かい眼差しの下、人間として大きく成長することができました。その意味で、死んでもこの世に念を残すことはありません。充分に自足した一生涯でした。同じ世代の私たちの死はみんなそうだと思います。

🐝いま、両親と一緒に八王子の霊園に眠っています。わが家ではこの霊園に眠ることを密かな自慢としてきました。開園60年余を経て、数万余の墓碑の中に、戦争で死んだ霊が1柱もありません。軍人、戦争犠牲者の墓がありません。戦後民主主義の風に吹かれ、さほどの贅沢もせず、家族の安全を願い働き続けたニホン人がかつていた証であり、そう願った人たちと同じ霊園に眠ることは、自慢して良いことでしょう。

🦗コロナ禍の中、この国のあり方が大きく変わりました。戦後日本の最大の誇りは戦争をしなかったこと。平和な日々を希求し続けたことに尽きます。でも、いまは、驚くべきことに、老人たちは(集団自決)を要請だれる時代になりました。戦争をしたくてならない国に変化しています。数年先、この霊園にも戦没者や被災者の霊が埋葬されるでしょう。わたしの死は一つの時代が大きく変化する中での典型死です。住みづらい世の中だとは思いますが、そう急いでこちらに来ることなく、一つ二つバリケードを構えてから、ゆっくりといらしてください。楽しみにしております。本当にありがとうございました。

🪲代読、おとうと。