4丁目の夕日 | One of 泡沫書評ブログ
- 四丁目の夕日 (扶桑社文庫)/扶桑社

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久々にホンマモンのヤバイ漫画を発見してしまった。これはヤバイ。読み終わった後にも気持ち悪さが消えない、久々のホンモノだ。最悪の読後感である。
正直こんなものを読むのはまだしも、描くのはどうかしているだろう。ホンモノの狂気と言うのはこれじゃないかという気がしてくる。気持ちが萎えるのであんまり細かく読んでいないが、それでもわかるほど細部にきっちり絶望が描かれていて、ホントに作者の正気を疑うよ、これは。正気で描いてるなら天才だ。
わたしは馳星周を高く評価し、救いようのない社会の闇を描く暗黒小説としての『不夜城』を好んで再読しているが、あの作品を何度も読むのは要するにエンターテイメントだからである。馳星周がノワールと称してはいるが、結局はカタルシスを与えてくれるエンターテイメントだからである。
ところがこの作品には救いがまったくない。最後がハッピーエンドだなどという解釈があるようだが、馬鹿も休み休み言えと言いたい。というかよく出版できたな。
読んだ感じ、なんとなくサブカルの王道っぽくて、そういう人たちが好んで読みそうな作品であるが、本当なら絵柄を見ただけで拒否反応を示すような「素行のいい」人にこそ読んでもらいたいような気がする。とにかく正気で居られないほどの名作であることは間違いない。

