4丁目の夕日 | One of 泡沫書評ブログ

One of 泡沫書評ブログ

世の中にいったいいくつの書評ブログがあるのでしょうか。
すでに多くの方が書いているにもかかわらず、なぜ書評を続けるのか。
それは、クダラナイ内容でも、自分の言葉で書くことに意味があると思うからです。


四丁目の夕日 (扶桑社文庫)/扶桑社
¥600
Amazon.co.jp

久々にホンマモンのヤバイ漫画を発見してしまった。これはヤバイ。読み終わった後にも気持ち悪さが消えない、久々のホンモノだ。最悪の読後感である。

正直こんなものを読むのはまだしも、描くのはどうかしているだろう。ホンモノの狂気と言うのはこれじゃないかという気がしてくる。気持ちが萎えるのであんまり細かく読んでいないが、それでもわかるほど細部にきっちり絶望が描かれていて、ホントに作者の正気を疑うよ、これは。正気で描いてるなら天才だ。

わたしは馳星周を高く評価し、救いようのない社会の闇を描く暗黒小説としての『不夜城』を好んで再読しているが、あの作品を何度も読むのは要するにエンターテイメントだからである。馳星周がノワールと称してはいるが、結局はカタルシスを与えてくれるエンターテイメントだからである。

ところがこの作品には救いがまったくない。最後がハッピーエンドだなどという解釈があるようだが、馬鹿も休み休み言えと言いたい。というかよく出版できたな。

読んだ感じ、なんとなくサブカルの王道っぽくて、そういう人たちが好んで読みそうな作品であるが、本当なら絵柄を見ただけで拒否反応を示すような「素行のいい」人にこそ読んでもらいたいような気がする。とにかく正気で居られないほどの名作であることは間違いない。