東北の旅 五能線編 | 瞼の裏にネルチンスクの朝焼けを

瞼の裏にネルチンスクの朝焼けを

どうでもいいことを、それっぽく文章に

平泉での熱い夜を過ごしたのち、いよいよ第2の目的地(?)である五能線の起点、東能代を目指す。



尚、平泉は岩手県でも南部に位置し、対する東能代は秋田県の北部に位置する。東北の主要路線は南北に流れており、日本の背骨たる山脈を超えるための鉄道網はそうそう発達はしていない。そのため、今回の旅ではこの山脈越えに一番の時間が割かれている。



平泉の一駅隣の一ノ関駅から鈍行列車に揺られ、ひとまずは盛岡に向かう。確か記憶の限りで、10時くらいに一ノ関を発ち、12時に盛岡に着く。そこで大館という駅に行くために、いわて銀河鉄道というものに乗り換えるのだが、ここでまさかの電車45分待ち。



仕方なく、というのもあったのだが、逆にここで昼ご飯を食べなければ次にゆっくり時間を取れるのは宿の最寄り駅となり、もはや夕飯の時間である。そして盛岡、といえば冷麺と来たもので。



しかしながら、僕個人は盛岡冷麺と言うものに些か懐疑的であった。何せ冷麺である。どこで食ったって同じだろうとタカをくくっていたのである。とは言え他に目ぼしい名物も考え付かず(盛岡の方すみません)、またそうそうゆっくりしている時間もなかったので、目に入った焼き肉屋さんに入り、冷麺を注文する。



するとどうだろうか。今まで食した冷麺の中で、ずば抜けてうまいではないか。誰だ、どこでも一緒だとぬかしたうつけ者は。はっきり言って未だ以て冷麺のおいしさの違いが何によって決まるのかは分らないが、今回盛岡で食べた冷麺が、韓国で食べたそれよりもダントツに美味かったのだけは断言できる。



さて、駆け足で昼飯を胃袋に詰め込んだところで、いわて銀河鉄道に乗車する。ちなみに、乗り換えをする大館まで乗車券が2000円程かかるのが痛いところである。まぁ、それに2時間程揺られるのだからその金額も妥当なのか。



このいわて銀河鉄道はひたすら内陸を突き進む鉄道であり、見える風景はこれまた田園と山々のみである。最初こそ、日本の原風景をわくわくしながら眺めていたのだけれど、それも20分もすると段々と飽きてくるものだから人間とは我儘な生き物である。



田んぼと山を見続けた果てに、大館へ到着する。そして今度はまた東能代行きの電車に乗り換えるのだが、乗り換え時間が5分。それを逃すと1時間近く次の電車まで待たなければならないので、大都会の通勤並みに猛ダッシュでホームを駆けあがらなければならない。まぁ、それは合間に小用を済まして尚且つタバコを吸うためなのだが。



大館から東能代に向かい、そしてそこでようやく目的の五能線に乗り換えを行う。五能線は日本海を眺めることのできる海岸線ぎりぎりを進む鉄道であり、連れ曰く鉄ちゃん垂涎ものなんだそうだ。



乗り始めて20分もすると、車窓には日本海の海岸線が姿を現す。




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なんとなく、江ノ電と似たような風景を望むことができる。

ちなみに、車内はこんな感じ。



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ゆったりと、弓なりに続く線路を進む。時間が下るにつれて太陽もその高度を下げ、次第にあたりを西日が包む。電車に乗っている間にしっかりとした夕日(そういうものがあるのだとしたら)を拝むことはできなかったけれど、一日の終わりを迎える五能線沿いに住むであろう人々の営みを垣間見た。何の変哲もない日々を僕らが送るのと同じように、それ以上にゆっくりとした速度で、日々が暮れてゆく。それが人にとっての幸せなのだとしたら、そこは限りなく桃源郷に近い場所であるように思えた。