現地時間2013年9月14日、今季第1回目となるイタリアダービーが開催された。第3節ということで、新政権間もないインテルと、成熟したチームにカルロス・テベスを加えたユベントス。インテリスタとしてもちろんインテルの勝利に期待していたが、厳しい戦いになると予想していた。試合始まる前から怖かったのはピルロにテベス、そしてビダル、自チーム目線で言えばジョナタンの守備能力に、ファン・ジェズス、リッキーアルバレス、グアリンの不用意なプレーであった。
【インテル】
≪GK≫
1サミール・ハンダノビッチ
≪DF≫
5ファン・ジェズス
14ウーゴ・カンパニャーロ
23アンドレア・ラノキア
≪MF≫
2ジョナタン
11リカルド・アルバレス
13フレディ・グアリン
19エステバン・カンビアッソ
21サフィル・タイデル
55長友佑都
≪FW≫
8ロドリゴ・パラシオ
【ユベントス】
≪GK≫
1ジャンルイジ・ブッフォン
≪DF≫
3ジョルジ・キエッリーニ
15アンドレア・バルザリ
19レオナルド・ビヌッチ
26シュテファン・リヒトシュタイナー
≪MF≫
6ポール・ポグバ
21アンドレア・ピルロ
22クワドゥ・アサモア
23アルトゥーロ・ビダル
≪FW≫
9ミルコ・ヴチニッチ
10カルロス・テベス
≪交代≫
J.46'リヒトシュタイナー⇔33マウリシオ・イスラ
I.68'タイデル⇔9マウロ・イカルディ
J.72'ヴチニッチ⇔27ファビオ・クアリアレッラ
I.81'リッキー・アルバレス⇔10マテオ・コバチッチ
J.87'ピルロ⇔20シモーネ・パドイン
試合自体は非常に緊張感のあるいい試合であった。前半の流れは終始ユベントスであったが、チャンスの数で言えば大きく違いはなかった。後半はインテルに流れが来たが、決定機は決して多くはなく、ユベントスの中盤以降の守備能力に驚愕した。
インテルとユベントスのフォーメーションが同じ3‐5‐2ということもあり、組織的にまだ未熟なインテルは、攻撃時必然的にユベントスと1対1という状況が多く訪れた。ユベントスもマンツーマンが主戦術ということはないが、今回はテベスが前線から追い、グアリン×ポグバ、タイデル×ビダル、ジョナタン×アサモア、長友×リヒトシュタイナーの場面が多く発生した。贔屓目抜きに、この対決で90分総合して勝利したのは長友くらいであった。抜群のフィジカルを誇るポグバ、アサモアは対人に絶対的に強く、テベスとビダルも対人に強く、その粘り強さはインテルの選手の比ではなかった。キエッリーニのミスを逃さずインテルが先制したが、自由なポゼッションは全くと言っていいほど許されなかった。結果として先制の3分後にアサモアの突破からビダルに同点ゴールを許したが、この試合ではジョナタンはアサモアをほとんど抑えることができておらず、この失点はある意味必然であったと感じている。逆にもう少し左のアサモアが勝負に来ていたら、インテルはより厳しい戦いを強いられていたかもしれない。
インテルで良かったのはディフェンスラインのカンパニャーロや、長友佑都、前線のパラシオだ。今季より加入したマッザーリ監督の3バックを最も熟知したセンターバックは、試合を通して安定したパフォーマンスであった。イエローカードを1枚貰った事は残念であるが、彼の危機察知能力と試合の流れを読む力に幾度となく救われた。失点シーンはジョナタンのカバーをしきれなかったが、あれは責められるべきは抜かれたジョナタンと、中で完全に足が止まっていたリッキーやグアリンだろう。
長友は個人としてはリヒトシュタイナーや、途中交代で入ったイスラには完全に勝利した。試合の流れもあり攻撃面で違いを作ることは難しかったが、まず守備で躱されることはなかった。リヒトシュタイナーやイスラが悪い選手ではないことはもちろん分かっているが、フィジカル能力では長友の方が上であったことは間違いないだろう。
パラシオは前線で孤軍奮闘の活躍をした。前半は苦労したが、マッザーリ監督の支持があったであろう後半はいいポジショニングから安定したポストプレーや抜け出しでタメを作った。リッキーは得点に絡んだことや時折見せる技術力は評価されるべきだが、やはりまだ連携や試合の流れを読む能力に少なからず難があるように思え、ボールを失う率や行き詰まる場面も少なくない。今回はグアリンもあまり目立った活躍はできず、個人として目立った選手はインテルでは数えるほどであった。
今回のイタリアダービーは、ユベントスキラーのマウロ・イカルディの移籍後初得点や、新時代を迎えたインテルがディフェンディングチャンピオンに“負けなかった”という意味では、極めてポジティブな結果であったと思う。しかし、やはりインテルとユベントスにはチームとして少なくない差があるということも分かった。常に全体をコンパクトに保ち、ディフェンスラインやボランチにも自由にプレーさせず、パスの出しどころを限定させるというディフェンスは、セリエAでは間違いなくNO.1だろう。それをより高次元で実現させるテベスやビダル、アサモアにボヌッチといったタレント、更に心臓ピルロの展開力や得点に直結するロングパスは異常といっていいほどの出来であった。インテルとして幸運であったのは、この第3節は代表招集のすぐ後の試合であり、W杯予選を戦ったピルロやディフェンスラインを中心に、少なくない疲労がたまっていたということだろう。その点で言えばインテルは、代表で確固たる地位を築いている選手は少ない。もちろん喜んでいいことではないが。
いずれにせよ今後インテルが安定して勝利しスクデットを獲得するには、戦術面の向上と同時に選手個人としても成長しなければならないことが、今回の試合で改めて分かった。開幕2連勝したが、インテルとユベントスではまだユベントスの方が格は上だ。様々な修正点も浮き彫りになったイタリアダービー。“王者相手に負けなかった”。これが今回、インテルが手にした最も大きな収穫だろう。