ニュルンベルク3日目の朝、(今日はコーヒーとフレンチトーストの朝ごはんにしよう)と思いながら目を覚ました。
クリスマスだというだけでも心踊るのに、ここはメルヘンの国ドイツである。
この後の出来事など露知らず、最高の目覚めであった。
時刻は6時半。
もちろん外は真っ暗、誰ひとり歩いていない。
昨日のホテルモーニングは8時からだったので、のんびり支度をしながら優雅な朝を過ごす。
8時になり、ホテルのカフェに行く。
「あれ、もしかして開いてな…い?」
そう、またもやクリスマス休業である。
朝食料金は前払いしているため、(完全に詐欺でないか!)と思いながらも、そんなことを言っても仕方がない。
なんたって今日はクリスマスだから。
仕方なく朝食を探して街ブラするも、昨夜と同じ状況である。
日本のコンビニの素晴らしさを噛み締めながら、お互い無言で歩いた。
(せめて水だけでも飲みたい...)
最後の望みをかけてスタバに行くも、9時オープンとのことだった。
我々は9時25分発ミュンヘン空港行きのバスに乗らなければならないので断念した。
ドイツ国民にとって、クリスマスは祝日そのものなんだなと思わされた。
でも日本もそうあるべきだよな、と思う。
盆と正月ぐらいはコンビニだって休んでいい。(誰目線)
ホテルに戻ってチェックアウトし、ニュルンベルク中央駅近くのバス乗り場へ向かう。
一旦ドイツを出て、オランダへ向かうためだ。
乗るのはflixbusというかなりちゃんとしていそうなバス。
予約なども全て前日にスマホから出来る。
そして何よりバス乗り場のお店が開いていたのが素晴らしかった。
ここで、コーラとポテトとピザという日本では絶対朝食に選ばないであろうものを食す。
正直に言うとすでにもう おにぎり 味噌汁 漬物 が恋しい。
この店のおじさんは私のことをマダムと呼んだのだが、それをずっといじってくる俊にイラッとしながら無心で食べた。
バスの運転手はこの人。
大量のチョコチップクッキーを持参しているのがちょっと怪しいが、制服だってちゃんと着ているしなかなか信頼できそうだ。
と、思ったのも束の間。
浅い眠りから目覚めると、制服は脱ぎ捨てているし、大声で喚いていたちびっ子を隣に座らせ、クラクションを鳴らしまくってあやしているではないか。
(あやし方がクレイジーすぎる!)
そのちびっ子が彼のチョコチップクッキーに手を伸ばすと、突然真顔で「そのクッキーはお前のじゃない!」と制した。
後ろの席では、またもやちびっ子が死ぬんじゃないかというぐらい大声で泣き喚いているし、隣の席ではやんちゃそうな男子がワーワー言っている。
(あ~、今私は海外にいるんだな)としみじみ思った。
それでも無事にミュンヘン空港に到着。
ルフトハンザ空港と呼んでもいいぐらい、ルフトハンザ航空が幅をきかせている。
ベストエアポートに選ばれたこともあるらしく、確かにキレイですっきりした空港である。
免税店もたくさんあり、時間潰しはいくらでもできそうだ。
もちろんバイエルンミュンヘンのショップもある。
SUSHIはマグロ2貫で5ユーロぐらい。
それでも食べている人がちらほらいたので、SUSHI人気はすごいなと思う。
我々は何故かイタリアンレストランで昼食。
(アジア料理かステーキかイタリアンかの3択しかなかった。)
ここでメニューのチョイスを完全に間違えた。
久しぶりに魚介が食べたいと思ってシーフードピザを頼んだのだが、冷静に考えると海から離れたこの場所で魚介がおいしいわけがない。(失礼)
独特の臭みがチーズと相まって、最高級の吐気をもたらしてくれた。
そしてなによりデカくて高い。
最悪だった。
でもそれ以上に最悪なのは店員さんだと思うと気が紛れた。
テンプレのように「調子どう?」と聞かれたので「調子いいよ、あなたは?」と聞くと、「疲れてるよ、働きたくないよ、お金は欲しいけど。」と、今にも吐きそうな顔で返された。
客にそんなことを言うぐらいなのだから、ドイツ人にとってクリスマスに働くというのは拷問に近そうだ。
出国前に立てていた計画では鉄道旅を楽しむつもりだったのだが、鉄道で行くとなると時間がかかる上に、値段も意外と高い。
今回はルフトハンザ航空の傘下にあるユーロウィングスというLCCを利用することにした。
これまた現代的で、スマホの画面一つで荷物を預けて搭乗することができる。
EU圏内の移動なので、パスポートもいらない。
予約を全て俊に任せていたのだが、ものすごいドヤ顔でスマホの画面を見せられて
「時代はもう2020年に向かっているんだ。」
と訳のわからないことを語られたのでイラッとして無視した。
すると案の定言い合いになった。
結局私がフルーツボックスをおごって和解した。
(スイカ一切れで機嫌が良くなる単純な人でよかった)
搭乗時は機体の小ささに不安を抱いたものの、機内は意外と快適だった。
ドリンクサービスもあるし、配られた小さな箱には水とサンドイッチが入っていた。










