季節外れの大型台風2号が梅雨前線を刺激し、東海地方が土砂降りの大雨に見舞われた後、埼玉県の即売会に参加ました。、その帰り、令和5年6月4日(日)、長野県伊那市にあるムシトリスミレの自生地を見てきました。令和4年の同時期にも訪れている自生地ですが、ムシトリスミレの密度には変わりなく、350mmは降ったという豪雨の影響も見られませんでした。

 前日、大雨の影響でバスは運休だったようで、朝6時5分発のバスは大雨後最初の便だったようです。乗客は10人強でこの時期普通でしょうか。前年は、花を見るを主体の乗客も見えましたが、天気の影響かそんな酔狂な客は私一人でした。また、道路の一部が冠水しているとのことで、6月5日時点での終点「歌縮」まででなく、途中で降りることになりました。

 おろしてもらった場所はホテイランが咲いている場所でした。平地では栽培困難なランで現地で見るに限ります。

触るのも遠慮して写真を撮り、林道を下ります。

 道行く先で色々な花に出会えます。

うつぎ

 

ギボシ。花はまだ先か。

いたるところに苔が生えています。

細葉

 

イカリソウ。たくさん咲いています。

 

さて、いよいよムシトリスミレです。

 この自生地は、南アルプス林道ののり面、石灰岩がむ装備の全くない私は、き出した場所に広がっています。1つの大きな山が長年の風雪により削られ、大きな谷ができたとのことで、川の対岸にも石灰岩の斜面が見えます。谷底まで約400mということで、気軽にはいけないですが。

この石灰岩ののり面がどのようにできたかは定かではありませんが、道路から約10mの高さに新しくむき出しになた部分とやや低い古くからむき出しになっている部分とに分かれます。古くから、と判断したのり面は、表面が茶褐色に汚れ、コケなどが生え、くぼみには土が溜まり各種の植物が生えていることからで、時間を感じさせます。

ムシトリスミレが主に自生している場所は新しいのり面です。最も高いところで6mくらいの高さに華が見えます。まだ、石灰岩は高さがありますが視認できるのはこの辺りまでです。のり面は板のように平らではなく割れ目やくぼみ、でっぱりが複雑に組み合わされてできています。

 岩の割れ目やでっパリのような傾斜が緩やかなところが水も得やすいのかムシトリスミレも多く生えていました。驚いたのは、石灰岩の裂け目で、礫や砂となっような部分にムシトリスミレが単独で生えていたことでした。前日の大雨でも流れないので土壌は安定していると思われますが、白い粘土のような土に緑色のムシトリスミレの緑が印象的でした。

食虫植物が、光を求めて高木が育たない湿地に進出したようにムシトリスミレは石灰岩の礫の中に進出したのでしょうか。けっしてサイズは大きくはないですが花を咲かせていました。

 石灰岩に苔が生え、土ができた場所のムシトリスミレは大きく、花もたくさん咲かせていました。やはり、土壌がある場所は植物がそだちやすいようです。

 

 

苔むした斜面は、石灰岩むき出しの斜面から遠ざかるにつれムシトリスミレの数が減ります。また、生えている場所も、見つけられないだけかもしれませんが、低い場所に生えるようになります。何故でしょう。株もますます大きくなるように見えます。

 

 ここを最後にムシトリスミレは見られなくなりました。石灰岩はまだ続きますが。

 石灰岩を眺めているとバスが下ってきました。ここで見学終了、バスに乗って下山します。ちょっとアスファルトが剥げていますが快適な道です。11時、山を後にします。

 

おまけ。

帰り道のモウセンゴケ。ここは暑い。