悩ましきネパールの諸事情・・・ | ネパール悲喜こもごも

悩ましきネパールの諸事情・・・

燃料不足も悩ましいが、それ以外にも悩ましいことが多すぎるネパール・・・。

先週から続いていたストライキはようやく終わった。
今日から交通状態は平常に戻った。

何のストライキかというと・・・・・・・・これが説明が難しいんだなあ。
ネパールの事情を知らない人にはピンと来ないと思うが・・・・一応説明するとこういうことだ。
ちょっと長くなるけど・・・

まず、燃料が高騰したことを受け、ネパールの公共交通機関(バス、マイクロ、タクシー、テンプーなど)のオーナーたちが一斉に声を上げた。
「燃料を値上げしたら、運賃も値上げするってえのが筋じゃあねえかい。こっちは商売がかかってんだい!」
もっともな話である。

たとえばマイクロバス(日本でいう10~15人乗りのバン)。
カトマンズ市内では、これまでたったの9ルピー(約15円)で乗れていたのである。
これに超満員で40人乗っても(えーっ!そんなに乗れるのっ!?はい、乗れちゃうんです)、たったの360ルピーにしかならない。
とても採算が採れてるとは思えない。

この低料金設定に、追い打ちをかけるような燃料高騰。
これでは商売にならない、ということで、公共交通機関のオーナーらが、政府に対し最低35%の運賃値上げを求めてストに出たのである。
今回の彼ら主導のストでは、バスやタクシーは一斉に走るのをやめたが、自家用車やバイクに関しては何の制限もしなかったので、一般車両の通行には支障がなかった。
これだけならば、日本でも通常ありえるバス会社や最近のJALのストのようなものである。(目的は違うか)

ところがどっこい、ここからがネパールの本領発揮。

まず、このストを受けて早速政府は協議をし、運賃の25%アップを決定した。(なかなか迅速な対応でよろしい)
ところが、この運賃値上がりに、今度は学生団体が猛反発!
主要な交差点のあちらこちらでタイヤを燃やして交通封鎖し、息巻いた。
「何が運賃値上げだ!日用品や食糧がここまで値上がりした上に、さらに俺たちの足まで値上がりされたんじゃ、生きてゆけねえ!収入のない俺たちはいったいどうすればいいんだ!」
ということで、彼らは政府に対し、学生には公共運賃の50%割引を適用させるよう要求した。(これまでの割引率は20%前後)

と同時に、公共交通機関のオーナー(ちょっと長いのでオーナーとさせていただく)もまた、先の政府決定に反発。
「たったの25%の値上げだと!?ふざけんな!35%が最低ラインだ。この要求が通らないなら、ストは続行だいっ!」

完全に板挟みの政府。
またまた協議をし、まずは学生たちに擦り寄って、学生割引45%を決定した。
学生らも一応、この妥協案で落ち着き、交通封鎖を解除した。

ところが納得のいかないのが、オーナーたち。
「なにっ!?学生に45%割引だと?そんなことをしてみろ。値上げの意味がぜんっぜんないってのが計算できねえのか、このやろう!!!」
ということで、ストを続行。

またまた協議する政府。
「うーん、困ったもんだ・・・。学生団体に45%割引を約束しておいて、いまさら撤回できないし、かといってこれ以上の運賃値上げは市民生活に大打撃だ。・・・かといってほっとけば、ストは止まないしなあ・・・・。」
結局出てきた妥協案が、値上げ幅を28%にするというもので、めでたく本日決着を見た。
オーナー側も、35%アップはやはり難しいということを理解したのだろう。

そんなわけで、一週間以上も続いたストだの交通封鎖だのは一応、今日からなくなった。
私はこの期間、音楽学校の授業がキャンセル、エデンプロジェクトの現場ももちろん行けなかった。
土曜日のまっくんやけんちゃんの日本語補習校も臨時休校となった。
これまでの生活に戻れるのはありがたい。

・・・・しかし・・・・

どうも、腑に落ちない。
オーナー側と政府と学生団体との関係である。
どうして、3つの団体の代表がそろって話し合いのテーブルにつかなかったのだろう。
それぞれの意見を戦わせて、お互いの立場を理解し、その結果妥協案を得るほうがはるかに有益ではないか。
今後のためにも。
何か、いつも対処療法しかできない政府。
新しくなっても何にも変わっていない。
ことを荒立てないようにすることで、自己保身を図ろうとしているように見受ける。
毅然とした態度で、びしっと、しかも理路整然と国民を納得させるようなリーダーはおらんのか。

・・・・って、これって日本にも当てはまるよね。
扱う事柄は違うけど、なんとなくすっきりしないところなんか、どこの国も一緒かな。

うーん、やっぱり政治って難しいねえ。
っていうか、人間関係が難しいんだね、きっと。