酒と泪と漫画と映画

はじめに

漫画は恥ずかしながらジャンプ系に偏り気味。

小説は歴史小説がメイン・・・

映画は常にDVDレンタルのヘタレだけど

仕事柄、これから本を沢山読みそうなので

評論を書くのも一興かと立ち上げたブログです。

漫画・本・映画に限らず

文芸の香りがするもの+酒なんぞも

紹介していこうと思いますので

お暇な時にでも読んでいただければ幸いです。  

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キングダム

原 泰久
キングダム 1 (1)
 
ヤングジャンプで連載中の春秋戦国時代もの。
 
あらすじ
要は秦の始皇帝の話。
メインの主人公は信(おそらくは後の李信将軍)で、
ほぼ主人公が秦王政(後の始皇帝)。
物語は政が弟の謀反によって王座を追われるところから始まる。
政の味方は無名の少年に過ぎない政や蛮族の河了てん
それに昌文君とその配下の寡兵のみ。政はいかにして
玉座を取り戻すのか・・・
春秋戦国時代を題材にしたサクセスストーリーといったところか。
  
評価
 主人公・信が後の李信将軍であるとすれば、楚との戦争で
大敗する人物として史記に描かれているわけで、
かたや、政の無二の忠臣である昌文君も後に秦を裏切って
敗死している人物ですから、些かな無謀な人選という
感も否めませんが、物語としては非常に熱いものがあります。
なにしろ、史料も少ないでしょうし、自由に描いていることでしょうから
作者が楽しんでいるのが伝わってくるような漫画です。
蛮族の王と盟を結んだりしますからね、政が。  
 力強い画力に、癖の強いキャラクター、自由なストーリー。
成り上がりものとしては、面白い話だと思いますので
読んで損はないです。まだ3巻までしか刊行されていませんし。
 
評価点
 
80点
 
オススメ度
 
☆☆☆☆★

センゴク

宮下 英樹
センゴク 2 (2)  

あらすじ

時は戦国、1567年、斉藤家家臣に「仙石権兵衛秀久」という若武者が居た。

物語は、信長によって稲葉山城が陥落するところから始まり、

斉藤家に仕えていた仙石は惚れた女のため、ただ1騎で信長勢に

突撃する。奮戦むなしく捕縛された仙石は、信長に見込まれ

その配下になり、秀吉の下に配属されることになる。

こうして仙石の物語が回転をし始め、数奇な運命を辿ってゆく・・・。

秀吉の配下としては最古参であり、最初に大名まで成り上がった

男「仙石秀久」を主人公に取り上げた戦国絵巻。

 

評価

 この漫画の見所は3つ、1つ目が登場人物の魅力です。宮下氏の

卓越した画力もさることながら、人物像の描き方が素晴らしい。作者の

思い入れなのか、それぞれのキャラクターが非常に造りこまれていて、

初期の頃の「蒼天航路」に匹敵する魅力を感じます。

ちなみ、「信長の野望」をやっていると、そのままストライクの絵です。

上記画像は信長。

 2つ目は物語構成の緻密さ。しっかり文献にあたって書いているので

漫画とは思えないリアリティを持っています。時代小説好きにもしっかり

楽しめる内容です。例えば、戦国時代の戦死者の7割は弓によるもの

であったとか、馬上槍などできたものではなくて槍を使うのであれば

馬から降りていたとか、小ネタをちりばめているわけです。

騎馬隊なんてものは馬で踏み潰すためのものでしょうからね。

 3つ目は、単純にストーリーが◎です。今まで、取り上げられることの

なかった「仙石秀久」を取り上げた斬新さ、斉藤龍興が信長によって

美濃から追い落とされた後、さまざまな謀略を計っていた、という

話作りの旨さ、皆が知っている戦国時代を仙石の目を通して展開

させることによって新たな光を当てることに成功している作品だと思います。

 四の五の言わずに読むべし、です。

  

評価点

 

85点

 

オススメ度

 

☆☆☆☆☆




風林火山

風林火山  
井上 靖

2007年NHK大河ドラマ「風林火山」の原作

井上靖氏の作品で主人公は山本勘助。

あらすじ

今川家家臣「庵原忠胤」の食客として9年間飼い殺しになっていた

山本勘助(今川は勘助を召抱えなかった)が、一計を案じて

武田家家臣「板垣信方」に取り入り、武田家に召抱えられる

ところから物語は始まる。この時勘助は既に齢50。

小男で隻眼でびっこでしかも指が1本足らない異様な風貌の

勘助の才能を見抜き、最初から手厚く迎える武田晴信(後の信玄)。

醜い自分に対して初めて人として接してくれた晴信を

無二の主君と崇める勘助。

この晴信・勘助の主従が信濃を切り取って戦国の最強軍団武田家を

作り上げていく過程を描いたのが本書である。

そこにヒロイン由布姫(武田が滅ぼした諏訪頼重の娘で四郎勝頼の母)が

絡み、晴信と晴信の側室由布姫と軍師勘助の3者の物語。

最後は第4次川中島の戦いで策敗れた勘助の特攻で幕を閉じる。

感想

 大河ドラマの影響で、本屋で手に取り、井上靖なら面白いだろうと

即買いしてしまった1冊です。予想通り、のめり込める作品でした。

まず、今まで「山本勘助」に対して抱いていたイメージが光栄の「信長の野望」だけで

培ったものであり、いかに貧弱だったか、気付かされました。

名軍師だったことと「啄木鳥戦法」だけの知識をよい意味で覆してくれる作品です。

やはり、武田家と言えば馬場や山県、内藤、高坂、真田を思い浮かべるところですが、

勘助が活躍したころのメインは板垣信方であったり原、飯富、秋山あたりの

時代だったりして非常に新鮮な物語です。信州に割拠していた諏訪氏や

村上義清勢、伊那勢などを平らげていく晴信・勘助・武田家臣団の話は

それだけで、オトコ達の熱い物語ですが、そこに晴信の女好きの話や

それに翻弄される勘助の苦悩などが生々しく迫ってきます。

 ニクイのが好敵手長尾景虎の使い方で、ちらちらっと登場して不気味な存在感であったり

青年武将の爽やかな印象であったりを残して、その実像は全く描かず、

最後も、勘助の死後、信玄の本陣に単騎で切り結ぶ謙信の姿を示唆して

幕を閉じてしまうあたり・・・うまいなぁ。

 晴信と由布姫の二人を天下に押し上げること、さらにはその二人の息子である

四郎勝頼を主君に据えることを望みとして、戦場を駆け巡る勘助の生き様、

最期は啄木鳥戦法を見破られ、武田の本陣を危うくし、捨て身の突撃を敢行。

軍略だけでなくかっこよい爺さんだなぁ、と素直に称えられる物語でした。

 

評価点

 

70点


おススメ度

 

☆☆☆☆★ (やはり今は大河ドラマもやっていますので読んでみるのも一興かと・・・)