少し間が空きました。

2回目は、恐竜界で一番知名度の高い人気者、ティラノサウルスです。

 

 

 

 ティラノサウルスはご存じ、白亜紀後期~末期に生息していた世界最大級の肉食生物です。

 

 全長が約11~13mとされますが、頭骨長が約1.5mとされており、全長の1割以上を占めています。大きな体格ですが体重については諸説あります。概ね6~9t程度とされていますが、3tとする説や14tまであったとする説もあります。また前肢が体格に対して異常に小さいことも大きな特徴でしょう。

 

 恐竜界最強のイメージから、恐竜を題材にした作品では非常に高い登場率を誇ります。

 

ゾイドにもかなりの頻度でティラノをモチーフにした機体が存在しており、

 

ゴジュラス系列

 

ゴッドカイザー

 

キングゴジュラス

 

デスザウラー

 

ジェノザウラー系列

 

バーサークフューラー系列(凱龍輝含む)

 

ブラキオレックス(ティラノ形態)

 

バイオティラノ

 

デスレックス系列

 

9種類存在します。

 

ネオブロックスのG2レックス含めれば10です。

 

 それぞれの派生は大元にまとめてます。一部媒体ではティラノサウルス型とされているものも含み、キングゴジュラスはフレーム等新造が多かったので別にしました。

 

 多くが物語で主役級やそれのライバルであったり、ラスボス的な役を担う機体が多いです。

 

 

 

 

 メカ生体ゾイド期は、1983~1990年です。

 

 この時期は2足歩行恐竜の多くは「ゴジラ型」「怪獣型」と呼ばれる直立2足歩行、尾を引きずっている姿が主流で、一部を除き正しい学説とされていたようです。ティラノ型以外にも直立2足歩行で創られた恐竜型ゾイドがメカ生体期に多数存在しました。

 

 この時期に出たティラノサウルス型ゾイドは概ね「ゴジラ型」です。

 

・ゴジュラス系列

 

・キングゴジュラス

 

・デスザウラー

 

 この3機種が当てはまります。

 

 

 ゴッドカイザーはこの時期としては特殊なので後ほど。

 

 ゴジュラス、キングゴジュラスは背びれがあるので、モチーフは恐竜というよりは某映画の怪獣だったのは周知の事実です。実際のティラノには背びれがあった痕跡は今でも発見されて無いです。

 デスザウラーは背びれが存在しない分、ゴジュラスよりもモチーフに近かったと思いますが、今見返してみれば頭部が小さいかと思います。首と同じくらいの幅で、頭長も小さめ。その点で見ればゴジュラスの方がティラノっぽくも見えます。

 

 この3機種ですが、すべてに当てはまる当時を表している別の身体的特徴が、前肢の大きさです。

 現在では見られないですが、メカ生体期にティラノ型と表記されたことのあるゾイドは全て前肢が大きいです。恐らくゴジラのイメージや、直立2足歩行で腕になる部分が小さいと、弱そうに見えることもあったかと思います。

 しかし事実としては、少なくともゴジュラスやデスザウラー登場までには、ティラノサウルスの前肢の完全な標本は存在していなかったんです。一番最初にティラノサウルスの前肢の完全な化石が発見されたのは、1988年にアメリカで発掘された「ワンケル・レックス」が最初とのことでした。発見されるんまでは近縁種のタルボサウルス等の前肢の標本を参考にしていたそうです。そのため「ティラノサウルス」としての標本がないため、当時は前肢が大きくても間違いとも言い切れなかった状態でした。後にゴジュラス、デスザウラーは『恐竜型』に改められ、機獣新世紀期にゴジュラスは資料によって通常のティラノとは系統の違う変種として位置づけられています。

 僕の記憶でゴジラ型のティラノサウルスがモチーフとして描かれた最後の作品は、日本では1992年公開された「恐竜戦隊ジュウレンジャー」が最後だったと思っています。

 

 

 機獣新世紀ゾイド期に入り、一番最初に完全新規で登場したのが「ジェノザウラー」です。2000年3月に登場したジェノは、1980年代から研究が進んだ結果、前傾二足歩行、小さな前肢と、ほぼほぼ現在のティラノと同じスタイルになっています。バーサークフューラーと、フューラーと同じフレームを用いている凱龍輝も概ね同じですね。

 ここで紹介した3機種ですが、アニメや公式に展開されていたバトルストーリーでも主役のライバル機だったり、切り札として登場したため扱いがよかったこと。そしてとてもカッコいいので現在でもかなりファンが多いです。

 ただ、この3機種に共通して思うのが頭部がかなり小さい、というか横のボリュームがないと思います。ジェノザウラーは元になったのがデスザウラーで、デス自体も胴体と比較して頭部が大きくなかったのを引き継いだのでしょうか。フューラー等も同じで、現在僕はティラノとしては違和感を感じています。

 

 

 ゾイドジェネシスで登場したバイオゾイド。その総大将的な存在として存在するのが「バイオティラノ」。このゾイドが、ゾイドで一番ティラノサウルスらしいスタイルだと、個人的には思ってます。大きな頭部、ごつい首、小さな前肢、大きな後肢、大きな胴体で構成されています。

 バイオ粒子砲という兵器を装備していますが、バイオ粒子とは何なのか、荷電粒子砲とはどう違うのか。詳しい説明が無いようですが何にしろ、ラスボス級が装備する兵器としての印象は抜群です。

 ただティラノサウルスの姿ははっきりと分かりますが、当時自分は子供だったためか、ゾイドとは認識できませんでした。それまでのゾイドと一線を画すデザインが、僕には受け入れられなかったんです。そのせいでバイオゾイドは現在も1体も所持しておらず、今集めようとしてもプレミア価格がついてたりするのでなかなか手が出ないです。

 

 

 ゾイドワイルド期にも、ジェネシス同様ラスボス格として描かれたティラノ型、デスレックス、同じフレームを用いたオメガレックスが登場。

 バイオティラノとほぼ同様のスタイルを持ち、ゾイドワイルドで実装されたギミックの一つである「デスブラスト」「マシンブラスト」が採用されています。

 デスレックスの外装のイメージは人工的な兵器というよりは禍々しい生物という印象。丸みを帯びた装甲と生き物っぽい目がそれを際立たせます。装甲とインテーク、武装の存在って兵器を際立たせるのに大事ですね。

 オメガレックスはゾイドファン垂涎の荷電粒子砲搭載型、バイザー、背部の武装、ディティールも含め、兵器っぽさがこれでもかと出ています。

 背部にファンが付いていますが、デスザウラーのように回転はしません。流石に構造的に厳しかったようです。

 オメガレックスの荷電粒子砲は口腔部と収束シールドを利用するもので、ボディ全てを砲台にするという荷電粒子砲の発射をより際立たせています。

 

 

 

大まかな特徴をまとめると

メカ生体ゾイド期(1983~1990年)

 

・直立姿勢

 

・尾を引きずる

 

・前肢が大きい

 

機獣新世紀ゾイド~ゾイドフューザーズ期(1999~2004年)

 

・前傾姿勢

 

・前肢が小さい

 

・頭部がやや小さい

 

・尾は水平に近い

 

・ゾイドジェネシス(2005~2006)、・ゾイドワイルドシリーズ(2018~)

 

・前傾姿勢

 

・頭部が大きい

 

・前脚が小さい

 

 

 ここで個人的に疑問があったのがゴッドカイザーです。ほぼ同時期のキングゴジュラスが直立2足歩行スタイルであるのに対し、第一期の中で唯一、ティラノ型としては前傾2足歩行スタイルに近い形状になっています。事情を知らなかったので調べてみました。

 これに関してはどうやら動力ユニットの関係だったようです。ハウンドソルジャー以降、同一サイズのゾイドは規格を統一した動力ユニットを使用していたそうで、ゴッドカイザーにも同じ物を使用したようです。この動力ユニットは基本的に4足歩行ゾイドに対応させた物だったため、これをゴッドカイザーに使用した結果、前傾2足歩行に近いスタイルになったということだそうです。しかし完全な前傾2足歩行スタイルにはなっておらず、なんとなくボディが斜めになっています。どうにか直立スタイルに近づけさせたかったのが垣間見えます。

 しかしこのゴッドカイザー、頭部の小ささと謎の角、前腕の形状がティラノサウルスっぽくなく、言われないとモチーフが分からないゾイドと思えます。よくメカ生体ゾイド期の末期は迷走していたと言われていますが、このゴッドカイザーは当時の恐竜のトレンドであった直立2足歩行でないことなど、「モチーフがわからない」という生き物をモチーフにした商品としては致命的な欠点を持っていたように思えます。これも迷走の証の一つでしょうか。

 

 

 現在の定説に近くなったのはゴッドカイザーが微妙だと僕が判断するとジェノザウラーからのようですね。

 

 何年頃から姿勢の定説が変わったのか、もう少し詳しく調べました。先述で直立2足歩行のティラノサウルスがモチーフとして描かれたのは、1992~1993年放送の「恐竜戦隊ジュウレンジャー」が僕は最後だと思うと僕は書きました。その後前傾2足歩行のティラノサウルスが登場、定着したのはいつ頃だったのか。

 僕の調べることの出来た限り前傾2足歩行の始まりは、やはり1993年公開の映画「ジュラシック・パーク」のようです。映画の製作期間も考えると、ジュウレンジャーの時期と大きくかぶっています。この辺り、恐竜の研究最先端のアメリカと日本の差があったのか、情報の普及速度だったのか、なにかしら遅かったように思えます。また1996年にタカラとハスブロ社共同で制作されたCGアニメ「ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー」のビーストメガトロンはティラノにトランスフォームします。これも前傾2足歩行であったため、この頃には新しい学説の定着が進んでいたようです。

 

 ゴジュラス、デスザウラー等が大きな印象を残したメカ生体ゾイド期が終了してから、機獣新世紀ゾイド期にジェノザウラーが発売されるまで約10年ほど。この空白期間が恐竜の姿勢の定説が「直立2足歩行」から「前傾2足歩行」に変わった、大きな転換期であったようです。

 

 記事等誤りというか、指摘、意見があればお願いします。

 それでは。