聡side
はぁ…デビューかぁ
私服に着替え、事務所をあとにしようとしたら
コートのポケットにメモが
風磨くんの字で
「次の土曜日空けとけ」
と書いてあった…
そして次の土曜日
指定された駅に着くと
先に風磨くんが改札口の前にいた
「おせーな!」
風磨くんは半ギレのご様子
「ごめんなさい」
僕が小走りで側に行くと
「気が利かねぇな。なんで男の格好で来んだよ
チッしかたねぇな行くぞ!」と
先をとっとと歩き出した
「待ってぇ~」
息を弾ませながらついていくと
とあるショップの中に入って行った
風磨くんは店員さんに
「こいつに似合う服見繕って」と
自分はソファに腰を下ろして足を組んでる
店員さんがいろいろ持ってきてくれるけど、付いてる値札を見て
僕はフリーズした…
ケタが違う
さすがハイブランドの洋服を着こなす風磨くんだけあってオシャレ
店員さんに促され試着室で着替えて出てきたら、風磨くんがやってきて僕を見るなり
「いいんじゃね」と言って
棚にあったヒールのある靴を
掴むと
「さすがにスニーカーはまずいだろ。これ履けっ」と渡された
もちろんお会計は風磨くんが払ってくれて、僕は試着室から出たままの姿でお店をあとにした。
「あの…お金は必ず返しますから…
てか、なんで女の子の格好しなきゃならないの?このあと何かあるんですか?」とふと疑問に思って聞いてみたら
「デートしかなくねぇか」
…予想外の返答だった