風磨side
映画館に着き、上映前にトイレに入った
洗面台で手を洗ってると、反対側の洗面台で手を洗う松島が鏡に映りこんだ。
俺はそれを見て息を飲んだ。
鏡に映る松島は黒ずくめではなく、学校の制服を着ていた。
そして、俺に気づくと
訴えかけるような表情で
「タスケテ」と唇が動いた。
俺は水を出しっぱなしのまま、しばらくボーゼンとし、いま見た光景を必死に頭で理解しようとしてたら
「風磨先輩、時間なので行きますよ」と松島に声をかけられ、
我に返った。
先をとっとと歩く松島
俺はその後ろ姿を見ながら、
きっと何かの現象で、本物の松島と入れ替わってしまったのだろうと理解し
俺の知っている松島をどうやったら助けてあげられるだろうか…そんな事ばかり考えていた。