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マリア・ジョアン・ピリスやアンドラーシュ・シフともまるで異なるかなり神経質で硬質な響きで奏でられる
モーツァルトのソナタ全集。
録音は1967年から1971年に収録されているが、特に残響が効き過ぎているとか歪みが散見されるということもなく至って心地よい印象を残している。
装丁が悪くないので今年のクリスマスに知人に贈るプレゼントはこれにしておくかな?

amzonn評から
~これは凄いソナタ全集だと思います。硬質なタッチで、尋常でない集中力の下に繰り出される音楽に隙がなく、しかも何度も聴きたいと思わせる中毒性があります。
~このエッシェンバッハの演奏より、娯楽性の高いモーツァルトは確かにあると思いますが、確信に満ちたタッチの安定感、美しさでは随一かと言っていいと思います。

モーツァルトのピアノソナタは軽い、ゆるい、幼稚だと思いになっている人がいたら、このエッシェンバッハのピアノを聴かせてみてみたい。とてつもない神経と熱量が青い炎となって聴くものを魅せてくれると思います。大推薦盤です。
~エッシェンバッハの音は一聴、音楽室にあるグランドピアノを音楽の先生が弾いているような教科書的な音だけど、一音一音に磨きがかかっています。一音一音の意味を深く掘り下げたアプローチは他のモーツァルト弾きとは一線を画します。ドイツらしい少し粘り気のあるかみしめるような重厚な音。情熱を内に秘めた格調高い名演だと思います。

~ギーゼキング、ピリスと並んで私のライブラリーの中では「不動の一生もの」です。私は(年寄りなので)古いピアニストもかなり集めておりますが、これは私なりに「気分に応じて聴き分ける」ためなんです。例えば(ご存じないかも知れませんが)、死を意識したモーッアルトならばクララ・ハスキル。悲壮なモーッアルトならばディヌ・リパッティ。平和で幸せなモーッアルトならばギーゼキングという風に…。ただ、古い巨匠の盤は(録音が古いので)最新どうしても音の良い盤の方を聴いてしまいます。さて、中でも録音の良いエッシェンバッハですが、正直、以前はあまり印象がありませんでした。しかし皆さんのレビューを拝読させて頂き、早速に購入し、もう大成功でした。皆さん誠に有り難うございました!。これ、録音の良さに限ればピリス以上なんです(勿論、演奏も凄くいいですが)。私は今までは常にグラモフォンには批判的でしたが(グラモフォンの録音のトップがアホ人間の時期が久しくありましたので)、しかしこのアルバムを聴くと、この時に担当した録音スタッフ陣が如何に有能だったかを思い知らされます。下手な高音質CDとか、SACDなんかはもうお呼びではありませんので!(笑)。


HMV評から
~全集では旧盤ピリスもラローチャもいいけど、今ひとつ納得できない部分があった。かつて高評価だったエッシェンバッハの全集、さすがの演奏である。誇張なく、格調高く、誠実な演奏ゆえに曲それぞれの完成度の違いがそのまま現れているように感じられる。曲の価値を再認識させられた。

~KV545が面白い。1楽章が旋律と伴奏、2楽章が複音楽的。そして3楽章。右手が建前左手が本音、シューマンが開拓した二層性の出現を予告する解釈。やはりこの曲は傑作だ。でも、全集全体を聞くと曲により仕上がりのバラつきが大きい。エッシェンバッハは彼自身が興味のあることとないことがハッキリしており、「ない」部分は演奏水準だけ確保してさらりと流している。しかし「ある」部分での洞察の深さ、面白さ、暗さは最高。仮面としての中庸なテンポがそれを偽装している。策士だ。

~有名な部分、K333の冒頭右手、調号による階名で、ラからドへの下降音形で(乱暴)、小節の区切りでスラーが分かれる部分があります。これは18世紀の演奏様式によるものです。一瞬指が遅れたようにも聴こえますが、実は正しいのです。このような部分を的確に処理することが良いモーツァルト演奏の条件です。エッシェンバッハは確実に急所を押さえており流石です。より明瞭で自然に聴きたければブレンデルや内田の録音がお薦めです。楽譜が間違えている場合が結構ありますので、良い楽譜を探して聴いて下さい

~1967-70年ステレオ録音。ドイツ純正のピアニズムを継承する逸材と評され、その期待を一身に担っていたエッシェンバッハの新進時代、27歳から30歳にかけてのレコーディングで、現在では指揮者としての活動に重心を移してしまった彼の、ピアニストとしての代表作として世評高い名盤です。

現在はポーランド領となっているブレスラウに生まれたエッシェンバッハは、出世時に母親を、4年後には父親を失い、孤児として亡命キャンプに収容されたという過酷な過去の持ち主。6歳の時にエッシェンバッハ家に引き取られて、養母にピアノの手ほどきを受けたのが音楽との出会い。10歳の時に指揮者のオイゲン・ヨッフムに認められたことで天運が開け、21歳で正式にデビュー後、ミュンヘン国際コンクール(1961年)、クララ・ハスキル・コンクール(1965年)と受賞歴を重ねて「ドイツ・ピアノ界を担う俊英」と称されるに至ります。

そんな賞賛を受けてレコーディングされたこのモーツァルトは、派手さを排した真摯かつ率直なアプローチと、凛々しくも爽やかな表情とを絶賛され、現在でも、理想的なモーツァルト演奏のひとつに挙げられることも少なくありません。作品それぞれに対して初々しいほどに素直であろうとしているかのようなこれらの演奏は、指揮者として時に個性的な演奏で聴き手を驚かせることも多い現在のエッシェンバッハとの比較という点でも興味深いところです。

ドイツ・ピアノ界の若手の旗手として華々しい演奏活動を展開していたエッシェンバッハが27歳から30歳にかけて録音したモーツァルトのピアノ・ソナタ全集。現在では指揮者としての活動がメインとなってしまいましたが、ピアニストとしての代表作であり、またモーツァルトのピアノ・ソナタ全集の決定盤の1つとしてたいへん評価の高い名盤です。エッシェンバッハのモーツァルトは、やや硬めのタッチながら真面目で率直なアプローチが心地よく、若々しく爽やかな演奏ぶりは今なお新鮮。演奏家と作曲家が対話を交わすようにして弾き進めるエッシェンバッハの清澄でニュアンス溢れる演奏は、聴く者の心にいつまでも残るような深い感銘を与えてくれます。やはりこの演奏がいいとこのアルバムに還ってくるオールド・ファンも多いようです。スリムBOXケースです。