楽器の貴金属めっき | NEO技術士事務所

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NEO技術士事務所 所長の小平宗男(こだいらむねお)です。

コンサルタント等のご依頼内容については、すべて非公開としております。
このサイトでは自分の備忘録を兼ねてトピックスの紹介しています。

日本電鍍(でんと)工業さんを見学しました。
サキソフォンなどの楽器やアクセサリーにAu、Pt、Agなどの貴金属めっきを施している会社です。

 
写真はすべて日本電鍍工業さんのWEB SITEから拝借

まず、代表取締役社長が会社理念を説明してくださいました。
凛とした雰囲気で、率先して社員に範を示しているように感じました。
社員もしっかりとした専門知識を持った、礼儀正しく、人当たりの良い人達で、なんか楽しい気分でした。


工場案内してくれた社員の方の話で、面白そうなトピックスを集めてみました。

装飾めっきは繊細で、見た目の美しさについてもシビアですが、機能性も重要。
楽器はめっきの種類でも音色が変わる。演奏家はこんな表現をしている。
Agめっきはダークな音色
Auめっきは華やかな音色
Ptめっきはパワフルな音色

フルートのPtめっきをAuめっきに変えると柔らかい音になる。
トランペットのマウスピースもめっき種類で感触が変わる。



普段はヤマハやヤナギサワの製品を手がけているが、演奏家が愛用の楽器を持ち来んで、今のめっきを剥がして、新たに別のめっきを施すような注文も少なくない。
この場合は、セルマーとかの海外製品も扱う。
代理店の情報では、楽器の修理や改造でめっきする場合、9割を日本電鍍工業さんが手がける。

僕のヤナギサワのサックス(完全に飾り物になってしまった)のめっき仕様が気になったので調べてみたんですが、「ゴールドラッカー仕上げ」って書いてありました。
安いのは塗装なんですね。
めっき仕上げの楽器は安くても50万円だそうです。

金色のドアノブを良く見かけますが、これは柔らかく傷がつきやすいAuめっきではなく、イオンプレーティングでTiNを製膜して金色に着色する。TiNはHV2000の硬さがある。Auは50くらい。
やっぱり安いドアノブは、塗装だそうです。


最近は、医療器具も手がけている。
Tiピンセットを陽極酸化で着色する。
着色する目的は主に「使い分け」だそうですが、「患者の心理的不安の緩和」や「体内への置き忘れ防止」などもあるそうです。


この季節は、クリスマス商戦に向けたアクセサリーの貴金属めっきの注文が多いそうです。
検査工程には女子社員が大勢いて、目視検査をしていました。
この人達は、かなり目が肥えているだろうから、彼氏や旦那は、プレゼントする時は気を使ってたいへんだろうなぁ、と思いました。



それから、余談ですが、ここの代表取締役社長、美魔女でした。