Trick or Treat, trick or treat
Happy Halloween !

街がはしゃぐ

いつからなんだ イベントはクリスマスで充分じゃないか。
浮かぶイメージはオレンジのカボチャ、それだけでこの騒ぎ様…ウンザリだよ。
もう何年も昔の事に感じるけど僕も、それまで毎年この日の夜は凝った仮装で
夜明けまで弾けた。惜しみなく踊って楽しんでそして皆を楽しませた。
パーティーのスターだったんだ。左足を怪我してからダンスは止めた。
人は大好きなものを奪われるとここまで退廃的になれるのかと変に感心してたよな。
それから僕は幽霊になった。陽が差すこんな明るい昼間なのに誰も僕が
見えない、夜は全く見えなくて存在の気配すら感じて貰えない。
夜景をバックに写メに夢中のカップルがベンチに置いた傘を持ち去ったり、
ガラガラさせて漂うクラゲみたいなヤツのキャリーバッグを蹴飛ばしたりして、
左足を引き摺りながら街を歩く。もう普通に歩けるんだけど

(ずっとオバケのままなのかな)

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お?パンプキンパイ、旨そうじゃん

えへ、はやく食べようよ ね?

ホイップクリームたっぷりだね

ううん、これマシュマロだよ、敷き詰めて一緒に焼いたのー

へぇ、アメリカっぽーい 本格的ー

やあーだー

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いまは1人、毎年、毎日…ずっと1人だな

誰からも嫌われてる 俺だって嫌いだ。 好きな人間なんていない。

 

・・・・

結局、ウルトラギガ級にさびしんだよな・・・

 

ウロウロしてたって何が起こる訳でもなし、寒くなるばっかし・・帰るか、ファミマでコーヒー買ってこ。

アパートに一番近いコンビニに入るといつもの娘がせっせと品出しなんかしてた。

僕に気付くと慌てて「いらっしゃいませ」、レジの定位置に立つ。

 

「えっと」

「コーヒーのMサイズですよね?」

「え・・・そう」

紙コップを差し出されて会計を済ませる。

 

(覚えて・・・・・知っててくれてるんだ、自分のこと)

 

コーヒー片手に外へ歩き出した。

流星からすれば砂粒程のかわいそうなくらいちっぽけな星だけど

だけどそれでも星になれる気がして

僕の心は喜んだ。

 

 

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