橋
赤い橋は張りつめたまままっ白な少女の指から俺の指へ (川鉄ネオン)
夕暮れの街角。少女に呼び止められる。
こちらに向ってまっすぐに両腕をさしだす少女の白い指先には赤い橋。
白い指先はぴんと張りつめ橋の形を守っている。
少女は黙って俺を見ている。この赤い糸を俺の指でうけとれということなのか。
俺はすこし緊張しながら指をさしだす。
赤い橋ははりつめたまましろい指先から俺の指へ。
ふたつの指先ははりつめたまましばし交わり
やがて少女の指先だけが弛緩する。
少女は微笑んで去り、俺の指先ははりつめたまま夕暮れの街角で途方に暮れる。
というような不思議なデキゴトのひとつも時にはあっていいが、
現実とは誠に味気ないもので、そんな不意のあやとり劇はきょうも展開されない。