今回はシナイモツゴか雑種か区別が付かないため、モツゴ繁殖編とします。
初春の遠征で採集したシナイモツゴ雑種(推定)
採集した場所はシナイモツゴ分布域。
しかし、過去に水族館やショップで見たシナイモツゴとは形が違っていました。
なんというか、モツゴに比べてシナイモツゴは、
太短く
背中が盛り上がり
より受け口で
全体に茶色く
側線がはっきりしない
そういう魚なんですよね。
決め手は有孔側線鱗数5~6枚ということですが、採集した個体は中途半端な上に鱗が剥がれてはっきりしない。。。
そこで数匹持ち帰り養生させ、再度確かめることにしました。
「シナイモツゴとモツゴの雑種は繁殖能力が無い」らしいので、そこも確かめてみることに。
シナイモツゴ雑種(推定) オス
婚姻色で黒くなっています。
オス 側線拡大
有孔側線鱗が5~6どころか背鰭の後ろまで達しています。
この個体が特に雑種っぽい。
シナイモツゴ雑種(推定) メス
こちらは全体にシナイモツゴの面影があります。
メス 側線拡大
上記のオスに比べると有孔側線鱗ははっきりしない。
背鰭辺りまであるように見える。
もし雑種に繁殖能力がないというのなら、2匹のどちらか、または両方雑種の場合産卵しても孵化しないということになる。
屋外産卵容器を設置しこの2匹を入れてみました。
モツゴ産卵容器
発泡容器 サイズ 70✕70✕30㎝程度
産卵床に植木鉢を半分に割り伏せておく。
飼育から10日程度で産卵しました。
鉢の裏に産み付けられた卵
孵化までオスが守ります。
モツゴの卵 拡大
既に発眼していますね。
数日前に産卵したようです。
モツゴ孵化、仔魚育成容器
容器サイズ 40✕25✕15㎝程度
発生中の卵を別容器に移し、弱いエアレーションで管理。
卵発見から7日で孵化し始めました。
シナイモツゴ雑種仔魚 孵化2日目
全長 約3.5mm
サイズは小さいものの、ある程度しっかりした形で生まれてきます。
拡大
上から
卵黄吸収するまで仔魚は底でじっとしている。
卵黄吸収後は底を這うように泳ぐ。
(仔魚期の餌と飼育環境)
屋外水槽のグリーンウォーターを少量仔魚容器に加える。
隠れ家にマツモとクロモを数本容器に入れた。
初期飼料はワムシの卵を2~3日に1回水面に少量ばら撒き。
2日に1回冷凍ワムシをスポイトで底付近全体に吹き付ける。
換水は1週間に1回半分換水。
カルキ抜きは行わなかった。
シナイモツゴ雑種仔魚 孵化20日目
全長約5mm
冷凍ワムシ+ワムシの卵から徐々に活ブラインに切り替え2日に1回少量を与える。
斜めから
孵化仔魚は徐々に中層を泳ぐようになってきました。
斃死率は低いですね。
カワバタモロコやヨコシマドンコの仔魚に比べると、かなり強い。
さすが日淡界の強健種モツゴw
飼育風景
容器の角付近に数匹固まってます。
シナイモツゴ雑種稚魚 孵化40日目
全長7~8mm
ほぼ安心サイズになりました。
モツゴらしくなるのはもう少し先ですね。
この段階で稚魚達は屋外のビオトープに全て移動。
深さ50㎝以上あるから無濾過でもそこそこ水質安定します。
粉餌+時々活きブラインを与える。
一応産卵~稚魚の段階までは育ちました。
この稚魚たちは、一体何者なのでしょう?
シナイモツゴ✕シナイモツゴ
シナイモツゴ✕モツゴ
シナイモツゴ✕雑種モツゴ
雑種モツゴ✕雑種モツゴ
モツゴ✕モツゴ
のいずれかでしょうが、はっきりしませんね。
もうDNA調べないと分かりません。
もし、雑種モツゴ✕雑種モツゴで子供作れるなら一番厄介(シナイモツゴだけでなく、純粋なモツゴすら消える)ですがそれは仮定の域を出ません。
無償か安価でDNA解析できる機会があるなら、親と稚魚たちを持ち込んで調べてもらうかもしれません。
生まれたモツゴ達にはこのままビオトープのボウフラ退治部隊になってもらいましょう。
雑種の疑いのあるシナイモツゴはうちで命を全うするのが無難でしょうしね。
おしまい。。。
※追記
稚魚~若魚までの成長記録です。