育成 その2  の続き。


 久しぶりの参謀長です。


夏から秋にかけて採集してきた水草たち。


多年草タイプは冬も大丈夫だと思っていたけれど、一年草タイプと共に新芽の萎縮、成長点がなくなる、等の問題噴出。。。


維持して2年になるキクモまでが勢いをなくしておりました。


でも不思議なもので、強光、CO2、ソイルの環境を整えている限り、枯れはしないんですよね。


枯れはしないが、へたれる状態が続く……それも3月に入り、若干ましになってきました。


一年中加温しているにも関わらず、草たちには四季を感じ取る体内時計でもあるかのようです。


なかには冬でもへたれず、ガンガン伸びる草もありました。


とりあえず一年間維持してからどの草がレイアウトに使えるのか? 真冬対策は? などを把握した上で総括しようと思います。



では、現在も存在している水草たちについてのレポートを……。




ミズユキノシタ


ショップで売っているルドウィジア・オバリスは「アメリカミズユキノシタ」なのでこれとは別物。日本産は葉が互生。アメリカは葉が対生。しかしたまに、互生の日本産ルドウィジアも売っていたりする。

両方育てた経験から言うと、アメリカの方が水中葉が渋い赤になる。


(底床)  砂でもソイルでもよい。ただし、葉の赤みを引き出すには肥料分の入ったソイルが有効。砂だと葉が緑色になる。


(光)  20w一灯からでも育つ


(CO2) あってもなくても育つ  赤みにこだわるなら光と共に強めに与えた方がよい


(肥料) 

特にいらない

葉の色が薄れてきたら、液肥なり底肥なり加えればいい程度


(その他)

調子が良いと爆殖するし、突如成長点が消えて縮れることもある

縮れるのは冬が多かった




エビモ


湖沼タイプと河川タイプがある。

湖沼タイプは夏に殖芽を作って枯れることが多い。

河川タイプの方がその意味では扱いやすいと言える。

とはいえ、夏の高温に弱いことには違いないので、一癖あることには変わりない。


(底床)  自生地が大抵砂なので、細かい砂で育成


(光)  20w 2灯でやっているが、問題なく育っている


(CO2)

現在、添加無し。上部ろ過でエアレーションまでしている環境で伸びまくっているので、CO2はあまり重要でないかもしれない。


(その他)
採って来て適当に植えて爆殖している状況なので、一見容易そうだが、状態の良い採集物は草体自体が元気なので、どの草も最初は調子がいい場合が多い。へたれてからが本当の勝負。

夏場になれば、高温でへたれることは分かっているのでクーラー水槽に引っ越す予定。

CO2不要というのは使い勝手のいいところ。




イヌタヌキモとノタヌキモ


葉っぱの基部が2分岐(イヌタヌキモ)と3分岐(ノタヌキモ)の違いだけなので、まとめて扱うことにした。

外飼いでは、種子を残して枯れる、殖芽を形成して越冬、という違いがある。


(底床)  基本は砂がよい。肥料分の乏しいソイルでも可


(光)   20w 2灯でもそれ以上でも問題なく育つ


(CO2)  特に必要ない。添加した方が成長スピードは上がる


(肥料)  無し。 液肥を入れたりすると、縮んだりする


(その他)

根のない水草なので、浮かせて育てること。

見た目が綺麗なので、植え込んでレイアウトに使いたくなるが、植えるとかえってへたれてくるので注意。

中性~弱酸性の水で育てることに気をつければ、次々に分岐して増えまくる。

調子が良過ぎて水槽内で黄色い花を咲かせたりもする。

とにかく弱酸性の貧栄養の水で育てれば増えるし、環境が合わないと縮んでいく。




サワトウガラシ


野性下では一年草だが、水槽内での維持は可能。

冬でもいじけることなく、ゆっくりと成長を続ける。


(底床)  現在はソイルで育成


(光)  強め


(CO2)  一秒一滴添加


(肥料)  液肥と底肥を適宜投入


(その他)

成長が遅いので、コケやすい。

環境さえ整っていれば、へたれても簡単には枯れない。

増やすには差し戻しが有効だが、とにかく成長が遅いので数はとれない。

まっすぐ上に伸び、脇芽もあまり出さないため、アクセントとしてレイアウトに使うと面白い。




ミズトラノオ


画像真ん中のやつ。

ネコノオに比べると地味ではあるが、ネコノオと比べることが酷(笑)

個人的には単体でも十分美しい。

ただ、多年草でありながら冬になると新芽が縮れてしまう。

画像の物は数ヶ月の縮れから復活した個体。


(底床)  ソイルが望ましい


(光)  強光


(CO2)  一秒一滴添加 


(肥料)  液肥+底肥  どちらかと言えば底肥重視


(その他)

真っ直ぐ上に伸びてくれるので、レイアウトには使い易い。

増やすのも差し戻しで十分。

ただ加温していても冬に新芽がねじれてしまう。かといって枯れることはないので、維持は可能。



(ミズトラノオの花)


水中化した方が美しいミズネコノオと反対にトラノオは屋外で抽水植物として花を観賞した方が美しいので、水草としてこだわる必要はないと思う。







ミズマツバ


画像は冬を越して復活してきた個体。

フィールドで見る姿と水中化した姿はまるで違う美しい草。

水没させれば割と水中化してくれる。ただし秋口の花や種をつけている個体は水没させてもそのまま枯れるか、水中化に非常に時間がかかるので早目に見つけてくることが必要。


(底床)  ソイル必須  肥料分豊富なソイルが望ましい


(光)  強光


(CO2)  一秒一滴以上添加必須


(肥料)  主に底肥


(その他)

日本産水草の中でも、かなり難しい草の一つ


●切ると成長止まる

●抜くと成長止まる

●肥料不足になると成長止まる

●光が弱いと成長止まる

●CO2添加弱まると成長止まる

●冬になると成長止まる


という、飼育者泣かせの難種。

しかし、三種の神器さえ機能していれば欠片からでも再生するので、維持は可能。

扱いやすければ、レイアウトに使える綺麗な草ではあるが、今の所維持するので精一杯。。。




スブタ


画像中央の株タイプのやつ。

日本産ブリクサの仲間。

ヤナギスブタが冬になるとねじれるのに対し、こちらは調子を落とすことなく葉を展開する。

調子が良くなると葉がほんのりと赤みを帯びる。

ミズオオバコと同じく、水槽内では巨大化する(というより葉が上に伸びる)ので、他の弱い草を枯らしたくなければ適当に葉を切ればよい。


(底床)  ソイル


(光)   強光


(CO2) 必要


(肥料)  底肥


(その他)

植え替えしなければ大きく育ち水中で結実もする。

放っておくと水中に種をばら撒く。池タイプの物は同じ水槽内で発芽したが、水田タイプの物は発芽しなかった。

ロゼットタイプの水草なので基本種でしか増やせないが、環境が悪くなると根元から分裂することがある



ソイルの肥料切れでへたった時に分裂したスブタ。




成長点を痛めないように半分に切ってやると、それぞれの株から新芽を展開し始める。




ふう……次回は…当分先かな。


育成 その4  へ続く。