キモメンも年頃になると、結婚願望をいだくようだ。もっとも、彼らのいう「結婚願望」は、本当に世間一般の結婚願望と同じ意味なのだろうか?と私は疑いの目で見ているが。

 キモメンたちは、結婚したがるわりに具体的な行動をとらない。失礼だが、もてなさそうな男ほど、周囲に紹介を頼んだり、結婚相談所に登録したり、アプリを使ったりしていないようだ。普段と同じように過ごしているだけである。なぜだろう?ここでは仮説を述べてみたい。

 

 キモメンたちは結婚する前に、「普通の恋愛」を経験したいと思っている。「自然な出会い」を期待している。結婚したいと口では言いつつ、本当にしたいのは、「普通に生きていたら近くにいた良い女が自分に惚れてくれる」という経験である。そしてそれは、いわゆる結婚適齢期に芽生えてきた願望ではなく、思春期の頃から今までずっと抱いてきたが叶っていない(そして、これからも叶わない)願望である。

 単に年食ったので今の年齢であれば結婚しておいた方が格好がつくと思い始め、ずっと心の中にあったモテたい願望を「これは結婚願望だ」と誤認識しているだけである。

 

 自分の願望を誤認識するのは別に構わないのだが、その誤認識の何が厄介かというと、キモメン度が上がってしまうことである。

 つまり結婚適齢期になるまで彼らがしていた妄想は、

「かわいい女の子と付き合いたいなあ」だけだったのに、結婚したがりキモメンに進化すると、妄想も進化してしまい、

「かわいい女の子と付き合いたいなあ。そろそろ結婚もしたいし、となるとずっと一緒にいるわけだから、僕チンにキツイこと言ったりしないで立ててくれて、お料理ができて、ママにも気に入ってもらえるくらいお行儀が良くて…」と条件が増えるわけだ。そうしてますます気持ち悪くなる。