米国の中央銀行である


連邦準備制度理事会(FRB)バーナンキ議長は


バブル崩壊後の日本を訪れたとき


「デフレを克服するには


常識を覆す大胆なインフレ政策が必要」


と説教した


その時はプリンストン大学の教授だったが


FRB議長に就任し金融危機に遭遇した


そして「デフレにはインフレで」を実践する


手始めは米国史上初のゼロ金利


だがゼロが終点ではない


マイナス金利を目指す


専門用語では


「期待インフレ率の引き上げ」という


手元の100ドルが


1年後には物価高で90ドルの価値になる


と人々が思うようになれば


「年10%のマイナス金利」と同じことだ


中央銀行の使命は


「通貨価値を守ること」とされてきた


あえて通貨価値をおとしめるのが


バーナンキ流「非常識な金融政策」である。


米国政府は危機対策に8000億ドル用意した


財源は国債だ


関係国に協力を求めるだろうが


消化しきれない国債はFRBが引き受ける、


というようなシナリオが予想される


これこそ中央銀行が


「じゃんじゃんお札刷ってばらまく」


インフレ政策である


政府の借金を中央銀行が無制限に引き受けることは


我が日本国がかつて【戦費調達】のためにやった


その咎めが「戦後の大インフレ」


「新円切り替え」で国債は紙くずになった


それを今、「100年に一度の危機」だから


大目に見ようとアメリカはいうのだ


FRBが踏み出せば


早く使った方が得だ、と


マネーが動き出すかもしれないが


やがてドル価値の下落が


世界を揺さぶるであろう


ドルは国際通貨だ


政府の外貨準備や


個人や企業の外貨資産になっている


米国は世界最大の借金国だ


さんざん借りておいて


インフレで帳消しするというのはひどい話だが


政治は目先の対処療法に走りがちだ


傷つくのは「アメリカの威信」だろう


金融危機は経済危機になり


やがて通貨危機が幕を開ける