店舗の譲渡っていろいろと気を使うから面倒です。
売りたい人がすでに営業を中止していればいいけど、まだ営業中だといろんなことに気をつけないといけないため、一度話がこじれると大変なことになります。
これは、以前店舗の売却を頼まれたときの話です。
▼店舗売買は水面下で話を進める
最初は、仲の良い飲食店の片岡社長に店舗を売りたいと頼まれたことが始まりでした。
その店は僕がその社長に紹介して契約してくれた店だったのですが、本業とかなり違うコンセプトで始めたので、やはり本業に専念したいということで店舗の売却を頼まれました。しかし、この話の難しいところは店を閉めるわけではないし、希望の金額に満たない場合にはそのまま経営を続けるため内緒でお客さんを捜さないといけないことです。もし、店舗を売却することが他の人にばれるとその店の足を引っぱりたい人が経営がうまくいってないと悪い噂を流したり、取引先が心配したり、従業員にばれると給料の不安など、いろんなことが発生して面倒になることを恐れて社長は内緒で次の購入者を見つけてくれと頼んできました。
希望の金額は1,000万円。
確かにきれいな店舗だけど、1,000万円で売るのは難しいと思って信頼できる人で興味を持ちそうな人に声をかけました。あとは、事情を説明して同じ用に信頼できて、口が固い人に声をかけてもらうように社内の人にも声をかけました。
いろんなところに広がるとまずいので、広告には載せず、他社の人には声をかけずにひっそりと営業をしていました。
そんなときに、後輩のお客さんから興味があるという話がきました。その人はイタリアンのお店を経営している木村さんという人で、店舗の数を増やしていて調度出店したい地域での話だったので、興味を持ってくれました。
まずは、こういうときは店舗の案内をするのですが、事前に社長に中を見る予約を取らないといけません。従業員にも内緒にしている話なので、従業員には「レストランのコンセプトの見学に来る人がいる」という話にしたらしいです。見学に来る木村さんにも見学中に店舗を買う話なんてしないで、あくまで見学に来ただけという形にしてもらいました。先にこういうことの念を押しておかないと見学中に物品の金額を値切りだしたり、店舗の内部にケチをつけて少しでも安く買おうとする人もいるので気をつけた方が良いです。幸い、木村さんは数人で礼儀正しくおとなしく見て行ってくれました。
このとき、前もって売り主の片岡社長に確認をとっておいた、「持って行く物品。置いて行く物品。リース契約の物品。」を木村さんに説明しました。購入希望者は店を買うと全部の物品を置いていってくれると思い検討するので、あとになってリース会社に持って行かれたり、売り主が持って行ったりすると揉める原因になるのでちゃんと説明します。
そして、数日後、木村さんと連絡をとるとぜひ前向きに話をしていきたいとという返事があったので実際にあって打ち合わせすることになりました。
会ってから打ち合わせをしたのは、
1. 1,000万円という店舗の譲渡金を800万円にしてほしい
2. 家賃が60万円なのを少しまけてほしい
3. 敷金が6ヶ月なのを安くしてほしい
という内容でした。とりあえず、現段階では大家さんにはまだ何も言っていないので、申込書を書いてもらいそこに、希望の金額と木村さんの素性を書いてもらいました。そして、店舗譲渡の金額も買い付け証明という形で書類に金額と購入の意思表示として署名してもらいました。
店舗の譲渡の金額についてはもともと安くするつもりがなく、1,000万円より安くするならそのまま経営を続けると聞いていたので、そのことは木村さんに伝え、一応がんばってきますが期待しないでくださいと、あまり期待されないように釘をさしておきました。
▼大家さんと条件交渉
木村さんに書いてもらった買い付け証明を持ってまずは、売り主である片岡社長へ。
もともと1,000万円から一円もまけるつもりはないし、もし安くなるなら売らないでそのまま経営を続けると聞いていたし、そういうところは譲らない社長だと知っていたので値引きの話をしたらやっぱり断られました。片岡社長が言うには、実際に新しくこの店舗を作るには1,000万円以上かかるしこんな安い買い物で更に値引きを要求されても受け入れられない。特に、どうしても売却したい訳じゃないし、1,000万円でほしい人がいれば売るというスタンスとのことです。
この人は、説得できる人じゃないし筋も通っている説明なので値引きはあきらめました。まあ、最初からわかっていたことなのでめげずに次は大家さんの家に向かいます。
大家さんは近くに住んでいる農家の人で結構親しくさせてもらっていて、セロリやほうれん草をもらったりしてました。今回いきなり値引きの話までするのは失礼だし、まだ話は進んでるとはいえどんな話になるかわからないのでとりあえず今回は事情の説明です。
現在の賃貸者である片岡社長が店舗を売りに出して、木村さんという人が新しく店舗をやりたいとのことで申込書を書いてくれたことを伝え、申込書を見てもらいながら説明しました。
木村さんは現在3店舗イタリアンレストランを経営していて、Jリーガーなども食べに来るレストランだということ。現在は個人事業主だけどそのうち会社にしようと思っていること。連帯保証人は経営しているレストランのナンバー2だということ。パスタは千葉からわざわざ生麺を取り寄せている生パスタだということなど、いろいろと大家さんに事情を説明しました。
大家さんはわかってくれて納得してくれました。
今度また一緒に申し込み人の木村さんをお邪魔して紹介するということを伝えながらさりげなく、最近は景気が悪く今の片岡社長も苦しみながら店舗を経営しているので、もしかしたら次の木村さんは家賃の値下げをお願いしてくるかもしれないということをサラッと伝えて帰りました。帰り際に言いにくいことをサラッと伝えて次に会ったときに言いやすくしておきました。次は木村さんと二人で訪問するし、二人だと断りにくいしこの大家さんは話がわかってくれる人なので多分、家賃などの値下げは大丈夫だろうと思って帰りました。
とりあえず、木村さんに状況報告で再度お邪魔しました。店舗売買の金額はやっぱりだめだったことと、大家さんに報告して人物的には了承をもらったのでまた一緒に会いに行きましょうということ、家賃の減額はいきなり賃貸人の変更と一緒に話をすると失礼になるので、交渉するかもしれないということだけ伝えたことを報告しました。
木村さんも店舗売買の金額は思い通りにいかなかったけど、家賃の件はなんとかなりそうということで安心してくれました。2つ交渉があったら1つくらいは叶えてこないと人間やる気をなくすので、なんとかなりそうで木村さんも次回一緒に大家さんのところに行くことを了承してくれました。
このときにちゃんと設備譲渡の金額は税別で税込み1,050万円ということまで話をして納得してもらいました。譲渡金額にはお互いの状況によっては消費税がかかったくるので金額は税別が税込みか先に決めておかないと、話をつめてから壊れることもあります。売り主はもちろん税別だと思ってるし、買い主は税込みだと思っているから契約間際まで決めてないと揉める原因になります。今回は売り主の片岡社長がまったく引かないので税別になりました。
金額については了承したということで木村さんに再度1,050万円税込みで買い付け証明を書いてもらいました。自分の思い通りにいかないで、相手が少しも安くしてくれなかったので渋々ですが署名をもらいました。