[ Neoborder series ]
Neo Border “TFS side” ( 本文より一部抜粋 )

セントラルパークの昼下がり。
Mary(メアリー)とLana(ラナ)は水辺の芝生に横たわっていた。
穏やかな日差しの中、誰もが思い思いのスタイルでくつろぐ。
散歩する家族、ジョギングをしている女性、ベンチに腰掛ける老夫婦。
ただ、
昔と違うのは誰もがウエアラブル(身に着ける)端末をどこかに身に付けていること。
2012年から発表された近未来小説「Neo Border」にスマホなどのモバイル機器とリンクする外部周辺機器が掲載され、2014年代はグーグルグラスなど様々なウエアラブルが発表発売された。
その中で、一部のウエアラブル販売に関して発売を急ぐ経営陣と、システムの受け皿の構築の必要性を唱える一部の開発チームの決裂によって離反したブレーンが参加した企業による新しいシステムが、数年後のこの公園の中にあふれている。
ウエアラブル端末に搭載された“守護妖精システム”である
これはアプリに似ていて、スマホなどのモバイル機器などから立体映像の妖精が現れ、オーナー(所有者)の様々なライフサポートをするシステム。
その特質上多くのコミュニケーションは会話によって行われる。
触れることができるマスコットタイプもあるが、やはり妖精は自由に飛びまわるイメージがあることから、高機能な立体映像での使用が大半を占める。
人々がこのシステムを活用することによって、スマホなどのモバイル機器の中に妖精が宿ることになった。
Mary 「ねえ、Lana。“守護妖精システム”ってなんだろう?」
Lana 「え!どうしたの、どこか調子が悪いの?」
Mary 「もぉう、まじめに聞いて」
Lana 「ごめんごめん、でも新しいカフェのマカロンの話から急にそんな話するからびっくりしちゃった」
Mary 「うん。実は昨日プレゼンの情報を集めていたとき、昔の事故や事件の記事が出てきて、読んでいるうちに、もしこの時代に“守護妖精システム”があったらどうなっていたのだろうって思ったの。そして、じゃあ今の私たちが”守護妖精システム”を手にして、得たものは?そして失ったものは?
たしかに私たちが”守護妖精システム”を受け入れて、日々の生活がスマートに送れて、最近いじめや犯罪、争い事が格段に少なくなり、世界が変わり始めた。これは誰もが感じている」
Lana 「そうね~、はじめはほとんどの人が”守護妖精システム”はモーニングコールや、スケジュールを知らせるのはもちろんだけど、まったくこれまでにないコミュニケーションの拡大、仕事や趣味、娯楽のサポートなどを漠然とイメージしていたわね。
もちろんそれも大きなスキルだけど、本当は犯罪や、事故などからオーナーの命を守ることが最大のコマンドだった」
Mary 「記事の中で、広場で遊んでいた男の子たちがあっという間に爆弾の被害にあうこともあれば、小さな子供たちや女の子が誘拐されたり、命を奪われる事件が世界のどこかで毎日のようにおこっていた。中には何の理由も無く何百人の人たちが空に散っていったこともあった。
だけどもし、この時代に”守護妖精システム”があったなら、爆弾が爆発する前に逃げることも、犯罪を未然に察知し迅速に対応すること、BUKからの危険回避行動なんかも、このシステムでなんとか、なんとか・・・
それに、ほかにもたくさんたくさん悲しいことがあった・・・」
Lana 「ちょっとちょっとMary、どうしちゃったの、そのきれいな瞳が潤んじゃってるじゃない。もう・・・大丈夫!大丈夫よ。これからは妖精さんがみんなを守ってくれるわ。・・・きっと」
Mary 「うん、うん。ちょっと今日は変だな。へへ」
Lana 「(優しく微笑みながら)・・・そんな日もあるわ。・・・だって人間だもの」
Lana 「あ、Nathan(ネイサン)が予定通りにもうすぐここに来るわよ。しかし、よくもまあいつも同じ時間に同じ場所に現れるわね。ジョギングってジャパニーズトレインって呼ばれてる?」
Mary 「わかったわかったから。ごめん」
Lana 「はいはい、邪魔者は消えましょうね。」
「でも、電源落としは無しよ。見ざる言わざる聞かざるは守りますから」
Mary 「わかってるって。じゃあ後でね。・・・それと話を聞いてくれてありがとう」
その言葉を受け取り、優しく微笑みながら小さく手を振ってLanaはスマホ(モバイル端末)の中に消えていった。
Nathan 「やあ、Mary!今日も来ていたんだね!元気だった?あえてサイコーにうれしいよ!」
よく冷えたミネラルウォーターとジンジャー
甘すぎないマカロン
そしてうれしそうに微笑むMaryと