
今年のワインフェスティバルも世界の騒乱を打ち消さないばかりに盛大で、山車やパレードで街は大盛況だった。
「これにあわせたわけではないだろうけど、またここに来れてうれしいな」
黒鼠に注意をしながらフェスティバルを楽しんでいると偶然知人に会ってしまい、昨年同様ワインをご馳走になってしまう。
「今年のワインも最高ですね!」
そんなこんなで時が過ぎていったが、昨晩から眠っていない上においしいワインは、Markを眠りにつかせないわけがなく、いつの間にか記憶が飛んでしまった。
夕刻になってメイン道路あたりからだろうか新たな楽器の音や歌声、人々の歓声、笑い声などで目が覚めた。
知人が「お、Markが復活したぞ」
いつの間にか増えていた知人たちの中に昨年世話になった成年もいた。
「なんと久しぶり!元気だったかい?」
夜も更け始めたころ、また彼の家にお邪魔することになり、店を出てしばらくするとまた成年の姿が見えなくなった。
「デジャブだな」
そっと路地を見ると
Markは再びびっくりしてひっくり返りそうになった (あの少女に出会えると思うでしょう。普通)
あのちりちりの頭に三角の耳らしきものをつけた男が立っていた。
(この人に暗がりに立たれるとたいていの子供は泣き出すんじゃないだろうか)
「“MSSS(Medical Support Security System)” も“TFS(Tutelary Fairy System)”も切っておけ。クラッシュするぞ」
そういえばワインで思考回路が鈍っていたのでモバイルはハイレベルで生かしたままだ。
「こっちだ」
「は、はい、いや、でもちょっと・・」
「やつは大丈夫だ」
前から見れば路地をどんどん進んでいくワイン片手の男は最強のボディーガードのようだが、
後ろからついていくMarkにとっては、
お尻から垂れている尻尾がだんだんなんともかわいくみえてきた。
やがてバロック調の建物の中へ案内された。
主のいない宮殿の様だが、整然とした中庭に差し込む月の光は凛としている
その横の通路を、男の後をついていくと大広間への大きな扉があった
「あちらで使徒様がお待ちだ」
そういうと彼はもとの通路をもどっていった。
扉を開けるとその奥には窓から差し込む光が中央を照らしている。
ゆっくりと進み、中央あたりまで来たときに、前方から体を包みこむような声が聞こえた。