<“Neo border”に出てくるキーワードの解説>
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話を戻し、
“仮想地球(Globe of Virtual Reality)”にログイン後は、“あなたが国を創るなら”というテーマにのっとった自分の理想の国創りについて、いろいろな人と議論するために街に舞い降りて行く。
“仮想地球(Globe of Virtual Reality)”上には主だった国の主要な街がまず作られている。
メンバーは興味のある街に舞い降り、各所での会議や討論をしている場所で話を聞き、自分にあった場所があればそこに参加する。
これが最初のスタイルだったが、
やがて、Version4.0 が導入されると
街に各メンバーが入れ替わり立ち代わり集まって、あちこちでいろいろな議論が24時間行われ続けているうちに、一番大きな議論会場で、意見の一致したメンバーたちが集まり始め、その街にひとつの国を建国宣言した。
国には国民と、領土と、主権が必要であるが、
建国の条件の一つである“1000人以上の国民から”をメンバー1000人が集まりクリア、
メンバーはひとつの国の国民になったときから、地球周回軌道上の領域は建国された領土に変換され神のような存在から地上人になる。
領土は3㎡+αの領土×人数分と、インフラなどの関係で参加者数にそって+αされる。
さすがに始めて建国しただけあり、すでに簡単な憲法と法律なども制定され、主権は国民とうたっていた。
こうなってくると経済活動も自ずと必要となり、Version5.0 から、
張りぼてだった街に、現存するいろいろなShopや、映画、コンサート、スポーツ観戦などの娯楽施設との提携で、現実社会と同じようにサービスを受けられるように再現され始めた。やがてネットで可能な経済活動はどんどん取り入れられることになる。
このようにほどなくメンバーが集まってひとつの国を創るこの流れは
どうしても価値観の違いから相いれない別の考え方で、
議論が平行線をたどっていた他の多くのグループにも波及し、一気に建国ラッシュとなった。
新規のメンバーや、議論が終わり街から自分領域である空に飛び立ちもどる無国派層メンバーの取り込み合戦も、国力への欲求として生まれ、各国は自国のPR活動に力を入れていった。
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統一した意識や考え方での建国は、これまでの個々の自己実現を大きくかえる。
各国は同一の価値観を持った国民によって形成されるが、それぞれにいろいろな特色をもっており、
それは同一ではないのだ。
現実社会に沿った国創りをめざす国もあれば、
自然を大切に自給自足が基本の国、経済活動をどんどん進める国もある。
音楽に特化した国もあれば、芸術、スポーツを中心とした国もできた。
こうなると必然的にエンターテイメント系の国も次々に建国され、
Disneylandのような夢物語のような国、いろいろなオンラインゲームの中の世界のような国など、
さえぎることの出来ないtidal waveのようにいろいろな国が建国されていった。
もはや
“理想の国づくり”というよりも、“理想のワンダーランドづくり”である。
だが、
だからこそここには自由を肌で感じられる楽しさがあふれていた。
しばらくは大小さまざまの国が建国されていったが、人が集まらなければ建国はできないし、小国だと経済活動や娯楽も限定的になる。楽しむことがメインのエンターテイメント系の国も、一生遊んでばかりもいられない現実により頭打ち。
一定期間を過ぎると人数の集まらないグループや小さな国はとおのずと淘汰。エンターテイメント系の国は大きな国の一部に吸収されていった。
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Version5.5からは、
新しく入ってきたメンバーにとってハードルの高かった各国の特色と、自分の考えのマッチングを
”同系選択YES or NOチャート“で自分の考えに近い国、グループを見つけることが容易になったため、
建国されている国の、国家憲法、法律に賛同できるならば、その国の国民となり国籍(ここでの国籍は現実国家のそれとは大きく概念を変える)を取得、国には満たないグループへの参加もスムーズに行えるようになった。
これにより、自分の考えをいろいろな街で話し合い、最も自分に適した国への参加、もしくはグループへの参加の要する時間が短縮されるため、メンバー数がますますのびた。
また、似通った思想や価値観の国々の中でも、治安に優れ、経済活動においても粗悪なサービス、商品を排除し、一人ひとりを尊厳を持って対応する国ほど人気があり、人が集まり領土が増えていき、そんな優良で理想郷に近い大きな国家がいくつかできあがっていった。
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さて、ここで問題になるのは現実国家では必ず直面する領土による国家間の紛争であるが
仮想国家群において領土は、
先行取得権利は階層化することで、ビルディングのように上に乗せていく考え方なので基本的に存在しないようになっている。
ただし原則、大きな国ほど下層となる。
おのずと下層のエリアに存在する国が多くの権利を有するようになるため、最下層では大きな国が領土が重ならないように譲り合うことで、“仮想地球(Globe of Virtual Reality)”の基本的な権利を掌握し、後に作られた仮想国際連合はこの最下層の国々が常任理事国となった。
とはいえ他国への干渉は基本禁止されているため、基本的には各階層は平等である。
視点を各国内の都市計画などにむけると
現存する構造物などは“仮想地球(Globe of Virtual Reality)”が構築されたときにできているが、新たにインフラを整備したり、各建築物もリスク計算を織り交ぜながら建設したり、問題が発生すれば、理想的な都市計画にそって、常にリセットし、現存する完成された技術や物によって再構築もできる。
これは現実では不可能なリセットと現実国家の既得権者などの隔離が可能な仮想地球ならではのことである。
また、メンタルな面では
仮想国家において、自分以外の何人や事情への誹謗、中傷、批判、強要、争いをしない、相手の嫌がることをしない”という、基本理念を軸に、意見の合わない場合は自由にいろんな国への移籍はもとより、無国派層でい続けることも自由であり、このため国家間の宗教や国籍、民族関係のトラブルも表面化しない。
とはいえやはりどこの世界にも常軌を逸している人間はいるもので、それらへの最高の罰は永久追放とされた(ただし、後に建国条件をクリアした特別区域国がわずかではあるが建国されていく)。
そして軽微なものは国内のみんなの意見で罰が化せられ、公正で厳格な対応が出来る国ほど国民が集まり、国力となることは現実国家とはまったく異なった構造といえる。
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“GVR Revolution(GVR革命)”の数ヶ月前、防壁の強化が行われたが、
世界のトップ10企業に名を連ねる“ASG”という、グローバルセキュリティ企業の関連企業の非公式でのサポートなどのなかに、<AI Haviハーヴィ>の派遣がある。防壁構築に長け、防壁理論で右に出るものはいない。
彼の力も大きくMarkが大学を卒業するころには
<AI Freyaフレイヤ>(民間コミュニティで初めて管理を任された人工知能)をコアに、頑丈なセキュリティを敷いた防壁を“仮想地球(Globe of Virtual Reality)” の周りに築くことができた。
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やがて“仮想地球(Globe of Virtual Reality)”は、宗教や国籍、民族を超越した、思考や精神を柱にして創られた仮想国家群となり各国家の代表者が国家元首。通訳者は外交官と、だんだんシステム的には現実国家に模倣した形になっていった。
そして経済活動が金融商品の領域に波及したため現実国家にダブるようになってくる。
これが、後の導火線となり、
膨大な仮想国家群の参加メンバーの力が、現実国家群の矛盾への指摘にむけられはじめた事が火種となる