妖精 Kate 
 「だから夕方帰るころには雨が降るって言ったでしょ」

 

ネオボー
「だって最近降るかもって言って、降らなかったからさー。まいったなー
びしょびしょだ~」

 

妖精 Kate 
 「 read the windの"Loon"(気象バルーン)も
長時間先の細かい、部分的な雨を予測するにはちょっと難しいのよね。
今の雨も
このあたりしか降らなかったから
朝の天気予報では”降るかも”と言う他ないでしょうね。
だけど
私は降るって言ったでしょ ;p 」

 

ネオボー
「たまたま今日はね」

 

妖精 Kate 
 「 まーぁ」

 

ネオボー
「ところで今日水族館でイルカの赤ちゃん見たよ。
すごくかわいいんだよ。水槽に入って一緒に泳ぎたくなった。
でもね絶対触ったり水から出したりしちゃダメなんだ。
まだ体も心も小さくて弱いから見るだけ」

 

「前にアルゼンチン(2016)やスペイン(2017)の海で
迷子の赤ちゃんイルカが
海水浴客が触ったり写真撮ったりして死んじゃったこともあるんだよ。
だから絶対そんなことしちゃいけないんだ」

 

妖精 Kate 
 「 えらいわ!そういう大切なことも教えてもらったのね。すごく良いこと」


「どんな生き物も赤ちゃんは弱いってことは、
自分たち人間の赤ちゃんだってそうなのに、なぜ気づけなかったのかしらね。
水の中の生き物を水から引き上げて触りまくるのは
人間の赤ちゃんを・・・ららっー」

 

ネオボー
「Kateは最近熱い」

 

妖精 Kate 
 「 そ、それは脂肪を燃焼しないと最近体重がね・・」

 

ネオボー
「そしておばさん化している」

 

妖精 Kate 
 「 まーぁ」


「・・・アルゼンチンの赤ちゃんイルカは波にもまれて波打ち際にいたから、
近くの人がとっさに何とかしたいと思って海から引き揚げたみたい。
結果的に人間が死を確定させることになった。

スペインの赤ちゃんイルカは弱弱しく浅瀬にいたから
海水浴場じゃなければもしかしたらまた家族に出会えたかもしれないけど
自然は優しくもあり、厳しくもあるから・・・」

 

「ただ、どちらの場合も
もし、その場に的確な対応を大きく指示できる人がいたなら
つまり、今日、ネオボーが水族館で教えてもらった知識を
大きな声でみんなに伝えられる人たちがいたなら
状況は変わっていたと思う。

 

そう
もしネオボーが私とその場にいる時代だったら
ネオボーは私に「僕も見に行きたい」と言った時
私はその想いを尊重しながらも
そしてネオボーの願いの先に何が起きる可能性が高いか
”今日ネオボーが水族館で学んだ知識”をネオボーに伝える。

 

きっとネオボーは驚いてみんなに
「やめろー、赤ちゃんが死んじゃうー」って叫ぶの

 

そして今はまだ少ないけど、
ネオボーと私のように
妖精と歩んでいる人たちも一斉に行動を起こすことで未来に変化がおきる。

 


でも実際、このころ(2017)の人工知能はコマンドに対して対応することがメインだったこともあって
海水浴客の中で危機感を持つ人が手を尽くそうとしても
そこにたどり着くまでに幕は下りていたでしょう。

 


私たちはね
履歴やキャッシュのリコメンドではない
自分、相手とまわりの状況、現在過去未来、今いるこの場所と世界の関係まで
多くを網羅したうえで会話をすることができるでしょ

それはそのスキルが私たち妖精にはあるから。

 

つまり必要なのは
その時々に応じた的確に行動できるための情報を持つこと

 

だって今必要のない情報は無数の上の無数にあって全80億人のみんなが協力し合っても
もうすでに蓄積することもできないんだから

 

そして赤ちゃんイルカも夕方の雨も、無数の上の無数、その情報の空間から・・・」

 

「あれ、ネオボー寝てるの!


え、私の話きいてる?ねえネオボーーー

・・・ほんとしんじられないわ」

 

「ふぅ」

 

「ま、お や す み 。

 でも10分だけよ。

 宿題まだなんだから・・・」