ペットブームの陰で障害を抱えた飼い犬が増えている。
人気種は需要に応じるために近親間の交配を繰り返すなどするためで、動物病院では椎間板
福岡市城南区の博多人形師、津志田孟さん(68)、直美さん(59)夫妻が飼う雌のダルメシアン「イブ」は、耳が聞こえない。ちょうど10年前、生後1~2か月の時にペットショップで購入した直後に障害に気づいた。そばで掃除機をかけても全く反応しなかったからだ。
交換してもらうことも考えたが、保健所に引き渡され殺されるかもしれないと思い、飼い続けることに。イブに手の動きを覚えさせ、パーは「待て」、そのまま手を下げると「お座り」、グーは「だめ」、床をたたくとこちらを向く。
性格はおとなしく、津志田さんの孫を背中に乗せたり、一緒に飼っている猫の体調が悪いと体をなめたりと、すっかり家族の一員だ。「人間の顔を見て求められていることを考えているようだ」と孟さん。直美さんも「家族に幸せをくれた」と感謝している。
しかし、こうした幸せな犬ばかりではない。2008年度、保健所などに持ち込まれた犬は全国で約11万3000頭。うち約8万2000頭が殺処分 された。このうち障害犬の数は把握できていないが、日本畜犬遺伝性疾患協会などによると、珍しい毛色や特長を出すために父犬と娘犬を交配させたり、知識の ない飼い主が安易に妊娠させたりして多種多様な遺伝病が広がっているという。
広島市のNPO法人「犬猫みなしご救援隊」代表で、動物病院看護師の中谷百合さん(48)は、「安易な交配で生まれた売り物にならない障害犬を、うその理由で保健所に持ち込む繁殖家や飼い主もいる」と語る。
同協会は「遺伝病を避けるための法規制を急ぐべきだ」と指摘している。(本部洋介)
(2010年10月4日15時06分 読売新聞)