水辺の乙女達 | 真夜中の深海Bar

水辺の乙女達

少し前になるが、行き着けのサウナでの話。

浴室内に老人の二人組が仲良くサウナに入っていた。

男達は昔からの馴染みの関係なのか、
とにかく仲がいい。

サウナから出て水風呂に入るタイミングまで、
計り合わせたかのようにぴったりである。

そして、二人が洗い場に向かい
隣同士に腰を下ろした。

二人とも先に体を洗い、泡を付けたままで頭を洗い始め
頭と体の泡を同時に流す。

効率の良い方法だが
若干、右側に座っていた老人の方が早く流し終えた。

すると、その老人はいたずらな微笑みを浮かべながら
まだ頭を洗い終わらない左側の老人に冷水をかけ始めた。

『冷たっ!』

という、声とともに左側の男性は流し終えたばかりの頭を左右に振り、
けげんそうに辺りを見回した。

『お前かっ!』

と、その老人も右側の老人に水をかけた。
『ちべたいやないか~!ははは~』

またも水をかけ返した。

他に私以外、誰もいない浴室内で
男達の笑い声がこだました。

私はその姿を浴槽からずっと見ていた。

その光景は、さながら水辺でまだウブな乙女達が、
水をかけあい戯れているかの様に見えた。

『も~やめてよ~。別にたかし君の事なんてなんにも思ってないんだからっ!きゃっ!』

『うふふ~コクっちゃいなさいよ~』


私は二人をそんな純な少女マンガの世界の主人公に置き換え、
ただ眺めていた。

そして、いつまでもずっと眺めていた…。


日本もまだまだ捨てたものじゃない。



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