転生輪廻 | 真夜中の深海Bar

転生輪廻

私が小学校6年生の頃の話。

私の母方の祖母が
長きに渡り煩った病気で他界した。

今でも良く覚えている。

祖母はとても優しく私の面倒を本当に良くみてくれた。

私も祖母が大好きだった。

小学校低学年の頃、
家に来ていつものように遊んでくれていた。

その日、寝る前に私が悪ふざけしていると
『しんちゃん、それ以上ふざけたら
おばあちゃんが、ずっとしんちゃんの事で黙ってる事、
お母ちゃんに言うで!』
と、言われ
とっさに
『もしかして、宿題友達の丸写ししたんバレたんかなぁ?』
とか
『おとんの大事に貯金してる貯金箱から
半端じゃないぐらいの500円玉パクってるん見られたんかなぁ?』
とか
『おとんが愛読してる週刊ポストのヌードのグラビア
舐めるように見てたんバレたんかなぁ?なんやったら、気に入った写真には折り目つけとったんもバレたんかなぁ?』とか、
その他10項目ほど瞬時に浮かんだので、
0.2秒ほどで
『ごめんなさい』
と誤った。

どれも嫌だが、最後のはあり得んぐらい嫌だった。

今で言う所の
下着ドロぐらい社会的に疎外されそうで嫌だった。

そんな思い出もまだ新しい小学校高学年の時、
大好きだった祖母は他界した。


一通りお葬式が終わり、悲しみも少しは癒えた半年後。

いつものように土曜日は授業がお昼までで帰ってきた。

母と昼食をとっているとき
一匹のハエが母のご飯にとまった。

『も~いややわ~。』
とか言いながら新聞で追い払う姿を見て、
その当時、ちらっと読んだ雑誌の記事を思い出した。

『人は死ぬと、また生まれ変わるのです。それを転生輪廻といいます。』

自分の食べるご飯にハエがとまったものだから、
今やただの殺人鬼のような形相でハエを追いかけている母に、
『お母ちゃん、そのハエを見逃してあげて!』
と言うと、
『なんでやっ!お母ちゃんは殺すんやっ!殺すんやでぇ~!』
と、もう人の顔をしていなかった。

でも私は
『そのハエは、もしかしたらお母ちゃんに何か言いたいのかもしれへんで!』

と言うと母は、一瞬動きが止まった。

『もしかしたら、そのハエは
おばあちゃんの生まれ変わりかもしれへんやんか!』

小学生の我ながら、大人顔負けの理屈と知識で母に忠告し、
『そうやなぁ~。そうかもしれん。
やっぱり私らと同じ生き物やねんから
万物の命は粗末にしたらあかんなぁ~。』

と、返してくれるのを期待したが、
大人はそれほど甘くはなかった。

『おばあちゃんが、ハエなんかに生まれ変わるか~!!』
といい、
さっきまでハエをボコボコ殴ってた新聞紙丸めた硬いやつで
映画『カジノ』に出演しているマフィアのジョー・ペシばりの勢いでボコボコにされた。

言った事を後悔したが遅かった。

小学生なのに…。
ゆ~ても素直にそう思っただけやのに…。
薄れゆく意識の中で、その時2つの事が頭によぎった。


それ以来、
人は死んだら死にっぱなしでええやんと思うようにしている。