何十年先の君が目に浮かぶ
早く白髪になりたいと思う。
ずいぶんと若い頃から意識していた。
今とおしゃれに対する感性が違い髪を派手に染めていたときからすでに、
( 白髪がではじめたら染めるのやめよう。 白髪染めはできればしたくない。)
と思っていた。
染めた髪はきれいに白くなっていかないと聞いていたから。
結果的にすごく早い段階で自分の美的感覚は黒髪主義になってしまって、 無理に自分の美的欲求をコントロールする必要もなくなった。 なんて好都合。
だからあとは白くなって行くのを待つのみ。
早くなりたいのに。
出始めはきっと誰もが気にするのだと思う。
でもそれをやっとの思いで通り越したら、
人為的に脱色したのでは到底辿り着けない 見事なグレイヘアーが出現する。
黒からの脱色では、 絶対に無理だと思う。
近いところまで行けたとしても、 やはりわずかに黄ばんでいるし、 頭皮や毛髪にかかる強力な薬剤の負担が計り知れない。
だからやっぱり白髪は素晴らしい個性だと思う。
どんなに欲しくても、 若い段階では選ばれた人にしか与えられない。
おばあちゃんと言わずとも、 中年過ぎくらいからすでに 自分のビジョンがある。
白髪を白髪のままにして、 量の多いロングヘアーを真ん中分けにして、 後ろでひとつに結う。
それは艶のある真っすぐなポニーテールではなく、 もあもあした質感のものすごい太い毛束。
そんな魔女のようになりたい。
これが意外に万能なのだと思う。
古民家風家屋の台所でかっぽうぎを着た日本的なおばあちゃんでもかわいいし、 少しアメリカを感じるカントリーおばあちゃんにもよく合う。
画伯の休日のような ボーダーカットソーを着たヨーロッパの港町が似合うマリンガールおばちゃんでも素敵だし、
アルネブックス 「 大人のおしゃれ 」 に出てきそうな 全身モノトーンのギャルソンで固めたような凛としたおしゃれおばさんでもいい。
そして時々ばさっと全部髪を下ろし、 ドレスを着て、 ほんとに魔女になる。
その出で立ちで歌うのか、 はたまたカードや水晶玉を自在に操るのか。
時に妖しい、 すてきなNEOばあちゃんになりたい。
日常に戻ればまた長靴をはいて土いじりしたり野菜を干したりするような 不思議なおばあちゃんに。
実際のところ
「 肉は食べるな 」 と言っている若杉友子おばあちゃんが白髪一本なく黒黒としているように、
ゆるヴィーガン・マクロビアンである私も一向に白髪になってくれないんじゃなかろうか・・・
いいんだか よくないんだか。
年をとるのがたのしみ。
老いていくのが怖くないって、 すごく大きな財産のように思う。
ただ年をとっただけの、 変わらぬ笑顔で笑っていたい。
